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赤字なのに倒産しない会社とは?赤字でも可能な資金調達の方法も解説

資金調達
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一般的に、会社の健全な運営には黒字経営であることが望まれます。
ただ、黒字でも不健全な経営を行なっている会社もあり、黒字倒産に陥るケースもあります。

もちろん、会社経営は赤字でないことが求められますが、赤字だからといってすぐに倒産するわけではありません。

今回は、赤字なのに会社が倒産しない理由と、赤字でも可能な資金調達の方法について解説します。

監修者プロフィール

税理士法人 浅野会計事務所
税理士法人浅野会計事務所は、愛知県清須市にあり、創業40年以上、経営・金融・税務・会計・労務のスペシャリストとして各種サポートを行っています。代表の浅野芳郎をはじめ、税理士4名、行政書士1名、社会保険労務士1名ほかファイナンシャルプランナー、宅建資格の資格保持者などもおり、長く経営するためのサポート体制を整えています。

赤字にも種類がある

会社の業績が悪く赤字になると「倒産してしまうのでは」といったイメージがあるかもしれませんが、赤字経営でも倒産せず、継続的に運営している会社がたくさん存在しています。

当然ながら負債を多く抱えてしまうと、返済できなくなり倒産してしまいます。ただ、決算にて数字的に赤字になっていても、会社運営に困らない資金があれば倒産には至りません。

ここでは、会社においての赤字の種類について解説します。

営業損益の赤字

営業損益が赤字のケースは、早急な経営改善が求められます。営業損益とは、本業のもうけを示す数字であり、まずは、売上高から売上原価を差引いた「売上総利益(粗利益)」を求めます。

営業損益は、先に求めた「売上総利益(粗利益)」から、消耗品費用・地代家賃・水道光熱費や一般管理費を差引いた値となります。

この時の値がマイナスであれば、本業自体が赤字であることを示していますから、改善策を講じないと赤字が膨らんでしまいます。

経常損益の赤字

経常損益が赤字の場合は、有効な経営改善策を取らないと倒産の可能性が高くなってきます。
経常損益とは本業の経営状態を表す営業損益から、本業自体の収益や費用を差引いた値のことです。

例えば、本業以外の事業で得る収入や費用は「営業外収入」や「営業外費用」となり、受取利息や支払い利息もこれらに該当します。

本業が黒字でも本業以外の損失が大きくなると、経営損益が赤字となります。本業以外の事業の損失が大きい場合は、不採算部門を切り捨てることで黒字に戻すことができますが、本業の営業損益が赤字の場合は、事業で総合的に損失を出していることとなるので、経営はよくない状態です。

当期純損益の赤字

当期純損益が赤字の場合も、当然ながら経営改善は必要です。当期純損益とは経営損益からその年だけに発生する特別な利益や損失をプラスマイナスした値で、税引き前の数字となります。

例えば、固定資産を売却した際に生じた売却益や売却損、災害による損失や前年以前の修正益や修正損などが特別利益や特別損失となります。

当期純損益が赤字のケースでは、その年に限っての特別な利益や損失を計算するので、パターンは多く存在します。営業損益が黒字であって、イレギュラー的な損失にて当期純損益が赤字になっているなら、対策を講じれば次年度には黒字に戻すことが可能です。

ただ、当期純損益事態が赤字の場合は、次年度も赤字になる可能性が高く倒産する確立が高くなってきます。

現金収支の赤字

現金収支の赤字は非常によくない赤字であり、倒産につながる可能性があります。
現金収支が赤字ということは「会社に現金がなくなりつつある」状況となっているので、早急な対策が必要です。

仮に、営業損益・経常損益・当期純損益の全てが黒字の数字であっても、借入金の返済額が大きければ現金収支は赤字となり、手元の現金がなくなっていきます。

会社に現金がなくなることは倒産を意味するので、数字上は黒字であっても倒産することは現実的にあり得ます。

赤字なのに倒産しない会社の特徴

先に解説したとおり、経理上の損益が赤字になると倒産に陥る危険性が高くなってきます。ただ、経理上の損益が全て黒字であっても、会社に現金がなくなると黒字倒産となります。

逆の見方をすれば、経理上の損益が赤字となっていても、会社に現金が多く残っていれば倒産には至らないともいえるのです。ここでは、赤字なのに倒産しない会社の特徴を解説します。

