事業を運営するにあたって、資金調達が欠かせません。現在の資金繰りには問題ないものの、取引先の資金繰りが悪化し、倒産するようなことがあれば、自社の事業運営にも影響を及ぼしかねません。経営環境の急変に備えるべく、資金調達方法を事前に検討しておくことは重要です。
本記事では、1,000万円の事業資金を調達する7つの方法について解説します。
それぞれの方法のメリット・デメリットも紹介していますので、資金調達の参考にしてください。
監修者プロフィール
税理士法人 浅野会計事務所
税理士法人浅野会計事務所は、愛知県清須市にあり、創業40年以上、経営・金融・税務・会計・労務のスペシャリストとして各種サポートを行っています。代表の浅野芳郎をはじめ、税理士4名、行政書士1名、社会保険労務士1名ほかファイナンシャルプランナー、宅建資格の資格保持者などもおり、長く経営するためのサポート体制を整えています。
事業資金1000万円を借りる方法
事業者が事業資金を1,000万円調達する方法として、以下の7つの方法があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介しましょう。
- 銀行融資
- 日本政策金融公庫
- ノンバンクローン
- 補助金・助成金
- 投資家から資金調達
- クラウドファンディング
- ファクタリング
方法1:銀行融資
銀行融資は「プロパー融資」とも呼ばれ、銀行が直接審査して融資を行う方法です。
メリット・デメリットとして以下の点があります。
【メリット】
- 信用度や業績次第で多くの資金を低金利で調達できる
- 経営権が奪われない
【デメリット】
- 審査が厳しく時間がかかる
- 返済義務がある
銀行融資は、企業の信用度や業績によっては多額の資金を低金利で調達することが可能です。出資でないので、第三者に経営権が奪われる心配がありません。
銀行融資は負債であるため、返済しなければなりません。銀行融資は、資金が回収不能とならないよう、銀行における審査が厳しく、時間がかかります。場合によっては1ヶ月以上かかるケースがあります。
方法2:日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、政府が出資している金融機関です。日本政策金融公庫で資金調達するメリットおよびメリットは次の通りです。
【メリット】
- 無担保・無保証で融資が受けられる
- 審査基準が銀行融資より低い
【デメリット】
- 準備書類が多い
- 経営の助言が受けられない
銀行融資においては、回収不能を想定して担保や保証人を求める場合があります。
日本政策金融公庫は、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としているため、担保や保証人を必要としない融資が受けられます。
審査基準は銀行融資よりは厳しくありません。政府系金融機関であるため、信用できる企業であるのかに関する書類をそろえる必要があります。
銀行の担当者のように経営のアドバイスを受けられない点がデメリットです。
方法3:ノンバンクローン
ノンバンクローンとは、消費者金融会社や信販会社等銀行でない貸金業者が行う事業者向けローンです。
以下の点がメリットおよびデメリットです。
【メリット】
- 原則無担保・無保証人
- 銀行融資に比べ審査が早い
【デメリット】
- 金利が高い
- 借入可能金額が低い
ノンバンクローンは、原則無担保・無保証人での融資です。
審査に関しても、銀行融資のように1ヶ月近くかかることはなく、1~2週間程度で資金調達ができます。
一方で、金利が銀行融資より高いのが一般的で、中には10%を超えるローンもあります。
ノンバンクローンは貸出金額の上限金額が通常設定されているので、必要な金額を調達ができない恐れもあるので注意が必要です。
方法4:補助金・助成金
