コラム
2019年05月19日

事業資金の借入から返済までをシミュレーションする方法

事業資金を借り入れる際には、返済までの流れをしっかりと確認しておく必要があります。資金繰りが悪化しているときには、目先の対応策ばかりに目が向いてしまいがちになるので注意しておきましょう。事業の見通しなどを踏まえたうえで借入を行わなければ、思いがけないところで返済計画に無理が生じてしまう可能性もあるのです。経営状況や資金管理の面から、借入が効果的であるかを検討するためにも、借入から返済までのシミュレーションを行う方法について解説します。

 

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借入から返済までをシミュレーションする

 

事業資金を借り入れるときには、無理なく返済できる計画を立てておくことが大切です。資金調達を行ってから返済のことについて考えるのではなく、事前にさまざまな角度から検証する必要があります。事業資金の調達方法はいろいろな手段があるので、「借入先が本当に適切か」といった視点を持つことも重要です。経営状況や財務内容によって、最適な資金調達方法は異なります。返済計画やキャッシュフロー計画をしっかりと立てて、時間をかけて検討してみましょう。業績が苦しくなることも想定して計画を立てておけば、資金繰りが悪化してしまうことを防ぎ、きちんと返済が行えるはずです。借入を完済するまでのシミュレーションを行うようにしましょう。

 

正確なシミュレーションを実施するためには、自社の現状をよく把握しておく必要があります。「必要な事業資金はいくらか」「借入を行うことで業績は回復するのか」といった点を考えて、経営課題を洗い出しておくことが大切です。状況に応じて、一つの資金調達方法だけにこだわってしまうのではなく、あらゆる選択肢を検討してみましょう。

 

 

無理のない資金計画を立てておく

 

安定的な経営を行うためには、充分な事業資金を確保することが重要です。新たに事業を始めたり、既存の事業を継続したりするための事業資金がいくら必要なのかを算出してみましょう。そして、どの程度を自己資金でまかなえるのかを割り出します。そのうえで、自己資金が不足している場合には借入を検討する必要も出てくるので、事前に資金計画を立てておくことが大切です。綿密に資金計画を立てることによって、月々の返済による財務的な負担や適正な借入額などが把握できるでしょう。

 

事業資金は多いに越したことはないものの、資金の大半を借入によってまかなうのは注意が必要です。事業資金の借入によって一時的な資金繰りは改善できても、すぐに資金が足りなくなってしまえば、また借入を行わなければなりません。借入額の割合が大きくなってくれば、貸す側としてもリスクが高まるため、新たな融資を行わない可能性もあります。「これまで借りてきたから、また貸してくれる」と思い込まずに、財務的な部分での健全性を保っておくことが大事です。いずれにしても、数カ月分の経費をきちんとまかなえるように、ゆとりを持った資金計画を立てておきましょう。

 

 

借入額の目安をじっくりと検討する

 

企業経営においては人件費や仕入代金の支払い、納税などさまざまなシーンで事業資金が必要になります。支払いが滞ったり、税金を滞納していたりすると企業として信用力が低下してしまい、経営を継続していくことが難しくなってしまうでしょう。経営リスクを軽減させるためにも、資金計画をもとにして必要となる借入額を判断していくことが大切です。特に、借入額が多ければ金利の負担も大きくなります。返済計画の根拠をきちんと提示しなければ、融資を断られてしまう可能性もあるのです。

 

借入希望額が大きいほど、返済計画や事業計画の正確さが問われます。事業資金を貸す側の視点に立ち、客観的に見て実行可能な計画であるかを精査しておきましょう。また、融資を通過するためには、ゆとりのある資金計画の作成・提出が必須となります。これまでの経営実績などをもとにして、説得力のある計画書を練ってみましょう。必要に応じて、中小企業診断士や経営コンサルタントなどの専門家にアドバイスをもらうのも、有効な方法だと言えます。

 

 

必要な資金と返済能力のバランスの重要性

 

事業継続にしても拡大にしても、借入によって事業資金を調達する場合は、金融機関の審査を通過しなければなりません。そして、審査の過程においてもっとも重視されるポイントは「返済能力の有無」であることを忘れないようにしましょう。返済能力が低いと判断されれば、金融機関は貸倒れのリスクを避けて融資を行ってくれません。着実に事業資金を調達していくためにも、返済能力がきちんと備わっていることを客観的に示していきましょう。