一時的な赤字である

赤字にはさまざまな種類があり、本業が黒字でも営業外費用や特別損失の額が大きくなり、最終的な損益が赤字になっている会社も多く存在します。

ただ、このようなケースでは一時的に損失が赤字になっただけで、次年度には黒字に戻せる可能性があります。このような、一時的に赤字に陥っている会社では、倒産する可能性は極めて低いので慌てる必要はありません。

会社を評価する場合は最終損益だけに捉われず、営業損益や経常損益など総合的に確認することが重要です。

経理が黒字である

経理上の損益が黒字の場合は、手元の現金が赤字であっても金融機関から融資を受けることが可能です。会社が金融機関の融資審査を通るためには、黒字であることが必須となってきます。

仮に赤字経営でも、黒字に転換できる事業計画や経営改善計画書が作成できていれば、金融機関での審査も通りやすくなりますが、経理上の損益が継続して黒字であれば、高い確率で運転資金を融資してもらうことができるので、現金は赤字でも経営を続けることが可能です。

ただし、確実な返済を行なわないと融資もストップするので、自転車操業に陥りやすいのが特徴です。

経営に必要な資金が調達できている

本業の損益を示す営業損益が赤字になっていても、倒産しないで運営を続けている会社も多くあります。その理由は、会社が預金を含めた多くの現金を保有しているからです。

「赤字なのに、どうして多くの現金を持っているの?」と不思議に思うかも知れませんが、それには次のような理由があります。

・金融機関から融資を受けた
・これまでの黒字経営での貯えがある
・経費と現金の支出が同じでない
・ベンチャーキャピタルなどから出資を受けた
金融機関から融資を受けることで、赤字額よりも多くの資金を保有しているケースもあります。また、恒常的な赤字ではなく、前年度までは順調に黒字経営をしている場合は、これまでの貯えが潤沢にあるので現金を多く保有しています。

さらに、経理上の損益は計算結果であり、必ずしも会社が保有する現金と一致するわけではありません。これらの結果、経理上の損益では赤字になっていても、会社が多くの現金を保有しているので倒産することなく、営業を続けることが可能なのです。

現金化できる資産を保有している

経理上の損益が赤字であっても、会社が多くの不動産を所有していて現金化できれば、融資を受けず自己資本を調達できるので継続的な経営が可能となります。

例えば、次のようなケースなら現金化できる資産を持っていれば、赤字でも継続して営業することが可能です。

・会社は自社ビルで月々の家賃が不要
・社用車も中古車を現金一括で購入して台数も2台ほど
・従業員が少ない
・売却できる不動産がある

経理上の損益が赤字であっても最低限の支出だけで済むので、不動産を現金化すれば新たに借り入れをしなくても給与などを支払える。こうした場合には、赤字経営でも倒産する可能性は少なくなります。

給付金や補助金を目的としている

世の中には、ペーパーカンパニーと呼ばれる営業実態のない会社も多く存在しています。
会社として登記だけ行って、給付金や補助金をもらうことを目的としているのです。

会社としての事業は一切行っていないので、赤字申告して最低限の税金を納めますが、給付金はそれ以上入ってくるので、実際には現金が手元に残ります。補助金の場合は、先に先行投資が必要となるので、100%営業実態がない訳ではありません。

赤字経営のメリット

日本国内で営業する法人企業では、約3分の2の企業が赤字経営となっています。「赤字なのに倒産しない会社の特徴」は、先に解説した通りですが、赤字会社の中にはわざと赤字決算にしている会社も存在するのです

健全な会社経営を行って、運転資金を金融機関から融資してもらうには、経理上の損益が黒字であることが望ましいのに、どうしてわざわざ赤字決算にするのか不思議です。ここでは、赤字経営のメリットについて解説します。

税金を抑えられる

法人会社は決算を行ない、損益を確定して申告する必要があります。決算時に1円でも黒字になっていれば、それなりの法人税を支払う義務が生じます。一方で、決算が赤字であれば利益がないこととなるので、法人税は最低額で済みます。

赤字の場合は法人税を均等割りにして計算するので、従業員が50人以下、資本金1,000万円以下の会社なら、一律70,000円で済みます。さらに、赤字なら課税所得額も抑えることができて、その分所得税額も低く抑えることができます。

このように決算を赤字にすることで、会社に係る色々な税金を最低限に抑えることが可能となります。経理上の損益は赤字にしても手元に現金が残り、支払い義務のある税金も安くできるので、赤字経営を選んでしまうのです。

