ファクタリングの会計処理・仕訳方法を徹底解説

ファクタリング
ファクタリング

支払い日を待たずに売掛金を現金化でき、ビジネスチャンスを逃さない、資金繰りの悪化を防げるなどの効果があるファクタリングですが、利用しようにも会計処理に迷っている方は多いのではないでしょうか。

ファクタリングを利用したときの会計処理において、仕訳方法は重要なポイントです。

本記事では、ファクタリングを利用したときの仕訳方法について、売掛債権をファクタリング会社に売却する買取型と、ファクタリング会社に売掛債権の保証をしてもらう保証型による会計処理の違いなどを解説いたします。

ファクタリングの仕訳に関するよくある質問もまとめていますので、ぜひ参考としてお役立てください。

監修者プロフィール

税理士法人 浅野会計事務所
税理士法人浅野会計事務所は、愛知県清須市にあり、創業40年以上、経営・金融・税務・会計・労務のスペシャリストとして各種サポートを行っています。代表の浅野芳郎をはじめ、税理士4名、行政書士1名、社会保険労務士1名ほかファイナンシャルプランナー、宅建資格の資格保持者などもおり、長く経営するためのサポート体制を整えています。

ファクタリングの会計処理・仕訳方法は3つ

ファクタリングとは売掛債権をスピーディーに現金化ができる手段のことをいいます。

仕入れや未払金の支払いなど、資金繰りに困っている企業にとっては、とても役立つサービスとして知られています。とはいえ、ファクタリングは最近注目され始めた新しい資金調達方法です。だからこそ「ファクタリングの会計処理の方法にはまだ自信がない」という方もたくさんいるかもしれません。

これからファクタリングなどの情報を集めるという方は、ファクタリングを利用した際、3つのタイミングで処理が必要であることはご存知でしょうか。まず、売掛金が発生したとき、続いてファクタリング契約したとき、最後に売掛債権の譲渡代金が入金されたときです。

それぞれのタイミングごとに、仕訳のポイントも見ていきましょう。

ファクタリングには、買取型と保証型があり、買取型の中でも売買取引として扱われる場合と、金融取引として扱われる場合があります。売買取引と金融取引の違いについては後述しますが、ここでは、一般的に利用されている売買取引の買取型ファクタリングのケースで解説します。

ファクタリングを利用しない場合の仕訳タイミング

始めに、ファクタリングを利用しない場合を確認していきましょう。一般的の会計処理の仕訳を理解しておけば、ファクタリングを使った際の会計処理も、理解しやすくなるでしょう。

早速、それぞれのタイミングごとの仕訳方法について、詳しく解説いたします。

売掛金が発生したとき

売掛金が発生したタイミングで帳簿に記載します。帳簿への記載は、現金が入ったタイミングではなく、売掛金が発生したタイミングなので注意しましょう。このように、金銭のやり取りに関係なく、売上が発生した時点で計上することを「発生主義」と呼び、帳簿上は売上が上がっているのに、現金が不足してしまう、いわゆる黒字倒産の要因でもあります。

売掛金が発生した場合の帳簿への記載は以下の通りです。
 ・「借方」 勘定項目:売掛金 金額:(売掛金額)
 ・「貸方」 勘定項目:売上  金額:(売掛金額と同じ)

会計処理の際、理解しておきたいのは売掛金として帳簿に記載したものは課税対象である点です。売掛金が入金される前に消費税を立て替えて支払わなければならない場合もあります。

また、決算月をまたぐ売掛金にも注意してください。決算月をまたぐ場合、売掛金が入金される前に法人税を支払わなければならないので、負担が大きくなるでしょう

売掛金は入金されるまでに1〜2か月かかることは当たり前です。売掛金取引のリスクとして、入金されるまでのタイムラグがとても長くなることがあります。その場合、入金までの期間に仕入れ代金や、消費税、法人税などの立て替えが必要になるケースがあります。現金の入金までに時間がかかりすぎる売掛金取引は、避けることをおすすめします。

売掛先から入金されたとき

売掛金の入金が確認された場合、帳簿から売掛金を相殺します。

具体的な帳簿への記載方法を紹介します。
ケース1:売掛金の額がそのまま振り込まれた場合
 ・「借方」 勘定項目:普通預金 金額:(売上金額)
 ・「貸方」 勘定項目:売掛金  金額:(売上金額と同じ)

