債権譲渡手続であるファクタリングは、債権譲渡手続であると同時に債権回収手続でもあります。ただし、同じ債権回収手続のなかでサービサーというものも存在するのですが、これはファクタリングとは異なっているものです。これらの債権回収の手段につき、どのような点に差異があるのか、またどのように使い分ければいいのかを当記事で解説していきます。
◆ファクタリングとサービサーの違いについて
債権回収の手段を大別すれば、ファクタリングとサービサーとに分けることができます。ただ、同じ債権回収手段に分類されながらも、同様の手続が履行されるわけではありません。そこで各々につき、どのような違いがあるのかを説明していきます。
・ファクタリング
ファクタリングで回収する債権は、支払期日から超過していない売掛債権であり、これを買い取ってもらったり保証してもらったりすることが可能です。
ファクタリングはご利用の際に審査を行うのですが、その審査の難易度は融資よりも平易なもので、時間についても迅速であるため、突然資金を要する場面において特に有用です。
・サービサー(債権回収会社)
サービサーで回収される債権は、特定金銭債権となっています。法務大臣による認可を得ることで実施できるのですが、1998年に、これまで弁護士しか扱えなかった業務である債権回収について、法務大臣の許可さえ得られればサービサーでも扱えるようになりました。条件としては、業務執行に係る専権を有する者、例として代表取締役に弁護士が就任していること、資本金として5億円を有していることなどが必要です。
サービサーでは、いわゆる借入による債権を取り立てることができるのですが、取り扱える債権の種類としては、特定金銭債権のみと規定されています。
この特定金銭債権ですが、メインとなるものは貸付債権となっており、そのほかファクタリング業者の有する金銭債権なども該当します。サービサーの取扱領域は、事業者に係る貸付債権の取り扱いがメインとなっているものの、個人を対象とするクレジットカードや銀行からの借入などについても特定金銭債権に該当しており、実に広く対応しているのです。
◆ファクタリングとサービサーを賢く使い分けるには
ファクタリングとサービサーとでは、取り扱われている債権も異なれば、利用時期についても全く異なっています。サービサーのメリットとしては、貸付債権を回収不可能、もしくは回収不可能と見込まれる場合、あるいはどのようにして債権を回収すべきなのかが不明な場合に用いることができることが挙げられます。ファクタリングでは支払期日までの債権を対象とするのに対して、サービサーでは支払期日を超過したものを対象としていることも異なっています。
資金繰りの改善や売掛先の貸し倒れリスクなどを懸念していることを理由に、売掛債権を支払期日に先んじて現金化したい場合にはファクタリングを利用しましょう。
他方、特定金銭債権が回収されるまで待てない場合には資金化していくうえでサービサーを用いるとよいでしょう。本来であれば、債権回収には相当な時間を要するのですが、サービサーの利用によって債権そのものが債権回収業者に譲渡されるため、スピーディーな現金化を望めるほか、債務者が破産した場合でも利益を失いません。
◆まとめ
以上のとおり、ファクタリングとサービサーとの違いについて解説してきました。ファクタリングとサービサーとでは、どのような債権を扱うかについてや、利用時期についても全くの別物です。両者の利用可能な要件や、用いた際のメリットやデメリットなどを検討しつつ利用することが重要です。
賢く活用していくことで、利用会社様にとって有用となることでしょう。