還付を受けられる

昨年度の決算は黒字で終えたため、利益が生じて見合った法人税を支払っています。ですが、今年は売上が伸びず赤字になりました。そうなると、前期で支払った税金の還付を受けられるようになります。

還付は法人税のみが対象となりますが、赤字額をいくらか補填できるメリットがあります。
また、赤字額が大きく前期の法人税の還付だけでは補填できないケースでは、翌年度に繰越欠損金として赤字を繰り越せるので、税金の支払いが少なくて済みます。

翌年以降に繰り越せる

先に少し触れましたが、赤字額が大きく前期の法人税の還付では補填できないケースでは、翌年度に繰越欠損金として赤字を繰り越すことが可能です。

繰り越し欠損金とは、利益から差引くことができる金額のことで、翌年度の法人税を減額できる効果があります。

例えば、前期の決算は800万円の黒字となり、120万円の法人税を納めたとします。ところが、今期の決算で300万円の赤字となった場合、前期に納めた120万円の法人税の還付手続きを行なうことで、120万円を受け取ることができます。

それでも、180万円の赤字額となるので、この180万円の赤字を翌年に繰り越すことにします。すると、翌年の決算で200万円の黒字となったら、「200万円-繰り越しの赤字180万円=20万円」となり、20万円に対しての法人税を支払うだけで済みます。

意図的に操作するかは別として、隔年で赤字になればこのような法人税の計算となるので、お得と捉えることができます。

M&Aされやすくなる

M&A(エムアンドエー)とは「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略で、「企業の合併・買収」のことです。

M&Aを望んでいる会社なら、意図的に赤字経営にしておくことで、買収されやすくなります。高額な費用を投じなくても買取できるのは、買い手にとって一つの魅力となるでしょう。

さらに、買収することで赤字も引き継ぐので、買い手には法人税などの節税効果を得ることが可能となります。ただ、どんな会社でも意図的に赤字経営にすれば、M&Aが成立するわけではありません。買い手が魅力的と思える事業内容でなければ、ただの赤字経営の会社で終わってしまいます。
自社の特徴を把握して、売り手として魅力ある事業内容を構築した上で、M&Aを見据えた意図的な赤字経営をするなら問題はありませんが、そうでない場合は単なる税金対策の赤字経営に捉えられてしまうので要注意です。

赤字経営のデメリット

赤字経営には法人税などの税金を抑える効果があるので、意図的に赤字経営をしている会社も多くあります。確かに、高額な法人税や所得税を納めるなら、意図的に赤字決算にして、税金を最低限に抑えたいと考えるのも理解できる所もあります。

ただ、会社を経営していく上で恒常的な赤字経営には、大きなデメリットもあります。

金融機関から融資を受けにくくなる

既に何度か触れていますが、会社には運転資金が必要なケースがいくつもあります。多くの現金化できる不動産を所有していたり、別の儲けから債務を補填できたりして、無借金経営ができるなら問題はありません。
ですが、そのような無借金経営をしている会社は少なく、多くの会社が金融機関からの融資を受けて運転資金を調達しています。

金融機関から融資を受ける際に、赤字経営の場合は相当優秀な事業計画や経営改善計画を作成し、黒字化できることをアピールする必要があります。赤字経営の会社に融資してもまともな返済ができないと判断すれば、融資は通りません。

意図的に赤字経営にして税金を安く抑えても、運転資金が調達できなくなるリスクもあるので要注意です。

税務署から目をつけられる

一般的に考えても、赤字経営で何年も会社を維持できるのはおかしいです。確定申告は税務署で毎年チェックしているので、意図的に赤字決算にしていると、どこかおかしなところが出てしまい、税務署に疑われることとなります。

そのような場合は、税務調査が入り社内のあらゆる帳簿を調べられます。二重帳簿にしている場合などは、確実に見破られて修正申告をしなければなりません。追徴課税も課せられるので、税金を節約したつもりが、何倍もの税金を納めることとなってしまいます。

もしも、多くの所得を隠し持っていた場合は、脱税として逮捕されることもあるので、意図的な赤字経営はおすすめできません。

会社が倒産する

意図的でない本当の赤字経営の場合は、倒産に直結します。

赤字ということは収入よりも支出が多くなるため、借金をしないと支払うことができません。ですが、借金しようにも赤字経営では金融機関から融資を受けられず、資金がショートして倒産してしまいます。

また、意図的な赤字経営も会社の社会的信用がなくなっていくので、本当に売上が落ちてきてしまいます。いずれにしても、赤字経営は会社の倒産リスクと直結しているので、黒字化できるように経営改善する必要があります。