ケース2:売掛金から振込手数料が引かれていた場合
 ・「借方」 勘定項目:普通預金   金額:(手数料が引かれて実際に振り込まれた額)
 ・「借方」 勘定項目:支払い手数料 金額:(手数料の金額)
 ・「貸方」 勘定項目:売掛金    金額:(実際に振り込まれた額+手数料の金額)

1つの取引で見たときに、借方の金額と貸方の合計金額が一致しているか必ず確認しましょう。
ただし、各項目がぴったり合わなくても問題ありません。上記のケース2の場合、借方の2つの項目の合計金額が、貸方の金額と一致していれば大丈夫です。

あくまでそれぞれの取引内の合計値が合っていればよいので、ある一定の期間に複数案件分の記載をしている場合は取引ごとにきちんと合計金額をチェックすることが大切です。

また、定期的に口座残高を確認することをおすすめします。売掛金の回収ミスを防ぐには、リスクに備えた工夫が不可欠です。売掛金は代金の未回収リスクがとても高いものなので、会計処理に携わる従業員同士で声を掛け合いながら業務にあたってみてもよいかもしれません。

必要に応じて、売掛債権を保証してもらう保証型ファクタリングサービスの利用もリスク低減につながります。

ファクタリングを利用した場合の仕訳タイミング

次にファクタリングを利用した場合の会計処理について解説します。先ほどの、ファクタリングを利用しない場合との違いは、「ファクタリング契約した場合」のタイミングで帳簿への記載が発生する点です。

「売掛金が発生したとき」「ファクタリング契約したとき」「譲渡代金が入金されたとき」の3つのタイミング、それぞれの仕訳のポイントを解説します。

売掛金が発生したとき

ファクタリングを使っていない場合と同様に、売掛金が発生したタイミングで計上します。記載方法は、ファクタリングを使っていない場合変わりません。

売掛金が発生した場合の帳簿への記載は以下の通りです。
 ・「借方」 勘定項目:売掛金 金額:(売掛金額)
 ・「貸方」 勘定項目:売上  金額:(売掛金額と同じ)

ファクタリング契約したとき

買取型ファクタリングでは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡したとみなされます。
そのためファクタリング契約をした時点では、売掛金という資産を売却し、その売却代金が未収入であるという形で記載をしましょう。

 ・「借方」 勘定項目:未収入金 金額:(売掛金額)
 ・「貸方」 勘定項目:売掛金  金額:(売掛金額)

借方の勘定項目は売掛金ではありませんので、気をつけてください。未収入金が指しているのは、売却した資産の代金があとから入金されるケースです。未収入金とは、言葉からも想像されるとおり、手元にきちんと現金が入金されていない状態のことをいいます。

後述しますが、ファクタリングを利用する場合、「借方」に未収入金が記載されている期間は1日~2日の数日程度です。しかし、売掛債権の譲渡から入金までの間に決算がある場合は、決算書に残ります。

ファクタリングは2社間と3社間の契約に分かれています。

2社間ファクタリングとは、売掛金を買い取ってほしい企業とファクタリング会社のみで契約する方法で、売掛先にファクタリングを利用していることを知られないというメリットがありますが、ファクタリング会社にとっては回収できないリスクが高くなるため、手数料が高く設定されることが多くなります。

3社間ファクタリングとは、売掛先が売掛債権の売却を承諾した上で行われるファクタリングです。売掛先はファクタリング会社に売掛金を支払うため、ファクタリング会社の回収リスクは下がり、手数料は2社間ファクタリングよりも安い場合が多いです。

2社間の場合でも、3社間の場合で、ファクタリング契約をしたときの計上方法は一緒です。

売掛債権を譲渡すると、入金までに時間がかからずすぐに入金されます。未収入金としての計上は、売掛金が入金されるまで必須の項目ですが、ファクタリング会社は早めに入金してくれるところが多いのが特徴ですので、ここで計上した未収入金は、数日でなくなります。

譲渡代金が入金されたとき

売掛債権の譲渡代金がファクタリング会社から入金されたときの記載方法は以下の通りです。

 ・「借方」 勘定項目:普通預金    金額:(実際に入金された金額)
 ・「借方」 勘定項目:売上債権売却損 金額:(売掛債権の金額-実際に入金された金額)
 ・「貸方」 勘定項目:未収入金    金額:(売掛金額)

