事業資金の融資を受ける目的は、設備投資や資金繰りの改善などさまざまです。大切なポイントは事業資金の用途に合わせて、最適な調達方法を選ぶことにあります。起業のために必要な資金と経営を継続するために必要となる資金は、金額や借り入れ条件なども異なるものですし、経営を取り巻く環境自体も異なるものでしょう。さまざまな資金調達方法の特徴について理解をしておくことが、安定的な経営を進めていくためには重要です。融資を受けるための方法と注意点について、詳しく解説します。
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◆起業するための資金を融資してほしい
起業を行うために資金を調達したい場合ならば、できるだけ金利の負担が少なく、審査のハードルが低い方法を選んだほうが良いでしょう。日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などの政府系金融機関であれば、起業時や起業してから間もない会社であっても相談に乗ってもらえます。実績がない場合や小規模な事業であっても融資を受けやすいというメリットがあるため、積極的に活用してみましょう。
また、地方自治体が行っている制度融資を利用する方法もあります。各自治体によって貸し付け条件や金利も異なるので、自治体が公表しているホームページなどで情報をチェックしましょう。自治体によっては、金利の一部を負担してくれるところもあるため、有利な条件で資金を調達できる可能性もあります。
信用保証協会の保証付き融資を受けるのも、ひとつのポイントです。保証料を支払う必要があるものの、信用保証協会の審査を通過することによって、銀行としても貸し付けリスクがなくなり、融資を受けられる可能性が高まります。すでに、取引のある銀行を通じて審査を依頼することによって、審査のために必要な書類のアドバイスを受けることもできるでしょう。
◆設備投資の資金にするために融資を受けたい
事業を継続するために一定の周期で機械設備や車両などを買い替えなければならない場合は、設備投資資金を確保するのに頭を悩ませてしまう場合もあります。多額の資金が必要となるときは、銀行やノンバンク系の不動産担保ローンが適しているといえるでしょう。不動産担保ローンの特徴は、資産価値が高い傾向にある不動産を担保とするため、審査を通過しやすいというメリットがあります。不動産の評価額によっては、低金利で多額の資金を融資してもらえる可能性もあるでしょう。不動産の抵当権が担保となるので、連帯保証人を立てる必要がないことも特徴です。
その一方で、不動産登記簿に借り入れ情報が記載されてしまうといったデメリットもあります。仮に、返済ができなければ所有する不動産を失ってしまうことも考えておかなければなりません。ただ、複数の借入先から短期返済を迫られてしまうリスクを考慮すれば、不動産担保ローンは安全であるともいえます。まとまった資金を長期にわたって借りられるため、事業計画に沿った形で進めやすい面もあるのです。設備投資など、まとまった資金が必要になるときには、所有する不動産を効果的に活用する方法も考えてみましょう。
◆運転資金を補填するために融資を受けたい
運転資金を補うために一時的に資金が必要となる場合には、ビジネスローンを利用するのがおすすめです。ビジネスローンは銀行だけでなく、ノンバンク系も取り扱っているので事業者にとってはなじみの深いものでもあります。ビジネスローンの審査では、直近3期分の決算書が必要となるため、起業資金というよりも運転資金として活用するのに向いているのです。すぐに資金が必要ではない場合であっても、ビジネスローンのカードを作っておくことで、必要なときにいつでも提携するATMから借り入れを行うことができます。
ビジネスローンを利用するメリットは、原則として無担保で借り入れを行える点です。審査も銀行融資に比べスピーディーに行ってもらえる点だと言えます。
その一方で、高額な融資が難しい点や赤字決算や債務超過に陥っている場合では審査を通過するのが難しい面もあります。
また、法人の代表者が連帯保証人になることを求められる場合もあるでしょう。そして、金利の条件や返済方法も厳しく設定されていることもあるので、長期での利用というよりは短期での利用を考えたほうが良いといえます。
◆事業資金の融資を受ける際に注意すべき点