黒字でも倒産する可能性はある

ここまで、会社の赤字経営について解説してきました。結果として、会社の赤字経営は、倒産のリスクに直結していることが分かりました。

では、会社が黒字であれば絶対に倒産しないのかというと、黒字でも会社が倒産する可能性は十分あるのです。ここでは、黒字倒産する可能性について解説します。

現金が不足していた場合

黒字はあくまでも経理上の損益がプラスになっている、数字上のものです。売上に多くの金額が上がっていても、その売上金を回収できていないと、現実的に会社には現金がないこととなります。

例えば、従業員の給与、光熱費、通信費、リース代、その他経費を含んで、月に500万円の支出が必要だったとします。現在、会社には500万円の現金があるので、今月の支払いは問題ありません。そして、1,000万円の売上があるので、2ヵ月先までの支払いには困らないはずです。

ところが、1,000万円の売上があっても現金を回収できなければ、数字上はプラスでも来月には借金をしないと、給与など支払うことができなくなります。

このように、売上と入金の時期が異なることで、会社に現金が不足して必要経費を支払うことができず、倒産に至るケースがあります。

在庫を過剰に抱えた場合

商品を販売する会社では、商品の在庫を抱える必要があります。この在庫は、販売できてこそ現金化されるので、倉庫に置いた状態では資金の回収ができていません。

例えば、売れ筋と見込んで1,000個の商品を発注し在庫として抱えたとします。月に100個のペースで売れていたのに、4ヵ月目には流れが変わって月に10個程度の販売しかできなくなると、約700個近い在庫を抱えてしまい、損をしてしまいます。

商品を現金化することができないばかりか、在庫を保管する倉庫代も必要となり資金がショートする可能性もあります。在庫を過剰に抱えると、数字上は黒字でも資金調達ができなくなり、倒産に陥る可能性は高くなってきます。

売掛金を回収できなかった場合

売掛金を回収できなかったケースは、先に解説した「現金が不足していた場合」のケースに似ています。ただ、先のケースでは売上と入金のタイミングでしたが、ここでは入金がまったくないケースとなります。しかも、売上の入金が手形や現金でなく掛け取引で行なわれる場合です。

売掛金を簡単にいうと「つけ払い」がイメージしやすいはずです。信用取引になってしまうので、会社としてはあまり行なわない取引方法ですが、少額であれば「つけ払い」を認めることもあり、件数が多くなれば売掛金の額も多くなります。

その全てが回収不能となれば、入金が一切ないこととなるので倒産のリスクは高くなります。数字上は売上高が伸びても、現金を回収できないので資金ショートを招きます。

急激に売上が増減した場合

急激に売上が減少した場合は、入金が少なくなり支払に困ってしまします。「売上が急激に増加する」というと、会社に入ってくるお金が増えることになるため、倒産にはつながらないと思うでしょう。

しかし、売上が急増するということは、仕入れにかかる資金も増えることになってきます。

例えば、毎月の仕入れを100万円で予定していたのに、急に予約が殺到して1,000万円の仕入金が必要になると、支払いと入金のタイミングが合わなければ、資金ショートを起こして倒産する可能性もあります。

赤字経営から黒字経営へと立て直すには

赤字経営を続けていると、いつかは倒産に至ってしまいます。意図的な赤字経営は税務署に目をつけられて、酷い目にあるかも知れないので正確な申告をおすすめします。

そうではなく、本当に赤字体質である会社は早急に黒字になるように立て直さないといけません。
ここでは、赤字経営から黒字経営に立て直すための、6つの対策を解説します。

事業構造を再構築する

赤字経営から脱却するには、事業の再構築を行います。もともと、本業である現在の事業が上手く行っていないから赤字となっているはずなので、根本的な見直しが必要になります。

赤字経営の会社には、「リストラクチャリング」と呼ばれる「企業再構築」や「事業再構築」を行ないます。成長戦略を立てて、不採算部門の縮小や廃止、別部門とも統合などの整理を行ない、成長が見込まれる事業や高収入事業に経営資源を集中させる方法です。

その他にも、不要な残業や休日出勤を見直す働き方改革を行ない、人件費の削減も行ないます。

経費を見直す

赤字経営から脱するには、会社経費を根本的に見直すことも重要です。

コロナ禍で根付いたテレワーク勤務を導入すれば、テレワークを行なうための投資は必要となりますが、自宅勤務が可能となるので通勤手当の削減を行なえます。また、業務効率化を推進すれば残業代の削減につながり、従業員を解雇することなく経費削減が実現します。

