ファクタリングは自社の売掛債権を譲渡(売買)することで現金化が可能である、合法的な資金調達方法です。
しかし、ファクタリング関連で、利用者あるいはファクタリング会社が逮捕されている事例があります。そのため、ファクタリングは違法なのかと疑う人もいるかもしれません。
本記事では、ファクタリングを利用する場合、どのようなことに気をつければいいのかについて解説します。
悪質なファクタリング会社の特徴や、ひっかからないための注意点に関しても紹介しますので、参考にしてください。
調達額がその場でわかる
ファクタリングは合法的な資金調達方法
ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらう資金調達方法で、法的には債権譲渡(売買)に該当します。そのため、ファクタリングを利用するだけでは、逮捕されることはありません。
そもそもファクタリングは法律に則ったサービスであり、個人事業主や中小企業なども気軽に利用できる資金調達方法です。最近では、国も売掛債権の利用を推奨しています。
売掛債権の譲渡は法的に認められている
ファクタリングは、企業が保有する売掛債権を第三者に譲渡して現金化する仕組みです。
法的にも何ら問題のない資金調達手段で、金融庁の公式サイトでも、ファクタリングは「債権譲渡契約」に基づく取引であると明記されています。
ただし、悪徳業者との契約や、実質的に貸付とみなされるサービスには注意が必要です。法律に則った形で利用すれば、安心して活用できる資金調達方法です。(出典:金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」)
権利譲渡禁止の特約付きでも売却できる
売掛債権の中には、契約上第三者への譲渡を禁止する特約が付いていることがあります。
しかし、2020年4月より、たとえそのような特約があっても、売掛先の同意がなくても譲渡が可能となりました。
つまり、ファクタリングにおいて、譲渡する売掛債権に譲渡禁止特約が付いていても、債権譲渡が可能です。売掛先が譲渡に反対の意思を示しても、取引自体が無効になることはありません。
国も売掛債権の活用を推奨している
これまでの資金調達は、担保を用いた銀行融資が一般的でした。
しかし、1990年代はじめのバブル経済の崩壊以降、不動産価格は下落し、担保余力は減少傾向となりました。
手形取引に関しても、利用件数や金額も減少傾向で、2026年度末をもって手形は廃止となります。
こうした背景から、政府も売掛債権を積極的に活用した資金調達の重要性を認識し、売掛債権担保融資保証制度を創設しました。
債権譲渡の妨げとなる契約条項には配慮を求めており、国としても売掛債権の活用を後押ししています。
前述の権利譲渡禁止の特約付き売掛債権についても、経済産業省が事業者向けに発行した資料で「金融機関等に対する資金調査目的での債権譲渡を禁じない内容とすること」に留意するよう明記されています。(出典:経済産業省「債権法改正により資金調達が円滑になります」)
利用者がファクタリングの利用で逮捕されるケース
ファクタリングは、法律に従って利用すれば逮捕されるケースはありません。
しかし、利用方法を誤れば、債権譲渡したファクタリング利用者が逮捕される場合があるので注意しなければなりません。
どのようなケースで利用者が逮捕されるのかについて、ここでは解説します。
2者間取引で後日の入金をしなかった
2者間取引において、後日の入金をしなかった場合、横領罪として逮捕される恐れがあります。
2者間取引では、利用者は売掛先から支払われた売掛金を、決められた期日までにファクタリング会社に入金しなければなりません。
なぜなら、売掛先の売掛債権がファクタリング会社に債権譲渡されているからです。
債権譲渡されているにもかかわらず、売掛金を使い込んだり、入金を怠ったりした場合は「横領罪」に問われる可能性があります。
刑事告訴されれば、逮捕や実名報道といった事態に発展する恐れがあるため、くれぐれも注意が必要です。
横領罪には、対象物により以下の3つの種類があります。
- 単純横領罪
- 業務上横領罪
- 遺失物等横領罪
単純横領罪とは、自己が占有する他人の物を横領した場合に成立し、法定刑は5年以下の懲役です。
業務上横領罪とは、業務上、自己が占有する他人の物を横領した場合に成立します。法定刑は10年以下の懲役です。
