コラム
2019年05月16日

短期で事業資金を借り入れるときのポイント

経営にとって充分な事業資金を確保しておくことは、とても重要なことです。取引先の倒産や売上の低迷などの不測の事態が起こったとしても、資金繰りに問題がなければ安定的な経営を行えます。事業資金の調達方法はさまざまなものがあるので、それぞれの特徴をしっかりと押さえておくことが肝心です。自社の経営状況にあわせて、最適なものを選んでみましょう。今回は、短期で事業資金を借り入れるときのポイントについて解説します。

 

 

返済期間1年未満の短期融資の特徴

 

返済期間が1年未満の融資のことを「短期融資」と言います。短期融資は一時的な資金不足などを解消するために活用されるのが一般的です。日々の経営においては、入金サイクルと支払いサイクルとの間に時間差が生じてしまうため、タイミングによっては事業資金が不足してしまうこともあるでしょう。また、大口の受注が入って、急に人材を確保する必要が出てきたり仕入れを多くしたりする場面もあります。設備投資といった中長期的な資金需要と異なり、一時的に事業資金を確保したいときに短期投資を利用するのです。

 

短期投資は長期投資と比べて、金利が高いと一般的には言われています。その反面で、審査にかかる時間が比較的短いといった特徴もあるのです。無担保や無保証で借入が行える場合もあるので、すぐに資金を用意しないといけない場合に、短期融資を活用できるでしょう。

 

 

つなぎ融資を検討する際の資金調達先

 

つなぎ融資とは、突発的に必要となる事業資金を用意するために受ける融資のことを指します。また、金融機関の審査に時間がかかる場合に、ほかの資金調達先から事業資金を確保する意味でも使われるものです。つなぎ融資の調達先としては、銀行・ノンバンク・公的制度・不動産担保ローン・手形割引などがあげられます。売掛債権を現金化するファクタリングも有効な手段だと言えます。銀行からつなぎ融資を受ける場合には、それまでにある程度の取引実績を積んでおく必要があるでしょう。新規での融資の場合では、銀行側も貸倒れリスクを懸念するため、審査に時間がかかってしまいます。基本的には、普段から取引のある銀行に相談してみましょう。

 

預金業務を行わないノンバンクでは、各種ビジネスローンのサービスを提供しています。無担保・無保証で審査に応じてくれるため、気軽に利用しやすいメリットがあるのです。

ただ、一度にまとまった資金を調達するのは難しくもあるので、ほかの調達方法と組み合わせて利用してみましょう。そして、公的制度としては日本政策金融公庫の融資や信用保証協会の保証付き融資があげられます。国や地方自治体がかかわっていることもあり、中小企業の支援に積極的です。ただ、利用する際には税金を完納しておく必要があるので注意しておきましょう。

 

担保として不動産を提供できる場合には、不動産担保ローンを利用してみるのも良いでしょう。不動産の価値にもよるものの、一度にまとまった金額の資金調達が行える可能性があります。手形割引は、保有する満期日前の手形を銀行などの金融機関に裏書譲渡し、満期日までの利息を差し引いた金額で換金する方法です。手形の満期日が訪れる前に現金化できるので、一時的に資金が必要なときに役立ちます。しかし、手形の振出先が支払不能に陥った場合には、手形を買い戻さなければならないリスクもあるので注意も必要です。ファクタリングは審査のスピードも速く、売掛債権の信用力が高ければ、即日で現金化することもできます。赤字決算や債務超過に陥っていたとしても、審査に応じてもらえる可能性があるのです。

 

 

短期でつなぎ資金が必要となる理由を明示する

 

短期融資を受けようとする際には、資金が必要となる理由をはっきりとさせておく必要があります。資金不足の理由と資金用途を明示することによって、融資を受けやすい流れを作っていけるはずです。銀行などの金融機関では設備資金の審査はわりと通過しやすいものの、運転資金に関する融資の審査は厳密に行われる傾向にあります。業績悪化の懸念があれば返済能力が低いと判断されて、融資を受けることが難しくなってしまうでしょう。

 

そのため、会社の現状や財務内容を提示したうえで、今後の業績見通しなども説明していく必要があります。「なぜ資金が必要なのか」という部分を客観的なデータを用いて、根拠を示しながら伝えていくことが大切です。同時に、無理のない返済計画を示していけば、融資を受けやすくなるでしょう。

