取引先の承諾なしのファクタリングのメリット・デメリット
会社の資金繰りの手段として、「ファクタリング」という方法があることはご存知の方が多いと思います。このコラムではそのファクタリングの方式の一つである「取引先の承諾なしのファクタリング」について、その成り立ちやメリット・デメリットを解説します。
◆取引先の承諾なしのファクタリングとは
「取引先の承諾なしのファクタリング」とは、ファクタリング会社と、申し込みをした会社様との間でのみファクタリングを行う方法です。そもそもファクタリングというのは、売掛債権を買い取ることで、金銭の流れが発生するものです。
世界各国では古くから行われていた資金調達方法で、本来はファクタリング会社、資金調達をしたい会社様、その売掛先の会社様の3社間で行われています。しかし日本に限っては、2社間ファクタリングが広く行われています。それは我が国だけに存在する固有の商習慣があるからです。
日本では以前から銀行融資、手形、不動産などの担保を使用した資金繰りが長く行われてきた経緯があります。そのため「ファクタリングという認知度が低い方法を使用する会社は、資金繰りが思わしくないのでは」と取引先様に勘繰られるリスクが発生してしまうのです。取引に不利なイメージを持たれたくないと考える会社様は、どうしても3社間でのファクタリングを利用しにくいというのが現状です。
ファクタリングの会計仕訳から見えるメリット
◆取引先の承諾なしのファクタリングのメリット
取引先の承諾なしのファクタリングのメリットを紹介しましょう。まず前項で書いたように、売掛先(クライアント)様にファクタリングを利用することを知られることが無いため、「資金繰りが上手くいっていない企業なのではないか?」あるいは「信用性が低い会社ではないか?」と疑われないことが大きなメリットです。信頼を損なうことによる業務量の低下は、どの企業様も避けたいものです。
他にも3社間のファクタリングに比べて、資金を得るまでにかかる日数が少ないというのも、早急に資金が欲しい場合には利点と言えるでしょう。3社間での取引なら手続きに数日~数週間かかるのが通常ですが、取引先の承諾なしのファクタリング方が圧倒的に期間は短くて済みます。早ければ即日の資金化も可能です。
◆お取引先の承諾なしのファクタリングのデメリット
クライアント様には利用したことを知られない、お取引先の承諾なしのファクタリングですが、メリットばかりではありません。最大のデメリットは、3社間の契約とくらべると手数料が高く設定されています。ファクタリング会社が設定する手数料は、承諾ありであれば2%~10%あたりが相場ですが、承諾なしの場合10%~30%中には40%と大きな差があります。これはファクタリング会社がリスクを低減するためにどうしても設定せざるを得ない数値となります。
3社間の契約であれば、ファクタリング会社は、申し込みをした会社様から見た売掛先様から直接入金されるので、貸し倒れになるリスクはあまりありません。一方、お取引先の承諾なしのファクタリングでは申し込みをした会社様からの入金となります。この場合、売掛先様が申し込みをした会社様に入金をしても、支払い能力が無ければ、ファクタリング会社は貸し付けを回収できない可能性があります。そのため、手数料を高く設定するのはこれを考慮した形になります。
◆まとめ
日本独特であるお取引先の承諾なしのファクタリングの意味合いや、そのメリット・デメリットをご理解いただけたことと思います。使い分けとしては、クライアント様に悪い印象を持たれたくないことを優先するのであればお取引先の承諾なし、手数料の高さを避けるのであれば取引先の承諾ありのファクタリングという判断が妥当です。これらを上手に使い分けして、効率よく資金調達を行う手助けにしていただければと思います。
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