コラム
2019年04月15日

中小企業の経営に負担をかけない事業資金調達方法や制度

中小企業の経営では、取引先が倒産するなどして突発的に事業資金が必要になるときがあります。また、大口の受注がきて人材確保や資材調達のために多額の資金が必要になる場合もあるでしょう。いざというときに資金不足に陥ってしまっては、経営リスクを高めたり事業を成長させるチャンスを失ったりしてしまいます。事業資金の不足が起こらないようにするためにも、複数の資金調達方法を把握しておきましょう。今回は、中小企業の経営にとってできる限り負担のかからない資金調達方法や制度を解説します。

 

 

中小企業の事業資金の調達先はどこがいい?

中小企業が事業資金の調達を行う際は、調達先をよく見極める必要があります。資金を調達できる可能性が低いところに時間をかけてしまっては、資金繰りが悪化して経営リスクを高めてしまうことになるからです。たとえば、中小企業が大手都市銀行から事業資金を調達するのは難しいでしょう。大手都市銀行は上場企業など規模の大きな企業を対象としているため、中小企業に対する融資には消極的です。中小企業であれば、公的機関からの融資をまず検討してみるほうが良いでしょう。公的機関としては、日本政策金融公庫の融資と信用保証協会を通じた制度融資があります。どちらも、金利が低めに設定されており、返済期間も長いのが特徴です。

 

また、信用金庫や信用組合を利用してみるのも一つの方法です。地域に根差した経営を行っているところが多く、中小企業の支援に積極的なのが特徴だと言えます。銀行融資よりも審査のハードルが低く、経営相談にも乗ってもらえるのです。そして、貸付業務のみを行っているノンバンクを利用してみるのも良いでしょう。審査のスピードが銀行に比べて速く、無担保・無保証でも融資が受けられます。中小企業が実行できる資金調達方法は複数あるので、それぞれの違いを押さえたうえで賢く利用していくのが大切です。

 

 

中小企業を支援する日本政策金融公庫

政府系金融機関である日本政策金融公庫は国が100%の出資を行っており、中小企業の支援に積極的なのが特徴です。金利や返済期間の面で、中小企業や小規模事業者にとって好条件の融資制度が多く、創業時に利用できるものもあります。開業資金・運転資金・設備資金といった事業資金の融資に前向きであるため、さまざまなシーンで利用できるでしょう。審査にあたっては税金の完納や自己資金の確保などが求められるものの、銀行融資を断られてしまった場合であっても審査に応じてもらえます。また、事業資金の融資業務だけでなく、経営相談にも乗ってもらえるので経営者にとって、心強い味方でもあるのです。

 

 

地方自治体が実施する中小企業融資制度(制度融資)

全国の地方自治体では、中小企業の経営安定化や産業振興を目的として、事業資金の融資制度を設けています。特徴としては、地方自治体と信用保証協会、金融機関が連携して融資を行っている点です。信用保証協会が保証人となることで、金融機関は貸倒れのリスクを減らすことができますので中小企業や個人事業主でも融資が受けやすい環境が整えられているのです。また、地方自治体のなかには中小企業の負担を軽減するために、信用保証料の一部もしくは全部を補助しているところもあります。各自治体によって対応が異なるので、事業拠点を置く役所に問い合わせてみて積極的に活用してみましょう。融資制度としては、産業振興資金・特別小口資金・創業支援資金などがあります。利用目的にあわせて、最適なものを選んでみましょう。
 

 

中小企業の事業資金について相談できる信用保証協会

信用保証協会は中小企業や個人事業主に対する保証を行うだけでなく、経営上のさまざまな問題に対して支援や相談業務を行っています。一定の保証料を支払うことで保証人となってくれるため、メリットも大きいのです。経営改善や事業再生支援、事業承継支援などをサポートしてくれるので、経営状況にあわせて相談することができます。また、中小企業診断士や税理士などを無料で派遣してくれるサービスなども展開しているのです。事業資金に関することだけではなく、経営上の課題が生じたときには気軽に相談してみましょう。

 

 

運転資金・設備資金として利用できるマル経融資

マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)は、無担保・無保証で日本政策金融公庫が融資を行ってくれる国の制度です。対象者は直近1年以上にわたって商工会議所地区内で事業を営んでいる人であり、商工会議所などで原則として6カ月以上の経営指導を受けている人となっています。国の制度であるため、所得税などの税金を完納していなければなりません。借入限度額は2000万円までとなっており、金利は1~2%程度です。変動金利であるため、利用する際には日本政策金融公庫のホームページできちんと確認しておきましょう。

 

返済期間については運転資金が7年以内、設備資金が10年以内となっています。据え置き期間も設定されているので、利用者にとって財務的な負担が少ないのが特徴です。事業資金として利用するのであれば、資金用途も限定されていないので幅広いシーンで活用できるでしょう。

 

 

東京商工会議所の創業支援融資保証制度

東京商工会議所では、東京信用保証協会と連携して「創業支援融資保証制度」を設けています。最大で2500万円までの融資を原則として無担保で利用できるのです。東京商工会議所が創業計画書の作成や起業後のフォローも支援してくれます。また、東京信用保証協会が提携している金融機関に融資を斡旋してくれるので、審査を通過する可能性も高くなるでしょう。要件としては創業前か創業後5年未満の法人もしくは個人であり、融資額と同等以上の自己資金を準備できることとなっています。

