事業資金を調達する手段として、日本政策金融公庫(旧:国民金融公庫)から融資を受けるという方法があります。日本政策金融公庫は政府が出資していることもあり、中小企業の支援に積極的なところがあるのです。融資に対する金利は低いものの、さらに低くする方法もあります。今回は、事業資金の調達に役立つ知識について、詳しく見ていきましょう。
日本政策金融公庫の金利
日本政策金融公庫の前身組織である国民金融公庫は、1999年10月1日まで存在していた政府系金融機関です。途中で国民生活金融公庫(国金)を経て、日本政策金融公庫として業務を引き継いでいます。日本政策金融公庫は政府系の金融機関であり、営利目的ではないということもあって、低金利で融資を受けられるのが特徴です。金利の相場は1~2%となっており、銀行やノンバンクと比べると低いところがあるでしょう。ただ、具体的な金利は資金用途や融資期間、申込人の属性などによって変わってきます。融資を受ける時期によって金利が見直されることもあるため、事前に予測することは難しいのです。日本政策金融公庫から融資を受ける際には、公式サイトなどで確認をしてから利用を検討するようにしましょう。
金利を下げる方法1.担保を付ける
日本政策金融公庫からの融資において、金利を下げるための有効な方法としては担保を設定することがあげられます。担保とは万が一、返済ができなくなってしまったときに回収財源となる財産のことを指すのです。借り手側は担保をつけることによって、「確実に返済する」というアピールを行うことができるでしょう。また、貸し手側としても貸倒れのリスクを軽減できるため、結果的に金利が低くなる傾向にあるのです。金利の引き下げ幅は、担保として設定するものの財産的な価値によって異なるものの、基準利率であれば最大1%程変わってきます。
金利を下げる方法2.連帯保証人を用意する
融資において金利を引き下げるために、連帯保証人を立てるといった方法もあります。連帯保証人とは、債務者が返済をできなくなってしまったときに、支払いの義務が生じる人のことを指すのです。法人における融資の場合、通常では代表者が連帯保証人となります。担保を設定するときと同様に、貸し手側としては貸倒れのリスクを減らせるため、金利を低くできるのです。金利の引き下げ幅は0.45%程度となっています。
日本政策金融公庫の特別利率!「特利」とは?
日本政策金融公庫の融資では契約を結ぶ際に条件によって、さらに金利が低くなる仕組みがあります。特別な利率として設定されるものを「特利」といい、借り手側としては有利な条件で融資を受けることができるのです。特利の対象となる条件は融資制度によって異なり、返済期間の短縮や担保・保証人の設定など多岐にわたっています。日本政策金融公庫は政府が出資を行っているということもあり、中小企業の支援に積極的です。事業の新規性や拡大性が重視される傾向にあり、「経営革新計画」や「新連携計画」に都道府県からの承認や認定があることによって、特利となるケースもあります。
融資を受けるには?日本政策金融公庫の申し込みの流れ
日本政策金融公庫ではさまざまな融資制度を設けているので、申込にあたってまずはどの融資を受けるのかを決める必要があります。融資限度額や返済条件などをしっかりと確認したうえで選んでいくようにしましょう。融資を受けるためには申込書を作成し、事業計画書や収支計画書などの必要書類を添えて、近隣の支店やインターネットを通じて申込を行います。初めて申込を行うケースで書類の作成方法がわからないときには、支店の窓口や電話で相談をしてみましょう。中小企業のサポートを目的としているのが日本政策金融公庫であるため、丁寧に書類の作成方法を教えてもらえます。
必要な書類を提出した後に、担当者との面談が実施されるので準備を整えておきましょう。経営者自身が決算書や事業計画書の内容について説明できるように、数字や根拠を理解しておく必要があります。面談を不安に感じてしまうときには、経理担当者や税理士を同席させることも可能です。会社の将来性や事業の収益性とならんで、経営者の人柄も審査の対象となる点に注意しておきましょう。担当者との面談においては清潔感のある服装を心がけて、質問に対して誠実に回答していくことが大切です。
日本政策金融公庫の融資にはデメリットもある
中小企業にとって日本政策金融公庫を利用するメリットは多いものの、少なからずデメリットも存在します。まず、審査の結果が出るまでにそれなりに時間がかかってしまう点があげられるでしょう。審査期間としては3週間~1カ月程度はかかるため、すぐに事業資金を必要とするときなどには向いていません。また、日本政策金融公庫の担当者と直接面談を行う必要があるため、事前準備に時間を割く必要があるでしょう。決算書や事業計画書の内容を経営者自身がうまく説明できなければ、マイナスの印象を抱かれてしまう恐れもあります。そして、創業資金として融資を受けるときには、自己資金を30%程度あらかじめ用意しておく必要があるのです。審査を受ける直前になって慌てて用意するのではなく、地道に自己資金を貯めておく必要があります。
多くの場合のデメリットとしてあげられる点は、融資にあたって保証人が必要となることです。日本政策金融公庫は預金業務を行っていないことから、保証人を立てることが多くの場合で必要となります。
事業資金の準備ならファクタリングを利用しよう!
事業資金を確保する目的であれば、日本政策金融公庫の融資以外に、ファクタリングという手段によって必要な資金を確保することも可能です。ファクタリングとは、会社が有する売掛金などの売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、資金調達を行う仕組みのことを指します。会社にとっては単に資産の売却であるため、負債が増えて財務内容に悪影響を及ぼすこともありません。借入ではないため、資金調達後に返済の支払いを行う必要もなく、担保を設定したり保証人を立てたりすることも不要なのです。
ファクタリングの審査では売掛債権の信用度が重視されるため、日本政策金融公庫からの融資を断られてしまった場合であっても、審査に応じてもらえる可能性があります。日本政策金融公庫は政府系金融機関ということもあり、法人税・所得税・住民税などの滞納があれば、融資申込を受けることはありません。しかし、ファクタリングでは赤字決算や税金の未払いがあったとしても、審査そのものは受けることが可能です。また、日本政策金融公庫は融資が実行されるまでに時間がかかる面もあるため、急ぎで資金調達を行う必要があるときにはファクタリングが活用できるでしょう。
通常のファクタリング契約においては、利用者・売掛先・ファクタリング会社の3社間で行われるため、売掛先の承諾が必要となります。ただ、利用者のなかには売掛先との今後の関係を考慮して、ファクタリングを行う事実を知られたくないと感じてしまうこともあるでしょう。ファクタリング会社によっては、売掛先の承諾のいらないファクタリング契約を結んでくれることもあるので、安心して利用することができます。実績のあるファクタリング会社であれば、さまざまなケースや業種にも対応しているので、資金繰りに悩んでしまったときには気軽に相談してみることが大切です。
会社に合わせた資金繰り方法を検討しよう
事業資金の調達方法を判断する際には金利負担の面だけではなく、審査スピードや限度額、返済期間などについても充分に考慮する必要があります。さまざまな角度から検討を行うことによって、自社に適した方法を見つけられるでしょう。そして、売掛債権を有しているときには融資以外の資金調達方法として、ファクタリングの活用を考えてみることも重要です。まずは気軽に、JTCに相談をしてみましょう。