ファクタリングを契約した会社から入金された代金は、普通預金として仕訳することになります。さらに「借方」には、「売上債権売却損」という項目を追加します。売上債権売却損は、売掛金額と実際に入金された金額の差で、ファクタリング会社への手数料を意味しています。
分かりやすい例を挙げると、もし売掛金が100万円だった場合、手数料が5%であれば5万円が売掛金から引かれることになります。そうなると、普通預金に計上されるのは売掛金から手数料が引かれた95万円となり、売掛債権売却損として計上されるのは、5万円です。

先述の通り、1つの取引で見たときに、借方の金額と貸方の合計金額が一致しなければなりません。そのため、売掛債権の金額と、ファクタリング契約をしたときに計上した未収入金額、入金額と売上債権売却損の合計額、この3つが一致するようにしましょう。

2社間ファクタリングの場合は、売掛先から入金後の計上も必要です。これについては、後ほど解説します。

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ファクタリング契約と入金が同時だった場合の仕訳タイミング

スピーディーに資金調達ができるファクタリングは、資金繰りが厳しい企業にとってはとても役立つ手段です。売掛先の承認や、売掛債権譲渡の通知が要らない2社間ファクタリングでは、即日入金されることもあります。

では、ファクタリング契約をしたその日に入金があった場合は、どのように計上するのがベストなのでしょうか。先ほどのファクタリングを利用した仕訳タイミングとの違いは、「ファクタリング契約したとき」と「譲渡代金が入金されたとき」をまとめて計上できることです。

ここでは、「売掛金が発生したとき」「ファクタリング契約と譲渡代金が入金されたとき」の2つのタイミング、それぞれの仕訳のポイントを解説します。

売掛金が発生したとき

これまで紹介したケースと同じように、売掛金が発生した段階で記載します。記載方法は、ファクタリングを使っていない場合と変わりません。

売掛金が発生した場合の帳簿への記載は以下の通りです。
 ・「借方」 勘定項目:売掛金 金額:(売掛金額)
 ・「貸方」 勘定項目:売上  金額:(売掛金額と同じ)

ファクタリング契約と譲渡金が入金されたとき

ファクタリング契約と同日に入金されたケースでは、未収入金を勘定項目に記載する必要はありません。

記載方法は、以下のようになります。
 ・「借方」 勘定項目:普通預金    金額:(実際に入金された金額)
 ・「借方」 勘定項目:売上債権売却損 金額:(売掛債権の金額-実際に入金された金額)
 ・「貸方」 勘定項目:未収入金    金額:(売掛金額)

ファクタリング契約と入金日が違う場合の、譲渡代金が入金されたときと同じ記載方法です。
取引が早いファクタリング会社と契約することで、本来は売掛金が発生してから譲渡代金が入金されるまでに必要だった記載を省けます。

また、入金までにタイムラグがある場合は未収入金を計上しなければなりませんが、即日入金された際は未収入金という勘定項目が必要ないのも大きなメリットです。未収入金は、本業以外の売上だが現金化できていないものと見なされます。そのため、もし融資を受けようとした場合、未収入金として計上している金額は、財産性がないと判断されてしまうこともあります。

こちらも、2社間ファクタリングの場合は、売掛先から入金後の計上が必要です。次の項目で解説します。

買取型と保証型ごとの会計処理

冒頭でも紹介したように、ファクタリングには買取型ファクタリングと、保証型ファクタリングという2つの種類があります。

買取型では、売掛債権をファクタリング会社に売却して資金を調達します。一方、保証型は売掛債権をファクタリング会社に保証してもらうサービスです。もし、売掛先が倒産してもファクタリング会社から売掛金を受け取ることができます。

買取型と保証型では、会計処理が異なります。というのも、買取型は売買取引、保証型は金融取引として扱われるためです。ここでは、買取型ファクタリングと保証型ファクタリング、それぞれの会計処理方法について詳しくチェックしていきましょう。

買取型ファクタリングの場合

買取型ファクタリングとは、ファクタリング会社に売掛債権を買い取ってもらうことによって、資金調達ができる方法です。

買取型の場合、売掛債権をファクタリング会社に譲渡するため、一般的に売買取引となります。ただし、売買取引と判別するためには、いくつかの基準をクリアしなければいけません。もし、金融取引と判断された場合は、会計処理の方法が変わります。

