ファクタリングは、自社が保有する売掛金を利用して資金調達が可能です。
ファクタリング会社に自社の売掛金を買い取ってもらうことで、早期に現金化できます。
本記事では、ファクタリングの仕組みについて解説します。
契約までの流れや契約時の注意点などについて紹介しますので、ファクタリング利用を検討している事業者はぜひ参考にしてください。
監修者プロフィール
税理士法人 浅野会計事務所
税理士法人浅野会計事務所は、愛知県清須市にあり、創業40年以上、経営・金融・税務・会計・労務のスペシャリストとして各種サポートを行っています。代表の浅野芳郎をはじめ、税理士4名、行政書士1名、社会保険労務士1名ほかファイナンシャルプランナー、宅建資格の資格保持者などもおり、長く経営するためのサポート体制を整えています。
ファクタリングとは
ファクタリングとは、事業者が保有する売掛金をファクタリング会社に売却して現金化できる資金調達方法の一つです。
ファクタリング会社に手数料を支払って買い取ってもらうことで、事業者は売掛期日より早期に現金化が可能となります。
また、ファクタリングは融資でないので、担保や保証も不要です。
審査も融資と違い、スピーディーに行われるため、急な出費が発生しても対応可能です。
ファクタリングの利用率は4割以上
ファクタリングは徐々に認知度を上げており、業種ごとの差はあるものの、利用率も高まっています。
経済産業省が発表した2021年3月の報告書によると、全業種のファクタリング利用率は45%と半数近くに及んでおり、建設業・製造業・卸売業・運輸業が利用率の高い業種となっています。
ファクタリング利用率の高い業種 | 利用率 |
建設業 | 43.2% |
製造業 | 55.2% |
卸売業 | 51.6% |
運輸業 | 41.5% |
(出典:経済産業省「約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会 報告書」)
最近では、オンライン対応が可能なファクタリング会社も増えてきており、遠方の事業者への利便性も向上しています。
株式会社JTCは、対面・オンラインの両方でのご相談が可能です。
初回利用のお客様においては、できる限り対面をお願いしていますが、状況によって柔軟に対応しております。
対面が難しい方は一度ご相談してください。
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ファクタリングに違法性はない?
事業者の中には、ファクタリングは違法な資金調達方法ではないのかと思う人もいるかもしれません。
もちろん、ファクタリングは違法ではありません。
ファクタリングの法的性質は、債権の譲渡です。民法にも 債権の譲渡性について定められています。
以前は、債権譲渡禁止特約がついたものに対しては、売掛債権の譲渡は無効とされていました。
しかし、2020年4月1日の民法(債権法)の改正により、債権譲渡禁止特約つきの売掛債権でも譲渡が可能となりました。
とはいえ、売掛先によっては「支払いの相手方を固定したい」と譲渡を嫌がるケースがあるかもしれません。
トラブルを避けたい場合、あらかじめ売掛先に、売掛債権をファクタリング会社へ譲渡することを伝えておくことをおすすめします。
(参考:経済産業省「債権法改正により資金調達が円滑になります」)
債権回収会社や融資との違い
ファクタリング同様、売掛債権を活用して資金調達が可能な方法として、債権回収会社(サービサー)の利用があります。
債権回収会社(サービサー)は、企業が自力では債権の回収が難しい不良債権を買い取る会社です。
不良債権を買い取るため、額面の債権金額の2〜3%程度で買い取るのが一般的とされています。
ファクタリングとサービサーとの相違点について表にまとめました。
ファクタリングとサービサーとの相違点
ファクタリング | 債権回収会社 | |
利用者 | 法人・個人事業主 | 金融機関・ノンバンク |
対象債権 | 支払期日前の確定債権 | ※特定金融債権 |
買取額 | 額面金額の70~99% | 額面金額の2~3% |
利用目的 |
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※特定金融債権とは、以下の7種類です。
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ファクタリングは即日現金が可能ですが、急な資金調達でない場合、融資を利用することもあります。
融資は審査に時間がかかるのが特徴で、ファクタリングでは、即日から1週間ほどで現金化が可能です。
一方、融資は通常、3週間から1ヶ月ほどかかります。
案件によっては2ヶ月近く審査に要するケースもあります。
審査対象がファクタリングと融資とでは、異なるのも特徴です。
ファクタリングの場合、審査の対象が売掛先であることが一般的であり、融資の場合は申込企業が審査対象となります。
融資を受けると、申込企業に返済義務が発生するためです。
そのため、金融機関は、申込企業に返済能力があるかどうかを審査します。
ファクタリングの仕組み
ファクタリングには大きく分けると2種類あります。「買取型」と「保証型」です。
「買取型」は、売掛金を買い取ってもらうことで、迅速な資金調達ができます。
「保証型」は、取引先が倒産等により、売掛債権の未回収リスクに備えた保険としての利用が目的です。
通常、資金調達におけるファクタリングは買取型を指し、2種類の取引形態があります。
ここでは、買取型ファクタリングの仕組みについて解説します。
買取型ファクタリングの取引形態
買取型ファクタリングとは、事業者が保有する売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらう取引形態です。
買い取ってもらうことで、事業者は期日より早く現金化が見込まれます。
買取型ファクタリングには、次の2種類あるので、それぞれ詳しく解説します。
- 2者間取引
- 3者間取引
2社間取引とは
2者間取引とは、申込企業とファクタリング会社との間での取引をいいます。
ファクタリング会社から売掛金の売却代金(売掛金から手数料を差し引いた額)を受け取り、後日、売掛先から振込みがあったときに、利用者はファクタリング会社へ売掛金を支払う仕組みです。
メリットおよびデメリットには、以下の点があります。
メリット |
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デメリット |