遺失物等横領罪とは、遺失物や漂流物など、他人の占有を離れた物を横領した場合に成立します。法定刑は1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料です。
架空債権を利用したファクタリングで逮捕されるケース
実際には存在しない取引をでっちあげ、あたかも売掛債権があるかのようにして、ファクタリング会社から資金を騙し取る行為も、逮捕されるケースとしてあります。
ほかにも、二重譲渡や、計画倒産を行った場合にも逮捕されるケースがあります。
二重譲渡は、1つの売掛債権を複数のファクタリング会社に譲渡し、不正に現金を手に入れることです。
計画倒産は、売掛先が倒産する予定であることを知りつつ、売掛債権をファクタリング会社に譲渡することです。
いずれも、ファクタリング会社を騙して、現金を奪い取る目的で架空債権を利用しており、詐欺罪に問われる恐れがあります。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役と定められています。
社会的信用も大きく損なうので、絶対にやってはいけません。
決算書の粉飾など犯罪にあたる行為はほかにもあります。
ファクタリングは合法的な資金調達手段ですが、契約内容をよく理解し、ルールを守って正しく利用することが重要です。
ファクタリングの悪用で逮捕された事例
ファクタリングの仕組みを利用して、横領や架空債権の売却をした経営者が逮捕された事例は複数あります。これまでのファクタリングを利用した逮捕事例を紹介します。
- イベント会社社長が架空債権約3億円を買い取らせてだまし取った事例(2020年12月東京都江戸川区)
- 虚偽の売掛債権を作成し、約3,600万円だまし取った事例(2023年沖縄県那覇市)
- 介護報酬を利用し5,000万円を着服した事例(2023年静岡県静岡市)
- 約3,000万円の売掛金を着服して支払わなかった事例(2023年群馬県太田市)
イベント会社の資金繰りが、新型コロナの影響により悪化し、架空の売掛債権をファクタリング会社に買い取らせて現金をだまし取っています。
入金がない点不審に思ったファクタリング会社が警察に相談し発覚しました。
医療用マスクの発注を装って虚偽の売掛債権を作り、ファクタリング会社に買い取らせて現金をだまし取っています。
特別養護老人ホームの介護報酬を、ファクタリング会社に買い取ってもらって現金化し、経営者が着服。刑事告発や、自治体による特別監査により明らかになっています。
経営者自身が、自社の売掛金をファクタリング会社に債権譲渡するものの、期日になってもファクタリング会社に入金されず、ファクタリング会社が被害届を出して経営者が逮捕されました。
ファクタリングは、自社の売掛債権を利用して資金調達ができます。
しかし、ファクタリングの仕組みを悪用すると金額の大小にかかわらず、逮捕されるリスクが付きまといます。
信用も失墜し、今後の事業運営ができなくなる恐れが高いため、絶対にやらないようにしましょう。
ファクタリング会社が逮捕されるケース
ファクタリング会社もまた、逮捕されるケースがあります。ファクタリング会社のほうに問題があるためです。
ファクタリング会社が逮捕されるのはどのようなケースなのかについて、ここでは解説します。
給与ファクタリングを行っている
給与ファクタリングとは、売掛債権ではなく個人が受け取る予定の給与を債権として買い取ってもらい現金化する手法です。給料日前に現金を手にできるため、一定のニーズがあります。
しかし、裁判所では、給与ファクタリングは、給与債権を担保にした貸付と判断しています。
給与ファクタリングは貸付行為にあたるため、貸金業登録が必要です。無登録で行えば違法となります。
無許可で給与ファクタリングを行っている場合、ヤミ金業者の恐れがあり、貸金業法違反や出資法違反などの罪に問われることがあります。(出典:金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」)
ファクタリングを装って貸付を行っている
ファクタリングを装い、実際行っているのは貸付、つまり偽装ファクタリングのケースがあるので注意が必要です。
前述の通り貸付を行う場合、貸金業の登録が必要です。無登録で営業すれば違法となります。
ファクタリングは売掛債権の譲渡であるため、売掛先に代わって利用者に請求する権利(償還請求権)のない契約を結ぶのが一般的です。