売買取引となる主な条件は、会計基準金融資産の契約上の権利に対する支配が、他に移転されているかどうかです。つまり会計上、ファクタリング会社に債権譲渡されたのか否かを判別し、売買取引なのか金融取引なのかが判断されます。

企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」第9項には、以下の3つの要件が記載されています。
 1. 譲渡された金融資産に対する譲受人の契約上の権利が譲渡人及びその債権者から法的に保全されていること
 2. 譲受人が譲渡された金融資産の契約上の権利を直接又は間接に通常の方法で享受できること
 3. 譲渡人が譲渡した金融資産を当該金融資産の満期日前に買戻す権利及び義務を実質的に有していないこと
(企業会計基準第 10 号 金融商品に関する会計基準から一部抜粋)

これらすべて満たしていれば債権譲渡が認められ、売買取引として処理されます。しかし、要件を1つでも満たしていないケースでは債権譲渡が認められず、金融取引として処理されるのです。

買取型ファクタリングで問題になるのが、「譲受人の契約上の権利が法的に保全されている」、「買戻す権利を有していない」の部分です。

先述の通り、買取型ファクタリングには、自社とファクタリング会社だけで契約する2社間ファクタリングと、売掛先も加えて契約する3社間の仕組みがあります。

3者社間ファクタリングの場合は、売掛先が債権譲渡に同意しているため、ファクタリング会社が債権債券の所有権を主張できる、つまり「譲受人の契約上の権利が法的に保全されている」ことを満たしています。しかし、2者社間ファクタリングの場合は注意が必要です。ファクタリング会社が、債権債券の所有権を主張するためには、法務局で「債権譲渡登記」が必要です。

「買戻す権利を有していない」ことも重要です。もし、売掛元に買戻す権利が発生してしまうと、ファクタリング会社が売掛先から売掛金を回収できない場合に、ファクタリング会社から売掛金を買い戻さなければならなくなります。せっかく資金調達をした意味がなくなってしまいます。

もし、契約書に「償還請求権」や「買戻請求権」のような買戻し特約が記載されていたら、金融取引になるので注意しましょう。

売買取引の会計処理については先述の通りですが、ここでは2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの会計処理の違いと、保証型ファクタリングの場合の会計処理について解説します。

200万円の売掛債権に対し、ファクタリング会社への手数料が10%の場合を考えながら、それぞれどのような会計処理なのか細かく見ていきましょう。

2社間ファクタリングの場合

2社間ファクタリングの場合、ファクタリング会社からの入金後に売掛先から入金があります。その後、ファクタリング会社に入金します。

売掛金が発生したとき、ファクタリング契約したとき、譲渡代金が入金されたときの計上方法は先述の通りです。

売掛先からの入金以降の記載方法は以下の通りです。

(例)200万円を手数料10%で契約した場合
 売掛先からの入金
  ・「借方」 勘定項目:普通預金 金額:200万円
  ・「貸方」 勘定項目:預かり金 金額:200万円

 ファクタリング会社への返金
  ・「借方」 勘定項目:預かり金 金額:200万円
  ・「貸方」 勘定項目:普通預金 金額:200万円

このように、債務者から入金があったときは、借方は普通預金として、貸方は預かり金として計上します。そして、ファクタリング会社への返金では、借方は預かり金、貸方は普通預金として記載します。

3社間ファクタリングの場合

3社間の売買取引では、売掛先からの入金、そしてファクタリング会社への返金はありません。そのため、売掛金が発生したとき、ファクタリング契約したとき、譲渡代金が入金されたときに会計処理を行うだけで問題ありません。

保証型ファクタリングの場合

保証型ファクタリングとは、売掛債権が取引先の倒産などによって回収できないときに利用される手段です。ファクタリング会社に手数料を支払えば売掛債権を保証してもらえるので、回収できないリスクを軽減できます。

保証型ファクタリングは、金融取引として扱います。買取型ファクタリングとの違いは、ファクタリング契約したときの記載が必要ありません。

保証型ファクタリングの会計処理は、2パターンにわかれます。1つ目は、売掛先が無事に入金された場合、2つ目は売掛金が期日までに回収できず、ファクタリング会社から売掛金の保証を受けた場合です。

パターン1:売掛金が無事に入金された場合

(例)200万円を手数料10%で契約した場合
 売掛金の計上
  ・「借方」 勘定項目:売掛金 金額:200万円
  ・「貸方」 勘定項目:売上  金額:200万円

