経営者は、日々さまざまな課題と向き合っています。資金繰りに関する問題も、経営者の頭を悩ませる要因のひとつです。
企業の資金繰りが悪化する原因は、必ずしも売上の低下とは限りません。
この記事では、資金繰りが悪化する主な原因と、おすすめの改善策について解説します。
利益があっても資金繰りに困ることがある
資金繰りの特徴のひとつが、利益があっても資金がない状態におちいる場合もあることです。
たとえば商品の販売で利益を得る場合、配送費や人件費、倉庫での保管費、広告料など、販売にともなう諸経費は先払いとなるのが一般的です。
一方、販売で得た利益(商品代金)は売掛金となり、後日の回収となります。
- 販売したので商品がない
- 売掛金がまだ回収できていない
- 先払いの諸経費が請求される
上記のように、企業は一時的に「商品も現金も手元にないが、支出は発生している」というマイナスの状態となっています。
売掛金が回収されるまでは、営業支出の額だけ資金不足が続きます。
売掛金が回収された後は、利益の分だけ現金を獲得できるので、最終的には資金が増加する見込みです。
ただし、売掛金のすべてがすぐに回収できるとは限りません。
1か月後や2か月後など、取引先との契約内容によって、売掛金の回収サイトはさまざまです。
業種ごとに多少の違いはあるものの、多くの中小企業では60日前後の回収サイトがほとんどです。
回収サイトが長いと、手元の現金がない状態が長期間続くため、利益があっても資金繰りに困ることがあります。
資金繰りが重要である理由
前述のとおり回収サイトの影響があるため、利益が出ていても資金繰りに困っている企業は多いと言えます。
しかし、珍しくないからといって資金繰りの悪化を放置するわけにはいきません。
ここでは、なぜ企業にとって資金繰りが重要なのか、その理由を解説します。
黒字倒産を避けるため
売上が順調で帳簿上は利益が出ているにもかかわらず、さまざまな支払いができずに倒産することを、黒字倒産と呼びます。
支払いに困ってしまう理由は、前述のような売掛金の回収サイトの問題などによる、手元の資金不足です。
利益があっても、資金が不足している状態が続けば買掛金や税金、社会保険料などの支払いができず、黒字倒産のリスクが高くなります。
黒字倒産は、取引先への支払いのみならず従業員への給与支払いもできない状態です。
支払に回すための現金を確保できていなければ、利益や受注があっても倒産することがあります。
黒字倒産を避けるためには、資金繰りの課題を早期に解決して、手元に十分な資金を確保しなくてはなりません。
企業の信用力を向上するため
企業として運営していくためには、社会的な信用力を高めることが大切です。
適切な資金繰りができている企業は、堅実な経営ができていると銀行や取引先から信用してもらえます。
信用力が高くなると、有利な条件での融資や取引につながる可能性があり、自社にとっても大きなメリットにつながります。
信頼関係が築ければ、追加受注や紹介で、新たなビジネスチャンスを得られることもあります。
企業の財務を安定化できる
資金繰りに悩まないということは、企業の財務状況が安定しているとも言えます。
手形の不渡りなどを出す心配がなく、経営リスクが低減します。
もし半年以内に2回の不渡りを出すと、銀行取引停止処分が出され、信用力を大きく低下させかねません。
銀行取引停止処分は、手形交換所の加盟金融機関からの当座取引や貸出取引ができなくなる制裁処分が最低で2年間続きます。
処分を受ける前に振り出した手形に対する決済もできなくなるため、先に不渡りを出してしまった取引先以外の企業にも迷惑をかけることとなります。
適切な資金繰りを行い、支払いの遅延を起こさなければ、上記のような銀行取引停止処分を受けることはありません。
財務状況を安定させ、社会的な信用力の維持・向上につながります。
取引先への支払いのほか、税金や社会保険料など最優先で対応すべき費用も期限内に納められるため、延滞税など余計な費用の発生も避けられます。
資金繰りが悪化する原因
企業の資金繰りが悪化する原因は、複数あります。
ここでは、なぜ資金繰りが悪化するのか、おもな原因を6つ解説します。
赤字経営が続いている
赤字経営は、入金が少ないにもかかわらず出金の多い状況が続いている状態です。
売上が減少しても、人件費やテナント代などのランニングコストは定期的に支払いが発生します。
数日~数か月支払いを延ばせる買掛金とは異なり、ランニングコストの多くは毎月現金で支払わなくてはなりません。
買掛金は同じ取引先への売掛債権があれば相殺する手もあるものの、差額が出たり相殺する売掛債権がなかったりする場合は、現金での支払いが必要です。
