事業を運営していると、急ぎや即日で事業資金が必要な場面場合に遭遇する場合があります。
銀行融資は通常審査に時間がかかり、即日に資金調達ができません。
即日に現金化が可能な資金調達方法として、どのようなものがあるのでしょうか。
本記事では、急ぎや即日で事業資金を資金調達できる方法を解説します。
いざというときに覚えておくと役立つ内容ですので、最後までお読みください。
監修者プロフィール
税理士法人 浅野会計事務所
税理士法人浅野会計事務所は、愛知県清須市にあり、創業40年以上、経営・金融・税務・会計・労務のスペシャリストとして各種サポートを行っています。代表の浅野芳郎をはじめ、税理士4名、行政書士1名、社会保険労務士1名ほかファイナンシャルプランナー、宅建資格の資格保持者などもおり、長く経営するためのサポート体制を整えています。
事業資金の即日融資は可能なのか?
事業資金の即日融資を謳う会社は多いです。しかし、そういった会社は審査をきちんと行っていない可能性があります。
事業資金の即日融資は不可能であるのが結論です。なぜなら、審査に時間がかかるからです。
例えば、銀行融資の場合、申込から融資を実行するまで、早くて3週間、案件によっては1ヶ月以上かかる場合があります。
金融機関が融資を行う場合、担当者は「貸出稟議書」を作成し、決裁権限者の承認を得なければなりません。
貸出稟議書を作成するにあたって融資担当者は、自社の経営状況などさまざまな情報を確認することが必要です。
企業の経営者や経理担当者などにヒアリングを行うのは不可欠であるので、時間がかかります。
貸出稟議書が承認されても、企業から金銭消費貸借契約書といった融資の実行に必要な書類を徴求しなければなりません。
書類等に不備がないことを確認してはじめて融資が実行されます。
そのため、融資を行うには相応の時間がかかるのが一般的であり、即日融資は現実的ではありません。
前述にもかかわらず、事業資金の即日融資をうたう会社は多いです。
銀行融資を例としてあげましたが、きちんとした審査には時間がかかります。
即日融資が可能であることは、審査を手抜きしているとも考えられるので、利用をする場合注意が必要でしょう。
銀行融資以外で事業資金を即日調達する方法
銀行融資では、即日資金調達が難しいのですが、他の方法で事業資金を即日調達することは可能でしょうか。
銀行融資以外で事業資金を調達できる方法として以下のものがあるので、それぞれ紹介しましょう。
- ファクタリング
- 手形割引
- 手形貸付
- ノンバンク系のビジネスローン
方法1.ファクタリング
ファクタリングとは、企業が保有している売掛金を、ファクタリング会社に譲渡することで売掛金を早期の現金化が可能な資金調達方法です。
売掛金を保有している企業であればファクタリングは利用可能です。
ファクタリングのメリットとして、以下の点があります。
- 早期の現金化が可能
- 融資でないため返済義務がない
ファクタリングは債権譲渡のため、企業はファクタリングを利用することで、売掛金の未回収リスクからの回避が可能です。
ファクタリングのデメリットとしては次の点があげられます。
- 売掛金以上の金額の資金調達ができない
- 手数料がかかる
詳細は後述しますが、ファクタリングには、「2者間取引」と「3者間取引」があり、売掛先にファクタリングの利用が知られる取引は3者間取引です。
2者間取引は、売掛先を介さない取引であるので、取引先には知られたくないのであれば2者間取引を利用するのがいいでしょう。
ファクタリングは、資金調達における難易度は比較的緩いと考えられます。
銀行融資の場合、自社が審査対象ですが、ファクタリングの場合、主な審査対象は売掛先です。
なぜなら、ファクタリング会社は売掛先から資金を回収するためです。
売掛先の決算状況をもとに、安全に売掛金が入金されるのかを審査します。
自社の決算状況が赤字続きであったり、債務超過であったりしても、審査に影響しないのが一般的です。
資金調達までの日数は、おおむね1日~1週間程度です。
ファクタリング会社の中には。最短1日で現金化が可能なファクタリング会社もあります。
方法2.手形割引
手形割引とは、企業が保有する受取手形を、銀行等金融機関および手形割引専門会社に買い取ってもらい、手形の期日前に現金化する方法です。
前述のファクタリング同様、手持ち資産の有効活用で資金調達が可能で、「アセットファイナンス」と呼ばれます。
手形割引のメリットとして、次の点があります。
- 融資に比べ審査に通りやすい