 手数料の計上
  ・「借方」 勘定項目:支払い手数料 金額:20万円
  ・「貸方」 勘定項目:普通預金   金額:20万円

パターン2:ファクタリング会社から売掛金の保証を受けた場合

(例)200万円を手数料10%で契約した場合
 貸倒損失の計上
  ・「借方」 勘定項目:貸倒損失 金額:200万円
  ・「貸方」 勘定項目:売掛債権 金額:200万円

 ファクタリング会社からの入金の計上
  ・「借方」 勘定項目:普通預金 金額:200万円
  ・「貸方」 勘定項目:雑収入  金額:200万円

 手数料の計上
  ・「借方」 勘定項目:支払い手数料 金額:20万円
  ・「貸方」 勘定項目:普通預金   金額:20万円

このように、売掛金が回収できなければ、借方に貸倒損失をおきます。貸方には売掛債権を入れ、ファクタリング会社からの入金は雑収入として計上します。

ファクタリングの会計処理に関して把握しておくべきこと

ファクタリングの会計処理ではどのような点を把握しておくべきか、5つのポイントに絞って解説します。

消費税について

ファクタリングの取引では、消費税は課税されません。

消費税が課税されるのかどうかは、会計処理を行う上では欠かせないポイントです。しかし、ファクタリングは非課税対象なので、会計処理で消費税を気にせず済みます。ただし気を付けたいのは、優良でないファクタリング会社と取引をしてしまうケースです。

ファクタリングは非課税対象であると知らなければ、自社が大きな損をする恐れがあります。優良でないファクタリング会社は、本来であれば不要な消費税分を追加して手数料を請求してくる場合もあります。

「ファクタリングでだまされた」というケースは、誰にでも起こりうることです。悪質なファクタリング会社を見極めるには、見積もりや契約書をよく確認する必要があります。提示された見積もりに消費税が課税されていた場合は、すぐさま取引を中止するようにしましょう。

ちなみにファクタリングは非課税対象ではあるものの、債権譲渡登記をする際に依頼する司法書士への手数料には消費税がかかります。先述の通り、2社間ファクタリングの場合、売買取引と判断するために債権譲渡登記が必要です。

このような消費税に関する例外もきちんと理解しておきましょう。

売掛債権譲渡損について

ファクタリング会社の利益のもとになっているのが、売掛債権から差し引かれる手数料です。ファクタリングでは商品の売買ではなく、株や債権などの金融商品を売買したとみなされる場合があります。

ファクタリングを利用した場合、もともとの売掛金からファクタリング会社への手数料を差し引いた金額が帳簿に残ります。ファクタリング会社に支払った手数料は売掛債権譲渡損として仕訳します。

売掛債権を担保にした貸付を行う場合は、借入金の項目としてみなされます。銀行などから融資を受けたケースと同じような扱いですが、利用する資金調達方法の仕組みによっても異なるので気をつけましょう。

発生主義と現金主義について

ファクタリングの会計処理では、発生主義と現金主義について理解しておかなければなりません。まず発生主義とは、売上が発生した時点で会計処理をすることです。

発生主義の場合は実際に入金がなくとも売上として会計処理します。対して現金主義は、現金が入金されたタイミングで集計することを意味しています。ファクタリングでは売掛債権の売買が基本の契約になっているので、発生主義を採用しているといえます。

注意したいのは、取引先によって発生主義と現金主義を使い分けることはできません。発生主義と現金主義が混ざってしまうと帳簿の整合性が取れないので、トラブルにつながる恐れがあります。そのため、発生主義と現金主義のどちらかで方向性を決めて会計処理を行ったほうが無難です。ただし、現金主義で納税申告をしても差し戻しになるリスクがあります。納税処理を行うことを踏まえると、発生主義のほうがメリットは大きいでしょう。

入金までの間に会計期間をまたぐ場合について

ファクタリングの契約を締結してから現金が入金されるまでに会計期間をまたぐケースでは、売上が現金化されるまえに法人税を支払いましょう。

入金されるまでに売上をもとに計算された法人税を支払わなければ、消費税が課税されます。
本来、ファクタリングに税金はかかりません。確定申告では、まとめて帳簿を作成するときは事前に定められた期間があります。しかしファクタリングでは、入金までに会計期間をオーバーすることにおいて細心の注意を払いましょう。