補助金・助成金は、国や地方自治体より支給される資金です。申請することで資金調達としての活用が可能です。
【メリット】
- 返済する必要がない
- 社内体制の整備が可能
【デメリット】
- 申請に手間がかかる
- 後払いのため手持ち資金が必要
補助金・助成金は基本的に返済が不要です。雇用関連の助成金などでは、就業規則等多くの書類をそろえなければなりませんが、準備段階において、社内体制を整えることが可能となります。
一方で、申請に当たって手間や時間がかかります。申請書類に不備があれば受け付けてくれません。
支給が後払いのため、事前に手持ち資金や、他の資金調達を行う等、準備しておくことが必要です。
方法5:投資家から資金調達
ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家等から出資を受け入れることで資金調達が可能です。
【メリット】
- 返済する資金でない
- 信用力が増す
【デメリット】
- 事業者が考えている資金が調達できないケースがある
- 経営権が奪われる恐れがある
自社の株式に出資するので、返済する必要のない資金が調達可能です。
自己資本比率が高くなるので、企業としての安全性が増し、社会的に信用度が高まります。
一方で、出資を募っても自社が考えている資金が集まらない恐れがあります。
出資者は経営に口出ししてくる場合があるので、事業者は思うような経営が行えない場合があるかもしれません。
株主比率によっては経営権を奪われるリスクが起こり得ます。
方法6:クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、インターネットで自社の商品やサービスを発信し、共感した不特定特定多数から資金を調達する方法です。
【メリット】
- 銀行融資で通らなかったプロジェクトでも多額の資金調達が可能
- 商品やサービス等プロジェクトの反応が把握できる
【デメリット】
- 目標金額に達成するとは限らない
- プロジェクトを行えなかった場合、支援者に説明や返金を行う必要がある
銀行融資で通らなかったプロジェクトについて、共感が得られれば、資金調達が可能です。
内容次第では、必要以上の金額が調達できる可能性があります。
資金調達以外でも、商品やサービス等の反響をチェックすることがクラウドファンディングでは可能です。
プロジェクトに共感を得られない場合、目標金額に達しない恐れがあります。
プロジェクトが行えなかった場合、資金を出してくれた支援者に理由を説明し、返金しなければなりません。
方法7:ファクタリング
ファクタリング(入金前払いシステム)とは、事業者が保有する売掛金を、ファクタリング会社に買い取ってもらい、債権譲渡することで早期に現金化が可能な資金調達方法です。
【メリット】
- 最短1日で現金化が可能
- 売掛先の倒産リスクを回避できる
【デメリット】
- 売掛金以上の資金調達ができない
- 手数料がかかる
ファクタリングの審査は、銀行やノンバンク融資等の審査より早いのが特徴です。最短1日で現金化が可能です。
急な出費が発生した場合でも、ファクタリングを利用することで対応できます。
ファクタリングはファクタリング会社への債権譲渡です。
売掛先が倒産等で売掛金が回収不能となった場合、売掛債権はファクタリング会社に移っているため、申込企業は貸倒損失を計上することがなく、倒産リスクが回避できます。
ファクタリングによる資金調達は、売掛金の額面金額が上限である点も特徴としてあります。
銀行融資同様、いくらでも資金調達が可能ではありません。
緊急性が高い資金調達にはファクタリングがおすすめ
事情があって銀行融資が利用できなかったり、急な出費が発生し、即日資金が必要となったりなど等、資金調達にも緊急性が高い場合が事業運営には発生します。
その場合、資金調達方法として、ファクタリングが重宝されます。
調達額がその場でわかる
ファクタリングについて詳しく知ろう!