- 早期の現金化が図れ、資金繰りの改善が見込まれる
手形割引のデメリットには、以下のものがあります。
- 割引料がかかる
- 額面の一部を割引けない
審査は、銀行融資より厳しくないのが一般的です。
自社の財務内容以外に振出先の財務状況が審査の対象となります。
資金調達までにかかる日数は、おおむね1週間程度です。
手形割引専門会社の中には、最短1日で現金化が可能なところもあります。
注意点として、割引した手形が不渡となった場合、自社は、買い戻す必要があります。
手形割引会社は、貸金業者の登録をされているので、申込時には必ず確認しましょう。
方法3.手形貸付
手形貸付とは、資金調達を希望する企業が金融機関や貸金業者に約束手形を振り出すことにより資金を調達する方法です。
主に1年以内に返済可能な短期運転資金や、つなぎ資金として利用されるのが一般的です。
手形貸付のメリットとして、以下の点があります。
- 審査が早い
- 印紙税が抑えられる
一方、デメリットには、次のことがあります。
- 1年以上の融資には不向き
- 高い信用力が必要
手形貸付は、通常1年以内の融資であるため、早期回収が図れるため、長期の融資より審査が厳しくないとされています。
1年以内の融資であるため、審査が早く、最短1週間程で資金調達が可能なケースもあります。
注意点として、手形貸付は期日に融資金額を決済する必要がある点です。決済できなければ、不渡手形となります。
手形貸付事業者は、手形交換所に不渡届を提出し、全国銀行協会へ報告されます。
不渡を出した事実が、全国の金融機関に情報共有されることとなり、今後の事業運営に大きく影響するので注意が必要です。
方法4.ノンバンク系のビジネスローン
ノンバンク系のビジネスローンは、信販会社や消費者金融等、ノンバンクより資金調達する事業資金専用のローン商品です。
申込対象者は、法人経営者および個人事業主で、事業を営んでいない個人は対象外です。
ノンバンク系のビジネスローンのメリットとして、次の点があります。
- 融資総額が年収の3分の1を超えない、いわゆる総量規制の対象外
- 原則無担保、無保証人での申込が可能
デメリットは以下の点です
- 金利が銀行融資より高い
- 借入金額の上限が低い
審査は銀行融資より厳しくないのが一般的で、通常1週間程度で借入可能です。
ビジネスローンの申込を行う場合、延滞履歴があり個人信用情報に登録されているいわゆるブラックリストに登録されている経営者や事業主は、審査の対象外となるので注意が必要です。
即日調達を重視するならファクタリングがおすすめ
事業運営をしていると、急な出費が発生することが起こり、即日に資金を調達が必要となるケースがあります。
即日調達を重視する場合、ファクタリングがおすすめです。
ファクタリングを推奨する理由として、融資でない点があります。
ファクタリングは、売掛金を現金化するため、手持ち資産を現金(預金)に振り替えての資金調達方法なので、負債が増えません。
通常、融資により資金調達を行うと、負債が増加するため、企業の安全性の指標である「自己資本比率」が低下しますが、ファクタリングは負債でないため、自己資本比率を低下させることなく資金調達が可能です。
ファクタリングを利用する場合、企業はファクタリング会社に手数料を支払いますが、ファクタリング利用時に発生する手数料は、経費として計上できます。
ファクタリングは、法的には「債権譲渡」に該当します。
「貸付」ではないため、ファクタリング会社は、貸金業の届出は不要です。
ファクタリングには、「2者間取引」「3者間取引」があり、自社に適した取引方法で資金調達が可能です。
資金調達スピード | 最短1日~3日以内 |
必要書類 | 本人確認書類・銀行通帳・請求書・商業登記簿謄本・印鑑証明等 |
手数料 | 手数料1.2%~ |
審査難易度 | 売掛金があれば資金調達可能 |
ファクタリングの2社間取引・3社間取引とは
ファクタリングの取引方法として、「2者間取引」「3者間取引」の2通りがあります。
それぞれの特徴や違いについて紹介します。
2者間取引が向いているケース
2者間取引とは、自社とファクタリング会社との間で契約を行う取引です。
特徴として、短期間での現金化が可能であり、売掛先に知られずにファクタリングの利用ができる点があります。
一方で、未回収リスクが高いため、3者間取引より手数料が高いのが一般的とされています。
一日でも早く資金調達を考えている経営者には2者間取引が向いています。
また、売掛先にファクタリングの利用を知られたくない場合も2者間取引をおすすめします。