そのため、利用者は、売掛先が債務不履行となっても、売掛先に代わって売掛債権を支払う義務はありません。
一方で、貸付では、債権の譲渡でないため返済義務が発生します。
偽装ファクタリング業者では、売掛先からの入金がなかった場合、利用者が返済義務を負う構図です。
実質的な貸付業務に該当し、無許可の場合、給与ファクタリング同様、貸金業法違反や出資法違反に問われます。
悪徳ファクタリング会社のサービスの特徴
悪徳ファクタリング会社や、ファクタリング会社を装ったヤミ金業者のサービスの特徴として、次のような点があるので紹介します。
- 手数料が高すぎる
- 契約書の控えを渡すこと・情報を開示することに後ろ向き
手数料が高すぎる
ファクタリングを利用する際には手数料が発生します。手数料も、取引形態やファクタリング会社によりさまざまです。
2者間取引によるファクタリングの手数料は、10%前後が相場とされています。中には、15〜20%ほどの手数料を求めるファクタリングもあります。
手数料が20%を超える提示をしてくるファクタリング会社には、用心したほうがいいかもしれません。
逆に、手数料が著しく安い場合も、手数料以外の名目で費用が発生しているかもしれないので、注意が必要です。
遠方からの出張費や交通費などが発生するケースが、優良なファクタリング会社であっても発生する可能性があります。
一概に、手数料以外のコストが発生しているファクタリング会社は、悪徳業者とは限らないので、総合的に判断することをおすすめします。
調達額がその場でわかる
契約書の控えを渡すこと・情報を開示することに後ろ向き
ファクタリングでは、どのような手続きが行われているか判断が難しい所も多々あることでしょう。
そのため、契約書の存在がカギとなってくるのですが、悪徳ファクタリングともなれば、契約書の控えを渡すことを拒むこともあるのです。
また、情報の開示に消極的である場合も悪徳業者である可能性が高いといえます。
もちろん、クリーンなサービスを提供しているファクタリング会社であれば、利用者様にとって不明瞭な点は全て説明・開示してくれます。
悪徳ファクタリング会社にひっかからないために気をつけたいポイント
ファクタリングを利用する際に、悪徳業者にひっかからないための注意点を、以下の3点にまとめました。
- 公式サイトに会社情報は明記されているかを確認する
- 必ず複数のファクタリング会社の見積もりを取る
- 償還請求権の有無を確認する
ファクタリングを利用する場合、申込みを検討しているファクタリング会社の公式サイトをまず確認しましょう。
公式サイトには、住所・固定電話番号・資本金・代表者などが記載されているのが一般的です。
代表者の記載がなかったり、固定電話でなく携帯電話の番号の記載しかなかったりする場合は特に注意しましょう。
また、ファクタリング会社が、「ヤミ金(悪質業者)の実例検索」(日本貸金業協会)で検索して、ヒットしていないことを確認することもおすすめです。
1社でなく、複数のファクタリング会社の見積りを取ることで、どれくらいの手数料が必要なのかが把握できます。1社しか見積書を取っていないと、手数料の相場からかけ離れているのかどうかが判断できないからです。
費用について、不明な点がないかをチェックしましょう。
納得できる応対をしてくれるかどうかも、ファクタリング会社選びには重要です。
ファクタリング会社と契約を結ぶにあたり、償還請求権の有無を確認することも忘れずに行いましょう。ファクタリング契約では、償還請求権が付いていないのが一般的です。
逆に、償還請求権が付いている契約であると、売掛先からの未入金が発生した場合、申込人が支払義務を負うことになります。
実質的に貸付とみなされる可能性があるので、償還請求権の付与については、必ず担当者に確認しましょう。
まとめ
ファクタリングは、売掛債権の譲渡(売買)により現金化が可能な、合法的な資金調達方法です。
二重譲渡や架空債権を使って現金化することは違法なので、利用者は絶対に行ってはいけません。
同時に、無許可で貸付を行ったり、法外な手数料を求めたりする悪質なファクタリング会社にも利用者は注意が必要です。公式サイトをチェックするなどして、安全なファクタリング会社と取引を行うようにしましょう。
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