事業資金の融資を受けるときには、注意をするべき点もいくつかあります。まず、公的機関の融資制度は手続きや審査に時間を必要としてしまうため、急な資金繰りの改善には向いていないという点です。金利面では有利であるものの、あくまでも中長期的な事業計画に沿った形で利用を考える必要があります。事業計画書などをしっかりと作成することが大切になるので、計画的に利用していくことを考えておきましょう。起業や設備投資目的で融資を受ける場合には、資金用途や返済計画などを明確にしておくことも大切です。借入額が大きなものになってしまうときには、ビジネスプランそのものを抜本的に考え直す必要もあります。
そして、ほかの資金調達方法と比べて、金利が高めに設定されているビジネスローンの利用も注意するべきだといえるでしょう。ビジネスローンは長期での利用を考えてしまうと、利息分の支払いだけでも大きな金額になってしまいます。あくまでも、一時的な資金調達の手段として捉え、なるべく早く返済することを意識しておきましょう。
◆即日現金が必要になった場合に資金調達する方法
すぐに現金が必要になったときはビジネスローンという手段もあるものの、それでも審査に多少の時間を要し、高額な資金調達が難しい点がデメリットだといえます。
早急に資金が必要な場合や高額な資金が必要な場合は他の手段も検討する事が必要です。会社の資産状況をチェックしたときに、売掛債権があるならファクタリングを利用するのも、資金繰りの改善に役立ちます。ファクタリングは売掛債権の譲渡による資金調達であるため、売掛債権の範囲内で資金調達が出来るというのがメリットです。審査もスピーディーであり、最短即日から1週間程度で現金化することができます。
買い戻し請求のない契約であれば、取引先が倒産して売掛債権の回収ができなくなった場合でも、後から返済を行う必要がありません。手形を担保として融資を受ける手形割引の場合は、取引先から回収できなくなってしまったときには、利用者は後から返済を行わなければなりません。そうした点を含めて、ファクタリングにはさまざまなメリットがあるといえるでしょう。Webや電話などから気軽に審査を依頼することができるので、早期に資金繰りを改善したいときには有効な手段なのです。
ファクタリングでは所定の審査が行われるものの、審査において重視されるのはあくまでも売掛債権の信用度だといえます。きちんと売掛金を回収できる見込みがあるかといった点が重視されるので、利用者の会社の状況はそれほど問題になることがありません。つまり、赤字決算や債務超過に陥っている状態であっても審査を受けることができます。税金や社会保険料などを滞納している場合であっても、税務署や年金事務所と話し合いがついているなら、審査に与える影響はあまりないといえます。赤字決算・債務超過・税金未納といった状態では、銀行融資やビジネスローンを組むことは難しいものです。しかし、ファクタリングであれば、それらの点はあまり気にする必要がないことを忘れないでおきましょう。
通常のファクタリング契約では、取引先も交えた形で進められます。ファクタリング会社としても売掛債権の回収リスクが軽減できるため、取引先の承諾がいらないファクタリング契約と比べて手数料が割安です。取引先との付き合いが長い場合には、オープンな形でファクタリングを進めてみましょう。その一方で、何らかの理由でファクタリングの事実を取引先に知られたくない場合には、取引先の承諾がいらない契約を結ぶことも可能です。このケースでは、ファクタリング会社は売掛債権の回収リスクを負うことになるため、通常の契約と比べて手数料は割高となります。いずれにしても、自社にとって最適な形で契約を進めることが大切です。
◆融資を受けるなら目的に合わせて選ぼう!
事業資金が必要なときには、目的に合わせて借入先を選ぶようにしましょう。資金用途と借入先がうまく合っていなければ、後から思いがけない経営リスクを負ってしまう可能性もあるため注意が必要です。金利の負担や返済計画に無理がないかを経営状況と照らし合わせて、じっくりと検討していくことが大切といえます。しかし、取引先の倒産などによって急激に資金繰りが悪化してしまったときには、急いで対策を立てなければならないときもあるでしょう。
そうしたときには、早期に現金化できるファクタリングを利用するのも効果的です。売掛債権を譲渡するだけであるため、将来的にも財務的な負担になってしまうことがありません。すぐに資金が必要ではない場合であっても、複数の資金調達方法を検討しておくことによって、安定した経営を進めていけるはずです。