ファクタリングには他の資金調達方法にはない特徴があるので紹介します。
- ファクタリングは違法ではない
- 2者間取引と3者間取引がある
- 融資(借金)ではない
- ファクタリングで支払った手数料は経費に計上できる
- 資産のオフバランス化に活用できる
ファクタリングは違法ではない
ファクタリングは、事業者が保有する売掛金をファクタリング会社に譲渡することで、早期に現金化ができる資金調達方法ですが、違法ではありません。
なぜなら、債権の譲渡は民法で認められているからです。
ファクタリングは、債権譲渡により早期に現金化が可能な資金調達方法であるものの、金銭の貸借は発生していません。
金銭の貸借が発生するのであれば、貸金業登録をする必要がありますが、そもそもファクタリングは融資でないため、ファクタリング会社は貸金業登録がなくとも違法とはなりません。
2者間取引と3者間取引がある
ファクタリングには、「2者間ファクタリング」「3者間ファクタリング」の2種類があります。
2者間ファクタリングは、事業者とファクタリング会社が契約して行うファクタリングです。
売掛先から入金された売掛金を、事業者はファクタリング会社に指定された日までに入金する必要があります。
特徴として、売掛先に知られずにファクタリングを利用することが可能です。
一方で、3者間ファクタリングより手数料が高いのが一般的で、10%前後が相場とされています。
3者間ファクタリングは、事業者とファクタリング会社、および売掛先とのやりとりで行われます。
ファクタリング会社に債権譲渡する際に、売掛先に同意を求めることが必要です。
債権譲渡されると、売掛先は譲渡先であるファクタリング会社に、売掛金を直接入金します。
直接入金されることで、未回収リスクが2者間ファクタリングより低くなります。
そのため、手数料が低くなるのが一般的であり、手数料は1,2%~が相場といわれています。
事業者が売掛先にファクタリングを利用していることが知られてしまう点も、3者間ファクタリング会社の特徴です。
融資(借金)ではない
ファクタリングの特徴として、融資でない点があります。
銀行融資の場合、事業者は銀行と金銭消費貸借契約を結びます。
ファクタリングは、債権譲渡であるため、ファクタリング会社と債権譲渡契約を交わします。
そのため、ファクタリングは決算書上、負債として記載する必要がありません。
ファクタリングで支払った手数料は経費に計上できる
ファクタリングを利用する場合、事業者はファクタリング会社に手数料を支払うことが必要です。
手数料は、債権金額とファクタリング会社から入金された金額との差額です。
営業外費用の勘定科目である「売掛債権売却損」として手数料は会計処理します。
「売掛債権売却損」の勘定科目が設定していない場合、「支払手数料」として処理することも可能です。
資産のオフバランス化に活用できる
オフバランス化とは、資産や取引などが事業主体の財務諸表に記載されない状態のことをいい、資産効率の改善などが期待できます。
ファクタリングは、売掛金が現金(預金)に振り替わる資金調達方法です。
同じ資金調達の方法である銀行融資の場合、負債が増加します。
ファクタリングは負債の増加ではないので、資産のオフバランス化に向いているといえるでしょう。
ファクタリング会社の選び方
ファクタリング会社を選ぶにあたって、意識する点として以下の5点があります。
- 手数料が高すぎないところを選ぶ
- 現金化までのスピードの早さで選ぶ
- 自社に合った取引形態で選ぶ
- 必要書類の量で選ぶ
- 売掛債権の買取可能額で選ぶ
手数料は2者間ファクタリングでは、9~20%、3者間ファクタリングでは1.5%~9%が相場とされています。
相場以上の手数料を求めるファクタリング会社には注意が必要です。
ファクタリング会社の中には最短1日で現金化が可能なところもあるので、資金繰りの改善や、急な出費が頻繁に発生する等、事業者の現状に即して選ぶ必要があります。
ファクタリングの取引形態には、2者間ファクタリングおよび3社間ファクタリングがあるので、事業者に適した取引形態を選ぶようにしましょう。
ファクタリングの申込み、および契約において、事業者はファクタリング会社に必要書類を提出しなければなりません。
ファクタリング会社によって必要書類の量はさまざまです。
必要書類の量で選ぶことも、選び方の一つといっていいかもしれません。
売掛債権の買取可能金額を設定しているファクタリング会社が多数あります。
買取可能金額が、事業者の規模に適しているかを確認してから申込みを行うようにすることをおすすめします。
事前の無料診断も活用しよう
ファクタリングの手数料は、ファクタリング会社ごとで異なります。
複数のファクタリング会社を比較したうえで申込みたい事業者や、銀行融資などほかの資金調達方法に迷っている人は、無料診断を活用してみてはいかがでしょうか。
ファクタリング会社の中には、事前にどれぐらいの金額が調達可能であるのか、目安がわかる無料診断サービスを提供しているところもあります。
JTCも「無料スピード診断」によって、その場で調達額がわかるので、ぜひお試しください。
調達額がその場でわかる
まとめ
JTCは、2013年創業のファクタリング会社です。取引件数10,000件以上、取扱金額500億円の高い信頼と実績を備えています。
資金調達の目安となる金額をお知りになりたい場合、JTCの無料診断サービスを利用してみてはいかがでしょうか?その場で調達額がわかるので、試してみてはいかがでしょうか。
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