手元に入るお金が少ない一方で現金の支出が続くので、やがて資金不足となります。
売上の急激な増減
売上が急激に増えたり減ったりすることも、資金繰りの悪化を招く原因になり得ます。
企業が事業資金を得るためには、コンスタントに利益を出していく必要があります。
しかし急激に増減すると、下記のとおり手元の資金に影響するため注意が必要です。
- 売上の急激な減少→利益が減り、資金繰りが悪化しやすい
- 売上の急激な増加→材料や商品の仕入れなど諸経費が増加して資金不足となりやすい
売上の急激な減少は、必ずしも自社の営業力に原因があるとは限りません。
取引先の倒産、契約の打ち切りなどもあれば、新型コロナウイルスなどの外的要因で起こることもあります。
外的要因で市場が変化したり販路が限定されたりすると、企業の努力のみでは容易には立ち直れません。
売上の増加は、最終的に得られる現金が多い一方で、受注額に応じた先払いの諸経費も大きくなります。
手元に現金があれば先払いが生じても問題なく対応できるものの、先月や前回の売掛金の入金を諸経費の支払いにあてている企業も多いのではないでしょうか。
売掛金のみに頼ると、支払い期日の長期化で資金不足を招くことがあります。
無理な設備投資
企業の中には、赤字経営の改善や、事業拡大の目的で設備投資するところもあります。
うまくいくと売上増加や生産性向上に役立つことがある一方で、失敗したときは資金繰りの悪化を招くリスクも考えられます。
設備投資は一度に大きな金額が動くので、計画どおりに利益につながらなければ、反対に自社の経営を圧迫します。
大規模な設備投資となれば、銀行融資などの借入金や投資家からの出資金を利用する企業がほとんどです。
しかし融資を受ければ利息と元本を毎月支払わなくてはならず、出資を受ければ投資家が納得する結果を出さなくてはなりません。
想定どおりの利益が出なければ、資金繰りの悪化につながったり経営の意思決定権に影響したりします。
過剰な在庫を抱えている
在庫が多いと、保管にかかるコストも大きくなります。
そもそも在庫が過剰な場合、計画どおりに売上が出ていない状態とも言えるため、利益を追求する意味でも改善すべきです。
過剰在庫は、長期保管していても売れるとは限りません。
トレンドが終わったり、商品によっては使用期限や賞味期限が迫ったりするおそれがあります。
期限切れとなれば、廃棄するためのコストも発生します。
過剰在庫はある程度の期間を過ぎたらセール品にするか、必要としている団体などへ寄付して、保管にかかるコストを削減しましょう。
売掛金と買掛金のバランスが悪い
買掛金やランニングコストを支払うために、他社から入金される売掛金を充てる企業は多いでしょう。
しかし売掛金と買掛金のバランスが悪いと、思うように資金繰りできません。
売掛金の回収サイトが長い場合、ランニングコストの支払いに加えて買掛金の支払いにも影響が出ます。
買掛金の支払い期日が売掛金の回収サイトよりも短いと、入金された売掛金を支払いにあてることは困難です。
多少のズレであれば手元の現金で補えるかもしれませんが、売掛金と買掛金のバランスが悪い状態が続けば、資金ショートにつながります。
その他
上記のほか、企業の事業や取引の内容によっては金利の上昇にともなう利払いの増加、国際取引に対する為替レートの変動による収益・支出の増減なども資金繰りに影響することがあります。
内部統制がきちんととれていない状態も、資金繰りの悪化を招く原因のひとつです。
資金繰り計画が不明瞭であったり、リスク管理が行われていなかったりすると、資金の不正使用や横領など思いもよらない理由で資金不足が生じます。
資金繰りを改善する方法
悪化した資金繰りを放置すれば、前述のように黒字倒産や信用力の低下など、さまざまなデメリットにつながります。
自社の資金繰りが危ういと感じたら、早急に対処しましょう。
ここでは、資金繰りが悪化している企業がするべき改善策について解説します。
資金繰り表で現状を把握する
まずは、現時点での資金繰りの状況を正しく把握することが大切です。
資金繰り表を作成して、毎月の支出と収入を可視化しましょう。
売上がいつ入金されるのか、いつまでに諸経費の支払いが必要なのかを把握すると、資金ショートの対策を立てやすくなります。
資金繰り表は決まったフォーマットがあるわけではないため、確認する人物が状況を把握しやすい内容で自由に作成できます。
資金繰り表を参考に、下記の収入・支出を把握します。
- 売掛金の回収期限
- 買掛金の支払い条件や期限
- 投資した設備の収益への貢献度