 

融資を希望する際には、借入希望額とは別に、返済能力から借入可能額を判断する必要があります。借入希望額が返済額を上回っている場合は、新たに融資を受けることが困難になってしまうものです。返済能力を判断する目安としては、「税引き後利益+減価償却費」が返済額を上回っている必要があるでしょう。事業としては利益が出ていても、それを上回る返済額を負担しなければならない状況では、やがて資金がショートしてしまいます。月々の返済が与える財務的な負担について考慮することが大切です。経営のために必要となる資金と返済能力のバランスをとりながら、計画を立てていきましょう。

 

 

 

金融機関のシミュレーターを活用する

 

借入を行う金融機関によっては、ホームページなどに「シミュレーター」の機能を備えているところもあります。日本政策金融公庫や銀行などの金融機関では、web上のシミュレーターを設置しているので、融資を検討する際に利用してみましょう。借入希望額・返済方法・返済回数・返済期間などの必要事項を入力するだけで、すぐに借入後の返済をシミュレーションすることができます。ただし、あくまでも利用者が入力した数値をもとに計算するだけの簡易的なものであるため、注意も必要です。実際の融資条件によって、返済計画にも違いが出てきます。借入を行う際の一つの判断材料として利用しましょう。詳細なシミュレーションを希望する場合には、融資の申請を行おうとする金融機関の窓口に相談することが大切です。相談の際には、経営状況のわかる資料を持参するとスムーズでしょう。

 

 

 

ファクタリングによる資金調達も活用してみる

 

事業資金を調達する手段は、何も金融機関からの借入だけとは限りません。定期的に売掛金が発生しているのならば、ファクタリングを活用してみるのも良いでしょう。ファクタリングとは、企業が保有する売掛金などの売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで現金化できる資金調達方法です。売掛金の入金期日を待たずに手元の現金を増やせるため、急に資金繰りが悪化してしまったときに有効な手段となります。資金用途は特に定められていないので、金融機関の審査が長引いてつなぎ資金が必要なときなどにも活用できます。

 

ファクタリングの大きな特徴は、審査の過程において売掛債権の信用力や取引内容が重視される点です。そのため、赤字決算や債務超過に陥っている状態であっても、審査に応じてもらえる可能性があります。また、ファクタリングはあくまでも、売掛債権という資産の売却であるため、経営状況や財務内容はあまり問題とならないので、資金計画書や事業計画書といった書類の提出も不要であるため、気軽に申し込むことができます。金融機関からの融資を断られた場合でも、ファクタリングであれば資金調達が行える可能性もあるのです。

 

ファクタリングでは買戻しの請求が発生しない契約であれば、仮に契約後に売掛先が倒産をして支払不能の状態に陥ったとしても、利用者は返済の義務を負いません。さらに、ファクタリングは融資ではないため、負債が増えることもありません。  むしろ、売却した売掛金で調達した資金によって、税金、社会保険の未納分を納付したり、ノンバンクからの借入を完済すると、ファクタリング前と比べて、負債が減るので、財務内容をスリム化できるでしょう。財務内容が健全化することで、金融機関からの評価も高まり、融資を受けやすい環境を整えることもできるのです。審査もスピーディで最短即日、遅くても数日で資金調達が行えます。すぐに事業資金が必要でない場合でも、あらかじめ検討しておくことによって、いざというときに迅速な行動がとれるようになるでしょう。

 

 

綿密な計画による資金管理を徹底しよう

 

借入によって事業資金を調達する場合には、さまざまな計画書を作成して、事前に見通しを立てておくことが肝心です。資金計画や返済計画を立てて、さらに今後の事業の見通しを示した事業計画も精査しましょう。それぞれの計画書を照らし合わせて、無理のない借入と返済が行えるのかをシミュレーションすることが大切です。一つの方法だけに頼ってしまうのではなく、複数の方法をシミュレーションすることによって、最善の選択肢をとれるでしょう。また、借入ばかりを考えるのではなく、ファクタリングを活用するなどしてほかの資金調達方法と組み合わせてみることも重要です。自己資本と他人資本のバランスをうまく保ちながら、必要な事業資金を確保していきましょう。