ファクタリングは、日本でも知れ渡るようになるとともにファクタリングサービスを実施する業者も増加しつつあります。それにつれてファクタリングをお申し込みされる会社様も増加しています。当記事では、ファクタリングがどのような歴史的変遷を見せてきたか、また日本でもどのような変遷を見せてきたのかについて解説していきます。
◆ファクタリングが生まれたのは19世紀末の海外
ファクタリングといえば、まずは売掛債権の買取や売掛金をすぐに現金にできるようなメカニズムを彷彿とされる人が多いと思います。そのメカニズムの通り、ファクタリングは専門業者を通じて事業資金調達を叶えつつもその保証をとりおこなう手段なわけです。
ファクタリングがどのような経緯で生まれたかは実は明らかでないのですが、1800年代後半ないし1900年代前半にかけて発祥したとされています。発祥国については2通りの説に分かれるようですが、アメリカとイギリスが有力のようです。
◆日本でのファクタリングの歴史
日本にファクタリングが導入されたのは1970年代以降のことです。この時点ではごく一部でしか用いられていなかったため、まだまだ一般的な認知には至っていませんでした。
なぜなら、その当時はファクタリング業者の労力に見合った見返りが乏しかったことや、金融機関の信用力が大きくなかったこと、それにその当時の日本では手形での取引がメインであったため、売掛債権を売買するニーズもそれほどなかったからです。
近時のファクタリングにかかる法規は、それ単独のものとしては存在しませんが、債権譲渡にかかる民法が規定されている程度です。相当法条として、民法466条ないし468条が該当します。
ただし、平成10年に「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」という特例法規が新たに設けられ、平成17年に当該法律が一部改正されたことから、法規上の瑕疵が手直しされた上で手続が簡略になりました。一連の流れから、ファクタリングのニーズが増加し、昨今に至ります。
◆なぜ歴史があるのにファクタリングはまだ浸透しきっていないのか
それなりの歴史があるにもかかわらずファクタリングが日本で未だ浸透しているとはいえない理由が、どのような点にあるのかを解説していきます。
まず挙げられるのが、総合商社の性質です。これまでは海外との取引において総合商社が代理店、金融、信用調査など諸々の機能を包含し対峙していました。ところが、近時のウェブの進展によってそれぞれが別個で海外との取引で進捗していったために、これまでの総合商社の対応ではまかないきれなくなってきています。
もう一つは、いわゆる手形がメインに利用されてきたことが挙げられるでしょう。ただ、近時に至るまで手形での決済は縮小しつつある現状です。手形にかかる規模の変遷からしても1990年の最高潮を頂点に、バブル崩壊を経て右肩下がりを続けている一方です。
最後に、世界的な趨勢とは反している点なのですが、日本ではファクタリングを利用すること自体が取引先からの信用性を欠落させてしまうなどといった風潮があるのです。ただ、世界的な見地から見れば、そのようなことはないのが事実です。
◆まとめ
ファクタリングの歴史は、欧州や米国をメインに展開され、世界的標準といっても過言ではないほどまでに繰り広げられてきました。ファクタリングは時間の効率化、リスクの回避、環境にも依存しない、などの強みがありながらも、日本では浸透しているとはいえない現状です。日本でしか存在しない偏見に囚われることなく、柔軟な資金繰りを行う会社様こそが、これからの経済をリードしていくのではないかと考えています。