 

 

必要な資金額と返済能力を示すことが大切

 

資金調達先の審査をクリアするためには、「必要な資金額」と「返済能力」を明確に示していくことが大切です。資金を調達したい側からすれば、できるだけ多くの資金を確保したいと思うものの、曖昧な理由で借入希望額を提示するのは良くありません。必要な資金額の根拠を説明できなければ、貸し手側から「きちんと経営能力があるのだろうか」と疑問を持たれる要因となってしまいます。今後の業績見通しなどと照らし合わせながら、整合性のとれた金額を提示するようにしましょう。

 

また、融資の審査においてもっとも重要な点は「返済能力の有無」です。どのような調達先から融資を受けるにしても、返済能力が低いと判断されれば、借入を行うのは難しいでしょう。返済計画やキャッシュフロー計画をもとにして、きちんと返済できる点を説明していくことが大事だと言えます。ただ、気をつけておきたいのは、無理をして返済計画を前倒しする必要はないということです。自社の現状にあわせて、実行可能な返済計画を提示しましょう。

 

 

必要書類と審査で重視されるポイント

 

 

審査をスムーズに進めてもらうためには、必要書類をきちんと提出することが大切です。書類に不備があったり、提出が遅れてしまったりすれば、それだけ審査にかかる時間も長くなってしまいます。どのような書類が必要になるのかをあらかじめ把握したうえで、しっかりと準備を整えておきましょう。審査のために必要な書類は、資金の調達先によって異なるものの、一般的には損益計算書・貸借対照表・直近2期分の決算書・資金繰り表・事業計画書などです。納税証明書や取引先に関する書類の提出を求められることもあるので、融資担当者によく確認しておきましょう。

 

提出した書類で重視されるポイントには、「融資先の安定性」「取引先の安全性」「事業の収益性」の3つがあげられます。決算書や事業計画書をもとに、経営者自身が説明する場面も出てくるので、書類に書かれている数字をきちんと理解しておくことが重要です。担当者との面談に不安がある場合には、顧問税理士や経理担当者に同席してもらうのも良いでしょう。根拠を示しながら書類の説明をすることによって、融資を受けられる可能性が高まるはずです。また、担当者との面談では経営者自身の人柄も重視される場合もあるので、誠実に対応していきましょう。特に、ベンチャー企業や中小企業であれば、経営者の人柄や能力が審査の過程においても注目されるのです。

 

 

 

資金繰りの改善にはファクタリングが向いている

資金繰りの改善は、融資以外にもファクタリングを利用する方法もあります。売掛金などの売掛債権を売却することで資金調達を行うファクタリングは、一時的な資金不足の解消に適しているのです。借入ではないため会社の負債が増えることはなく、月々の返済に悩まされてしまうこともありません。また、資金用途も限定されていないので、さまざまなシーンで役立てることができるでしょう。ファクタリングの審査では、売掛先の信用力がもっとも重視されます。そのため、利用者の経営状況に左右されずに資金調達が行えるのです。上場企業や政府系機関に対する売掛債権であれば信用力が高いため、審査もスピーディに行われるはずです。

 

ファクタリングで得た資金を負債の返済に充てればバランスシートをスリム化することができ、そうすることによって財務内容の健全化にもつなげていくことができます。

金融機関からの評価が高くなれば、融資を受けやすい環境が整えられるので、銀行融資などを検討する際にも、先にファクタリングを活用してみたほうが結果的に多くの資金を調達できる可能性もあります。また、手形割引などとは異なり、買戻し請求がありません。そのため、売掛先が仮に倒産してしまったとしても、利用者は返済をする義務を負わないのです。資金繰りを改善するだけでなく、将来的な経営リスクも軽減できるのが大きな特徴だと言えるでしょう。会社の実情にあわせて、ファクタリングの利用も検討してみましょう。

 

 

 

調達先の違いを押さえて早期に資金繰りを改善しよう

 

短期で事業資金が必要となるケースでは大口の注文が急に入ったり、経営状況が悪化していたりする場合が多いと言えます。どのような理由であれ、事業資金不足には早急に対処していく必要があるでしょう。事業資金が必要になるときに慌ててしまわないためにも、普段からさまざまな調達先を検討しておくことが大切です。必要に応じてすぐに事業資金を調達できる環境を整えて、安定的な経営につなげていきましょう。