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3者間取引とは
3者間取引とは、利用者、ファクタリング会社、および売掛先の3者間で行う取引です。
売掛先にファクタリングを利用することをあらかじめ伝え、債権譲渡の承諾を得る必要があります。
3者間取引は、売掛先が、ファクタリング会社に直接入金する仕組みとなっています。
メリットおよびデメリットは、次の通りです。
メリット |
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デメリット |
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ファクタリング契約の流れ
ファクタリングの知種類には、2者間取引・3者間取引がありますが、契約までの基本的な流れは同じです。
一般的な流れは以下の通りです。
1 | 事前相談 |
2 | 申し込み |
3 | 必要書類の提出 |
4 | 審査 |
5 | ファクタリング契約の締結 |
自社の保有する売掛債権が買取可能であるかを、事前にファクタリング会社に相談します。
事前相談は無料でできるので、複数のファクタリング会社に相談し比較検討することがおすすめです。
3者間取引の場合、事前相談後、売掛先にファクタリングを利用する旨を伝え、承諾を得ておきましょう。
申し込みは通常、インターネット・電話・窓口・郵送のいずれかで行います。
自社の利便性と合わせて選択しましょう。
審査を受けるにあたり、利用者はファクタリング会社に必要書類を提出しなければなりません。
主な必要書類は以下のとおりです。
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ファクタリング会社によっては、上記以外に必要な書類があるかもしれませんので、確認して準備しましょう。
必要書類を受け取ると、ファクタリング会社は審査を行い、書面だけでは把握できない事項に関して、聞き取りがあります。
主な聞き取り内容は以下のとおりです。
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契約締結の際には、契約書に書かれている内容について確認しましょう。
ファクタリング会社は、わかりやすい言葉で契約内容の説明を行ってくれるのが一般的です。
中には。契約書の作成を省いたり、わかりにくい説明を行ったりするファクタリング会社があるので、注意しましょう。
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ファクタリングを利用するときの注意点
利用者がファクタリングを利用する際に注意すべき点として、以下の点があります。
- 会社によっては手間や時間がかかる
- 正確な手数料は審査後に判明する
- 契約書の内容は必ず確認する
- 2者間取引は一括で支払う必要がある
- 悪徳業者に引っかからない
契約を結ぶ際の書類に不備がある場合、すぐに契約できないケースがあるので、事前にファクタリング会社に確認して不備のないようにしましょう。
ファクタリングの手数料の決定要因の一つに、売掛先の信用状況があります。
信用力に問題がないとファクタリング会社が判断した場合、手数料が安くなり、逆なら手数料は高くなります。
正確な手数料は、審査後に判明するため、利用者が想定する手数料に当てはまらない場合があるので注意が必要です。
契約書の内容は必ず確認しましょう。
債権譲渡通知の有無や、損害賠償および違約金について、債権譲渡登記の有無等をチェックする必要があります。
特に、償還請求権が付与された契約の場合、売掛先が倒産等により売掛金が回収不能となった場合、ファクタリング会社は利用者に請求することになります。
契約がファクタリング会社に有利になっていないか、内容を必ず確認することが重要です。
2者間取引の場合、売掛先より入金のあった売掛金を、利用者は一括で支払わなければなりません。分割で支払うと金利が発生し、貸付となります。
ファクタリングは貸付でないため、貸金業の登録が不要です。
そのため、悪質なファクタリング会社が存在する点に注意しなければなりません。
悪質なファクタリング会社は、相場より高い手数料を請求したり、契約書を作成しなかったりする恐れがあります。
ファクタリング利用を検討する場合、複数のファクタリング会社を比較してファクタリング会社を選ぶことが重要です。
ファクタリング契約後に自社が行うこと
ファクタリング会社と契約を結んで、買い取ってもらった売掛金が入金されればおしまいではありません。
ファクタリング契約後に自社が行うこととして以下の点があるので、順を追って解説します。
- 売却代金が入金されたか確認する
- ファクタリング会社へ売掛金の送金
売却代金が入金されたか確認する
自社がはじめに行うこととして、ファクタリング会社から売掛金の売却代金が入金されたかを確認することがあります。
売掛金の売却金額は、売掛金の額面金額から手数料が差し引かれて、自社の指定口座に振り込まれるのが一般的です。
手渡しを行っているファクタリング会社はたしかに存在します。
しかし、最短で即日や翌日には振り込まれることが多いため、わざわざ店舗まで行って手渡しでもらうメリットは少ないでしょう。
また、現金の受け渡しは、ファクタリング会社や自社にとっても盗難や紛失のリスクがあるため、ほとんど行われていないのが現状です。
ファクタリング会社へ売掛金の送金
2者間取引でファクタリング契約を結んだ場合、自社は売掛先から入金があると、速やかにファクタリング会社へ送金しなくてはなりません。
契約時に期日が定められているのが一般的であるため、約束した期限を過ぎないように早めに送金しましょう。
3者間取引の場合は、売掛債権がファクタリング会社に譲渡されているので、売掛先が直接ファクタリング会社へ入金します。
自社はファクタリング会社から入金された後は特に何もする必要はありません。
ファクタリングはJTCがおすすめ
ファクタリングを利用するには、JTCがおすすめです。
JTCは、名古屋に本社を置き、東京や大阪にも営業所を構えているファクタリング会社です。
土日祝日も対応しているので、気軽にお近くの営業所をご利用いただけます。
また、オンラインでも対応しており、全国の事業者にも対応可能です。
2013年設立で、取引件数1万件、取扱金額500億円を超えています。
公式サイトでは、その場で調達できる資金額がわかる「無料スピード診断」も用意しております。
ファクタリングを利用する前に、一度お試しされることをおすすめいたします。