 

全国各地の商工会議所では、事業資金に関する相談を受け付けているので積極的に活用してみましょう。資金面の相談だけでなく、経営上の相談にも乗ってもらえるので前向きに利用を検討していくことが大切です。

 

 

東京商工会議所のメンバーズビジネスローン

東京商工会議所では、銀行や信用金庫といった金融機関と連携して「東京商工会議所メンバーズビジネスローン」という融資制度を設けています。東京商工会議所の会員で、会費を完納していることを条件としており、提携している金融機関から有利な条件で融資を受けることが可能です。融資条件については各商品によって異なっているため、あらかじめ確認しておく必要があります。融資限度額は100万円から1億円までとなっており、金利については0.8~8.5%です。担保は原則として不要であるため、運転資金や設備資金として幅広く利用できるでしょう。

 

 

大阪府の融資制度「開業サポート資金・地域支援ネットワーク型(産創館フォローアップ型)」

大阪府内でも事業を開始するために必要な資金を融資する制度があります。「地域支援ネットワーク型」という名称であり、限度額は地域支援ネットワーク型Aは1000万円、地域支援ネットワーク型Bは1500万円となっております。募集機関としても通年であり、対象は下記となっております。

 

・事業を営んでいない方が具体的創業計画を持っており、大阪市内で1か月以内に個人創業、2か月以内に会社設立する方
・創業・会社設立後1年未満の方(大阪市内の事業者)
・創業・会社設立後5年未満で本制度の融資を利用中、又は創業1年未満で日本政策金融公庫の創業融資を受け、現在も利用中の方(大阪市内の事業者)
・上記3点の方が、融資実行後3年間、金融機関又は大阪産業創造館経営相談室のフォローアップを受けることを承諾される方

 

対象は限られていますが、活用を検討してみてはどうでしょうか。

 

 

愛知県の中小企業のための融資制度

愛知県も愛知県内で事業を営む中小企業向けに事業資金を融資する制度を設けています。その中でも複数種類に分けて融資を実施しています。
1つ目は「県の融資制度」で、小規模企業等振興資金、一般事業資金、経済環境適応資金などの各種制度があります。2つ目は「あいち産業振興機構の制度」で、経営基盤の強化に必要な設備導入を図るための資金貸付を行う制度や、資金貸付の代わりに設備を導入し割賦、リースする制度となります。そして3つ目は「愛知県信用保証協会の信用保証制度」で、中小企業者が金融機関から融資を受ける際に、保証協会が保証人となって借入を行い、資金調達の円滑化を図る制度となります。
 

これらを活用してみて融資に役立てて見るのはいかがでしょうか。
 

 

事業資金の融資以外の調達方法

事業資金は融資以外の方法でも調達することができます。国や地方自治体が行っている助成金や補助金の制度を活用すれば、負債を増やすことなくキャッシュフローを改善できるでしょう。助成金の場合は要件さえ当てはまっていれば受給できるので、人材の確保や従業員の教育研修を行う際に活用していくことが大事です。補助金は応募期間や申請条件がそれぞれ異なるので、自社に当てはまりそうな制度がないかを事前に確認してみましょう。ただ、補助金の場合は受給枠が定められているものも多く、申請を行ったからといって必ずしも受給できるわけではありません。

 

クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人たちから投資してもらう方法です。寄付型・購入型・投資型の3つに大きく分けられ、実施するプロジェクトによって使い分けてみると良いでしょう。また、ベンチャー企業であればエンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)から出資を受ける方法もあります。出資によって経営の自由度は低下してしまうものの、成長が見込める事業を営んでいるなら多くの資金を調達できる可能性もあるのです。事業資金の確保だけでなく、経営上のアドバイスも受けられるというメリットがあります。

 

定期的に売掛金が発生している状態であれば、ファクタリングの利用も検討してみましょう。ファクタリングとは企業が保有する売掛金などの売掛債権をファクタリング会社に購入してもらうことで、資金調達を行う方法です。売掛債権の支払期日を待たずに現金化できるので、急に資金繰りが悪化してしまったときなどに有効な手段となります。審査においては売掛先の信用力や取引の内容が重視されるため、赤字決算や債務超過に陥っている企業でも審査に応じてもらえるでしょう。また、買戻しの請求が発生しない契約であれば、仮に売掛先が倒産してしまっても利用者が返済をする義務はありません。審査のスピードも速いので、積極的に活用していくことが大切です。

 

 

経営者は事業資金についての情報収集が必要!

国や地方自治体は中小企業の育成に力を入れているため、日本政策金融公庫の利用や助成金・補助金の活用を検討してみましょう。また、信用保証協会や商工会議所は、経営相談や専門家の派遣などによって中小企業をサポートする役割を担っています。中小企業の経営を安定させるためには、事業資金の確保が何よりも大切です。金融機関からの融資だけでなく、ファクタリングなども視野に入れて事業資金の調達先を幅広く捉えておきましょう。事業資金に関する最新情報を常に把握しておくことによって、いざというときにスムーズに行動できるはずです。