その他にも作業方法を見直し、自社で作業できることは内製できる体制を整えるとよいでしょう。
外注費を極力削ることで、かなり資金的な余裕ができています。特に、担当者との長年の付き合いなどの理由で外注に発注しているなら、確実に自社生産に切り替えるべきです。

このような穴を見つけて一つずつ塞いでいくことで、必要なものだけが残り、無駄を省くことができます。

売上戦略を見直す

黒字化するには、まずは売上を伸ばさないと元も子もありません。そのための売上戦略を見直して、さまざまな改革を行う必要があります。改めて市場調査を行ない、客先のニーズを確実に把握しないといけません。

これまでの購買動向と現在とでは大きく変わってきています。ニーズやターゲットを昔のままにしておくことが、赤字の原因となっていることが多いので、最新のニーズをつかんでターゲットも再調査します。

また、新しい商品開発も必要ですし、これまでの商品に付加価値を持たせる工夫も重要です。リピートしてもらえる仕組みを作り、商品の販路を拡大して、客単価を上げることができれば、売上も自然と伸びてきます。

資金の調達方法を見直す

運転資金の調達は、会社にとって生命線ともいえます。赤字経営であれば金融機関から融資を受ける際に、信用力が低下しているので希望額を融資してもらえないばかりか、融資自体を断られる可能性もあります。

赤字経営の場合は、現状で必ず借入金があるはずで、これが新たな借り入れができない要因にもなっています。そんな場合は、金融機関に今の返済方法や金額を一時的に変えてもらう「リスケジュール」を相談するとよいです。

返済期間を延ばす代わりに、月々の返済額を減額してもらうなどができると、かなり返済がラクになってきます。見直した事業が軌道に乗れば、返済も通常通り行なえますし、新しい借り入れも可能となります。それまでのつなぎとして、リスケジュールは有効です。

また、融資ばかりに頼っていると返済額が増えてしまい、多重債務に陥る可能性もあります。
そこで有効なのが「ファクタリング」で、保有する売掛金を現金化することです。自社で売掛金を回収できない悩みがあるなら、ファクタリングにて売掛金を先取りすれば資金不足を解消できます。

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整理解雇を行う

整理解雇とはリストラのことで、人員を整理するために解雇を行います。会社の一方的な解雇となるので経営者にとっては辛い判断ですが、会社が倒産すればより多くの人を解雇しなければならず、もっと辛い結果になってしまいます。

ただ、どのような会社でも整理解雇ができるわけではなく、次の条件を満たす必要があります。

1:人員整理の必要性

整理解雇は余剰人員が発生してこそ成り立ちますから、事業内容と必要人員の妥当性が求められます。経営者には人員整理の必要性を従業員に理解してもらった上で、リストラを行なわなければいけません。

2:解雇回避努力義務の履行

従業員をリストラするのは、それまでにさまざまな解雇回避のための努力を会社が行なっていることが前提となります。具体的には、次の5つの努力義務を果たしているかがポイントで、何も対策を行わないで、リストトラすることはできないのです。

1:役員報酬の削減
2:新規採用の抑制
3:希望退職者の募集
4:配置転換
5:出向

3:被解雇者選定の合理性

リストラする従業員の選定基準や具体的な人選も合理性があり、公平であることが重要です。

例えば、従業員の能力で選定するなら、その能力を測る基準が合理的である必要があります。
単にいうことを聞かないから、会話が少ないからなどの理由では選定できません。

4:手続の妥当性

リストラされる従業員には、会社を辞めなければならない過失などはありません。

従って、従業員や労働組合などと協議し、納得のいく説明が必要です。協議や納得できる説明もなく、正当な手続きを経ないでリストラすることは許可されていません。

M&Aで売却する

先に意図的に赤字経営するメリットとして、M&Aされやすくなることを解説していますが、黒字にする上でM&Aでの売却も有効となります。

基本的にM&Aで買い取る会社は、資金的な余裕がある会社です。当然、赤字経営ではなく黒字経営の会社なので、自社の強みを引き出して黒字へと転換してくれます。

ただし、M&Aで会社を売却した場合は従業員全員が残れるかは明確ではありませんし、社長自身が退任を余儀なくされるケースもあります。M&Aの際には、従業員の待遇などをしっかり確認した上で、履行することが重要です。