売掛金の回収期限まで日数がある場合、取引先に入金を早めてもらえないか交渉する方法もあります。
単純に「早めに入金してほしい」と相談するだけでは対応してもらえる可能性が低いため、取引先にもメリットがある内容で交渉しましょう。
たとえば納期を早めに調整するか、回収期限を短縮してくれる日数に応じた割引を検討するのもおすすめです。
買掛金の支払い期限を先延ばしできないか交渉するときも、取引量を増やすなど相手がメリットを感じる提案を添えることが大切です。
少しでも貸し倒れリスクの不安を拭うために、信頼できる取引先からの入金予定があることを説明する方法もあります。
事業拡大などの目的で設備投資した場合は、投資に見合う収益が出ているかどうかも確認しましょう。
貢献度が低い設備は、リースに切り替えると資金繰り改善につながります。
経費を削減する
出て行くお金を見直して、余計な支出を抑えることも基本的な改善策です。
余計な支出につながりやすいものとして、下記の3つがあげられます。
- 過剰在庫
- 遊休資産
- 設備
過剰在庫を手放すと、倉庫代などのランニングコスト削減につながります。
使用していない土地や建物などの遊休資産を手放せば、ランニングコストをなくしつつ、まとまった現金も得られるメリットがあります。
必ず早期に買い手が見つかるとは限らないため、売却を決めたら早めに不動産会社などの専門家へ相談しましょう。
オフィスや工場といった設備にかけている費用も見直すと、家賃などを抑えられる可能性があります。
事業内容によっては、巨大な自社ビルやオフィスを構えるよりも在宅ワークやテレワークを推進したほうが設備代の軽減につながります。
使用しているソフトウェアなども、使用頻度が低いものは解約を検討すべきです。
ただし、経費を削減しすぎると従業員のモチベーション低下にもつながるので、何を削るのかは慎重な判断が求められます。
資金を調達する
資金が不足している状態を解消するためには、調達する必要があります。
主な調達方法は、下記のとおりです。
- 銀行融資など借入を検討する
- 投資家から出資を受ける
- 助成金・補助金を活用する
- 資産を現金化する
など
中小企業の場合、銀行融資からの借入は困難な場合も多いのではないでしょうか。
自社の商品に強みや将来性がある場合は、短期間で結果を求められるリスクがあるものの、投資家からの出資を受ける方法があります。
国や地方自治体が行っている助成金や補助金を活用するのもおすすめです。
ただし助成金や補助金は基本的に後払いとなるため、先に自社で立て替える必要があります。
業界の団体が独自で行っている助成金・補助金もあるので、自社で利用できる制度はないか探してみましょう。
借入が利用できないが早期に資金調達したいという場合は、手元の資産を現金化する方法が確実です。
売却先によって現金化までの所要時間が異なるため、事前にリサーチしておくことが大切です。
資金調達はファクタリングがおすすめ
土地や建物など有形資産がない企業の場合、「担保になるものがないから融資を受けられない」「売るものがない」と資金調達がうまくいかないこともあります。
そんな企業でも利用しやすい方法として、ファクタリングがあげられます。
ファクタリングとは、自社が保有している売掛債権を売却して現金化する方法です。
もともと保有している資産を売却するため、帳簿上でも負債扱いにはなりません。
借入金依存度を上げずに資金調達したい企業におすすめです。
キャッシングやビジネスローンも比較的スピーディに現金を得られるものの、借入金なので返済しなくてはなりません。
返済時は、元本に加えて金利も支払う必要があります。
借りられる金額も少ないので、まとまった現金が必要なときには向いていません。
ファクタリングなら、売掛金の額面の範囲内で資金調達できます。
額面が大きな売掛債権を売却すれば、まとまった現金を得られます。
ただし買取可能な上限・下限はファクタリング会社ごとに異なるので、会社選びは慎重に行いましょう。
スピーディーな資金調達はJTCのファクタリングがおすすめ
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まとめ
資金繰りが悪化する理由はさまざまあり、どのような企業でも起こり得ることです。
ただし、放置しすぎると黒字倒産などの危機につながります。
資金繰りがショートする前に、資金調達で手元の現金を増やしましょう。
売却する不動産がないときや、借入金が利用できないときは、売掛債権を売却するファクタリングがおすすめです。
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