ファクタリングは節税にもつながる!?
ファクタリングを上手に活用することにより、会社経営に役立つ資金調達だけでなく融資よりもメリットがある節税にもつながることをご存知でしょうか。当記事では、ファクタリングによる節税に加え、その節税を行うカギとなる貸倒引当金などについても解説していきます。
◆ファクタリングを利用することで、貸し倒れのリスクを回避だけでなく節税も可能
・貸倒引当金について
はじめに注意しておきたいポイントは「貸倒引当金」です。売上を計上した際に残る売掛金を、現金などでの回収により取崩を行うことになった場合、相手先から支払われないことを「貸倒れ」と呼んでいます。
つまり、貸倒引当金は回収不能見込額を数値化し、回収が不能の場合に備え債権の額に応じて積み立てておく金額のことです。
目的としては期間損益を正確に計算し、帳簿を整理しておくことに利用されます。対象となる債権としては売掛金、仮受金、未収入金、受取手形などが主にありますが、債券回収のリスクに備えて計上することができるのです。
なお、貸倒れでの損失で会社が帳簿を所得として表記する場合には条件があります。
売掛債権を損金として処理できる条件は、以下のいずれかになります。
① 法律的に債権がなくなった場合
② 回収不能が明らかな場合
③ 先方と売掛債権の取引を停止し、1年以上経っている場合
全ての会社が適用されるわけではなく、それぞれの項目のいずれかに該当した場合に証明されてから損金として適用されるため、条件を理解しておく必要があります。
また、貸倒引当金の計上ができるのは以下3点の条件のいずれかが当てはまる法人です。
① 資本金1億円以下の中小企業
② 銀行・保険会社など
③ リース債権を有する法人
貸倒引当金での処理を行う場合には税理士など専門家に相談の上帳簿処理をした方が、間違いがなく安全です。
・支払割引料について
貸倒引当金のことについて厳しく明記しましたが、上記の条件を満たしていなくても損金として帳簿に記入することができるものがあります。それは「支払割引料」です。
この支払割引料は、実はファクタリングの利用によっても発生します。ファクタリングを利用することにより、支払割引料は損金算入することができるため、ファクタリングしない場合よりも企業の節税に繋がるのです。
また、借入れの場合は利息のみが経費と認められますが、ファクタリングの場合は手数料も経費として扱われるので、覚えておくと役に立ちます。
◆ファクタリングの実施の有無と会計仕訳の違いの例
ファクタリングを実施した場合の会計仕訳の例
1.売上計上の会計仕訳
売掛金 | 売上 |
---|---|
20,000 | 20,000 |
2.ファクタリングの実施での会計仕訳
現金 | 売掛金 |
---|---|
19,400 | 20,000 |
支払割引料 | |
600 |
ファクタリングを実施しない場合の会計仕訳の例
1.売上計上の会計仕訳
売掛金 | 売上 |
---|---|
20,000 | 20,000 |
2.1の売掛金に対して貸倒引当金計上時の会計仕訳
貸倒引当金繰入 | 貸倒引当金 |
---|---|
600 | 600 |
ファクタリングを実施した場合、支払割引料が計上されますが、ファクタリングしない場合には貸倒引当金繰入の費用が計上されます。
貸倒引当金での損金の算入ができたとしても、会社によっては難しい場合があります。ファクタリングの支払割引料では、会計仕訳において「税引前利益」の金額が変わってきます。割引料も差し引かれた金額になるため、支払う税金が安く済むのです。
なお、借入では手元に必ず残ってしまう元本返済がありますが、ファクタリングでは損金としても処理できるため、会社にかかる負担が減るのです。この元本返済は純利益から支払うことになり、いくつかある利益の中で「当期純利益」からの返済となるのです。当期純利益とは税引前当期利益から税金を支払った後の利益となるため、残った利益からの返済が行われます。
ファクタリングでは割引料を経費に入れることによって残った利益は手元に資金として残すことができるのです。一方借り入れは借入期間中、金利部分が経費として算入できますが、元本は経費の計上ができません。
このように、ファクタリングはバランスシートのスリム化などのメリットに加え、借入を行わないことによる節税に繋がるのです。
◆まとめ
ファクタリング利用による支払割引料を損金に算入することにより、会社の節税につながります。
また、上記での説明の通り、貸倒れ債権の処理は面倒なものです。貸倒れ債権を発生させないことも大切ですが、ファクタリングによって支払割引料を損金とすることで、貸倒引当金の計上を回避することが可能です。
このように、ファクタリングは税理士などと相談の上で上手に活用することで、会社だけでなく経営者にとってもプラスとなるものなのです。