3社間取引が向いているケース
3者間取引とは、自社とファクタリング会社、および売掛先との間で交わす取引です。
特徴として、売掛先の同意が必要な点があります。
同意を得る必要があるので、2者間取引より現金化に時間を要します。
売掛先がファクタリング会社に直接入金するため、未回収リスクが減るため、手数料が低く設定されているのが一般的です。
手数料を低く抑えたいと考えている経営者には3者間取引が向いています。
調達額がその場でわかる
ファクタリングを利用するときの流れ
ファクタリングを利用するときの流れは、一般的に以下のようになっています。
1.電話・問い合わせフォーム等より事前相談 |
自社の売掛債権を買い取ってもらえるかどうかをファクタリング会社に相談します。1社だけでなく複数のファクタリング会社に相談することをおすすめします。 |
↓
2.申込 |
自社の売掛債権が買取可能で、条件提示の良いファクタリング会社が見つかれば申込をします。 |
↓
3.必要書類の提出 |
ファクタリング会社から指定のあった必要書類を提出します。 主な書類として、請求書・通帳(コピー)があります。 |
↓
4.審査 |
必要書類を提出すると、ファクタリング会社は審査をし、書類で判断できない点は、直接ファクタリング会社から質問されます。 |
↓
5.契約を結ぶ |
審査後、ファクタリング会社から見積書が送られ、記載内容に問題なければファクタリング会社と契約を結びます。契約時には、身分証明書・印鑑証明書等が必要です。 |
↓
6.入金 |
契約を交わすと、企業が指定した口座にファクタリング会社から、手数料を差し引いた金額が入金されます。 |
ファクタリング会社を選ぶときのポイント
ファクタリング会社の中には、悪質なファクタリング会社が存在するので注意しなければなりません。悪質ファクタリング会社から被害に遭わないようにするには、どのような点に注意してファクタリング会社を選べばいいのでしょうか。
ファクタリング会社を選ぶときのポイントとして以下の点があるので、悪質会社に注意して慎重にファクタリング会社を選びましょう。
- 自社の情報開示をしているかどうか
- 手数料が妥当であるかどうか
- 契約に関する説明が明確であるかどうか
優良なファクタリング会社は、自社の情報開示を行っているのが一般的です。
本支店の所在地や代表者名、事業内容や沿革、社員紹介なども公式HPに記載されています。
そうでないファクタリング会社は、固定電話がなかったり、公式HPすら存在していなかったりします。
取引件数や実績をHPで掲載しているファクタリング会社を選ぶことが賢明です。
手数料には相場があり、2者間取引では、10%前後、3者間取引では1.2%~が相場とされています。
相場よりあまりにも高い手数料を求めるファクタリング会社には注意することが必要でしょう。
契約時に、担当者は契約に関して通常、詳細についてていねいに説明します。
説明があいまいであったり、わかりやすく説明をしなかったりするファクタリング会社には注意が必要です。
契約書の内容がファクタリングでなく、貸付の内容の契約書になっている恐れも考えられます。
万が一、契約時に以上のようなケースに遭遇した場合、契約を行わずに別のファクタリング会社を探すのがいいでしょう。
ファクタリング会社の中には、事前にどれぐらいの金額が調達可能であるのか、目安がわかる無料診断サービスを提供しているところもあるのでおすすめです。
JTCも公式HP内に、「無料スピード診断」を設けていますので、その場で調達額がわかり、資金繰りの目安となるので、ぜひお試しください。
調達額がその場でわかる
まとめ
事業資金の資金調達にはさまざま方法がありますが、すべての方法が急ぎや即日で事業資金の調達が可能なわけではありません。
ファクタリングは、即日資金調達が可能な方法の一つです。自社の決算状況が芳しくなくても、審査に影響しません。
資金調達以外にも、ファクタリングは貸倒リスクの回避も可能なのでおすすめです。
ファクタリング会社を選ぶ際にチェックしたいポイントとして、以下の点があります。
- 自社の情報開示をしているかどうか
- 手数料が妥当であるかどうか
- 契約に関する説明が明確であるかどうか
また、事前に調達可能金額を把握しておくことも、円滑に資金繰りを行うには必要です。
JTCは、事前に調達額がその場でわかるスピート診断がサイト内で把握できます。
スムーズな資金調達を図るのには、JTCのスピード診断を試してみてはいかがでしょうか。