オフバランス化について

ファクタリングの会計処理では、オフバランス化についても知っておく必要があります。
まず、オフバランスとは会計をするうえで計上される資産や負債を、貸借対照表から消したり、置き換えたりすることです。

本来であれば会計をとりつくろうことは違法ですが、項目などを調整するのは合法です。
オフバランスは法律に触れない範囲で調整することで、帳簿や会計が問題ないように見せることなのです。

たとえば、ファクタリングと借入を比べた場合、どちらが帳簿を有利にできるのかを判断して調整するのは法律的に問題ありません。決算書において、ファクタリングはネガティブなイメージがあります。そのため、資金調達をファクタリングではなく借入として置き換えをして法律の範囲内でオフバランス化できれば、最適な帳簿が作れるはずです。

ファクタリングを選ぶケースでは、貸借対照表のオフバランス化を図れます。総資産利益率は向上しますが、その反面、経常利益率が悪化することは忘れないようにしてください。

ファクタリングの仕訳に関するよくある質問

ファクタリングの仕訳をするうえでは、多くの方が迷いがちなポイントがあります。会計処理で悩ましいポイントをよくある質問としてまとめましたので、困ったことがあればぜひ参考にしてみてください。

なぜ仕訳する必要がある?

日々、会計処理をしていると「なぜ仕訳をする必要があるのか」と原点に立ち返りたくなるときがあるかもしれません。そもそも事業に含まれる取引は、すべて仕訳の対象となります。

仕訳を行わなければ確定申告のほか、金融機関から融資を受けるときの審査に支障が出てしまいます。

仕訳は、1年のうちに発生した取引を、貸借対照表や損益計算書などの書類にまとめるために必要なものです。貸借対照表や損益計算書は、確定申告や金融機関の審査などに欠かせないポイントです。

さらに仕訳が行われた帳簿は、経営状況をチェックする場合にも求められます。日々の経営状況がより詳しく可視化されれば、今後の経営戦略も立てやすくなるでしょう。会計書類は、ビジネスを維持していくためにも、そしてもっと成長させていくためにも大切なものです。

ビジネスに欠かせない会計書類を作成するには、仕訳が必要不可欠なのです。

会計ソフトに売掛債権譲渡損の項目がない場合は?

2者間ファクタリングの会計処理をするうえで、必要になるのが売掛債権譲渡損の勘定項目です。しかし、いつも利用している会計ソフトに売掛債権譲渡損の項目がないケースも珍しくありません。

売掛債権譲渡損の項目がない場合は、支払い手数料や債権割引料、雑損失として計上するとよいでしょう。3つの項目は、どれも営業外費用での損失を意味しています。一番使いやすい勘定項目は、雑損失です。ただし雑損失として売掛債権譲渡損を扱うときは、税務署から使用意図を問われるかもしれません。

一方、あえて雑損失を利用するケースもあります。決算書にある売掛債権譲渡損は、ファクタリングをしたことを意味します。そのため、税務署に問われることを承知のうえでファクタリングの利用を隠したい場合は、雑損失で処理しても問題ありません。

割引料で仕訳できる?

ファクタリングの会計処理では、割引料を使って仕訳しても問題はありません。
通常では、手形割引における勘定項目で割引料を使います。一方、ファクタリングを利用する場合は売掛債権譲渡損として割引料を使うことがあります。

どちらも異なるのは、対象商品です。通常、手形割引を仕訳した会計処理では、手形売却損の科目に計上されます。手数料が割引として判断されるファクタリングでは、割引料を利用してもよいのです。

最終的には、対象商品に違いは出ても法律の範囲内で帳簿の整合性が取れていれば問題にはなりません。

まとめ

ファクタリングの会計処理では、仕訳について十分に把握していなければ損をすることがたくさんあります。ファクタリングにおける仕訳は、タイミングだけでなく種類や仕組みによってまったく異なるので、それぞれの特徴を把握しておかなければなりません。

また、ファクタリングの会計処理でトラブルやマイナスを出さないためにも、知識や理解を深めることが大切です。十分な情報が備えられていれば、悪質な業者にふりまわされることもなくなります。さらに法律に触れずに会計処理も調整できるので、理想的な帳簿が得られるはずです。

ファクタリングの会計処理においては、消費税や売掛債権譲渡損、オフバランス化などについて理解しておくことが不可欠です。

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