赤字でも可能な資金調達の方法

ここまでで、赤字経営の会社が運転資金を調達するのは、非常に難しいことを解説してきました。

金融機関では返済能力が重要となるために、赤字経営が継続している会社への融資はなかなか通りません。

ただ、それでも方法によっては、赤字経営の会社が資金調達を行なうことが可能となります。ここでは、赤字会社でも可能な資金調達方法について解説します。

地域密着型の地方銀行や信用金庫・組合を利用する

大手の銀行では融資を断れても、地域密着型となる地方銀行や信用金庫、信用組合に申し込めば、赤字会社でも融資を受けられる可能性は高くなります。
地域密着型のこれらの金融機関は、地元企業を応援することも含めて設立されています。倒産寸前の赤字経営でなければ、救いの手を差し伸べてくれることが多いです。

また、地元の商工会や商工会議所の会員になっていれば、融資を受けやすい地域もありますから、地域の特性をしっかり把握して恩恵を受けるようにするとよいです。

とはいっても、赤字会社の場合は事業計画書や経営改善計画など赤字のままでなく、黒字に転換する事業を行う計画をしないと、融資には通りません。やる気だけでは借り入れはできないので、黒字への転換をしっかり検討することが重要です。

日本政策金融公庫を利用する

金融機関には国が運営する日本政策金融公庫があります。

日本政策金融公庫では「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」との融資制度があり、社会的環境の変化などによって一時的に業績が悪化して赤字経営となる会社を対象としています。

一定の条件を満たすと融資を受けられる可能性があるので、赤字会社でも融資を受けられる可能性は高くなります。ただし、政府系の金融機関となるので審査に必要な資料は多くなり、審査も時間がかかるので、急いでいる会社には不向きとなってしまいます。

消費者金融のビジネスローンを利用する

銀行系の金融機関で融資が受けられないなら、消費者金融のビジネスローンの利用がおすすめです。銀行系よりも審査が優しいので、融資を受けられる可能性は高くなってきます。

審査用の書類も確定申告の書類など、さほど多くありません。ただ、融資が受けやすい代わりに金利が高いのがデメリットとなってきます。

それでも「融資を受けられないよりはよい」と判断される場合には、一度相談してみることをおすすめします。

クラウドファンディングを利用する

近年では、クラウドファンディングで資金調達を試みる会社も多くなっています。クラウドファンディングとは、インターネット上の専用サイトにて不特定多数の賛同者から、少額ずつ資金を調達する方法です。

赤字なのか黒字なのかの報告は不要なので、赤字会社でも行なえる調達法です。ただ、ラウドファンディングでは、プロジェクトに賛同してもらう必要があるので、共感してもらいやすいプロジェクトを考える必要がありますし、支援金額に応じてリターンも必要となってきます。
曖昧なプロジェクトだと目標金額を達成できず、資金調達できないケースもあります。

ファクタリングを利用する

売掛金を多く抱えているなら、ファクタリングを利用して現金化することをおすすめします。

売掛金がすぐに回収できないことで資金繰りが悪化しているのなら、入金を待つよりファクタリングにて確実に現金化した方が現実的です。

会社の経営状態が悪いときに、万が一売掛金を回収できなければ、会社にとってのダメージは大きいでしょう。反対に「注文が入ることは見込めるのに現金がなく、在庫が確保できない」「大口顧客の売掛金の回収日まで期間が長い」などの場合には、ファクタリングが非常に便利に感じられるはずです。

まとめ

赤字なのに会社がどうして倒産しないのか、赤字でも可能な資金調達の方法について、詳しく解説してきました。

赤字会社にはさまざまなタイプがありますが、極端に分類すると、本当に赤字となっている会社と、意図的に赤字にしている会社に分かれます。

意図的に赤字にしている会社でも、社会的信用は低くなり売上がなかなか伸びず、本当の赤字に陥って倒産する可能性が高くなります。本当の赤字会社は早急に対策を取らないと、倒産に追い込まれてしまいます。

倒産の危機から脱出するには、事業を見直して黒字化することと、当面の運転資金を確保することが重要です。

大手銀行では赤字会社への融資は難しいので、地域に密着している金融機関を選んだ方がよいです。

その他にも赤字会社でも資金調達する方法はいくつかありますから、記事内の方法をぜひ検討してください。

特にファクタリングは、未回収リスクのある売掛金を、確実に現金化できる有効な資金調達法ですから、売掛金のある赤字会社には強くおすすめできる調達法です。

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