建設業は受注から完成まで3ヶ月を超えるケースが多いといわれています。
つまり、契約によっては売掛金が入金されるまで同じ時間がかかるケースがあります。
一方で、材料費や人件費等の支払いは毎月必要となるため、資金繰りに悩んでいる建設事業者の経営者も多いのではないでしょうか。
本記事では、建設業の資金繰りについて解説します。
資金繰りの特徴や見直し方法、資金調達方法について紹介しますので参考にしてください。
建設業の資金繰りに関する特徴
建設業の資金繰りに関する特徴として、以下の6点があります。
- 入金までの期間が長い
- 手形取引が多い
- 材料費等先に出費がかかる
- 工事原価管理が難しい
- 短期資金の融資を利用しにくい
- 連鎖倒産のリスクが存在する
それぞれ解説します。
入金までの期間が長い
建設業は受注から完成までの期間が長いのが一般的です。
大型プロジェクトの受注であれば、6ヶ月以上かかるケースもあります。
基本的には着手金や中間金の入金がありますが、着手金、中間金がない場合、入金は工事完成後のみのため、入金までの期間が長くなります。
加えて、工事1件当たりの金額も高額な場合が多いので、資金繰りが悪化しやすい傾向となるでしょう。
手形取引が多い
建設業は過去の慣習から手形取引が多いことも特徴の一つです。
中小企業庁は、手形が多く用いられている業種として、卸売業・製造業、および建設業をあげています。
また、建設業の手形平均サイトは90日を超えています。
顧客から支払いを受けるまで時間がかかるため、自らも支払いを猶予してもらうために手形を利用している、というのが建設業の手形利用の多い理由です。
手形の廃止に向かっているとはいえ、建設業においてはなかなか進んでいないのが現状です。
材料費等先に出費がかかる
仕事を受注しても、建築に関する資材等や事務所設置費用、および外注費等が必要になります。
そのため、先に出費がかかる点も建設業の特徴です。
売上金は、工期が終わらないと入金されないもしくは締後60日などの場合は、資金繰りが厳しくなることが予想されます。
潤沢に自己資金がある場合を除き、上手な資金調達を行わなければ、工期中に資金ショートが発生するリスクも念頭に置いておかねばなりません。
工事原価管理が難しい
工事を受注したものの、材料費や外注費等、工事原価を管理することが難しい点も建設業の特徴です。
雨が降って工期が延びたり、使用している機械が故障したりすると、工事原価が変動する為、工期中に発生しうることを工事原価に組み込み、算出して黒字になるかを計算して受注することが必要です。
利益が出ない仕事を受注すると、後に資金繰りが苦しくなることになりますので、受注の際に見積りの段階で工事原価の管理をしっかり行う必要があります。
短期資金の融資を利用しにくい
銀行の短期資金の融資を利用しにくい点も、建設業の特徴として考えられます。
建設業は、受注して、材料費等仕入れ資金の支払いが入金日より前に発生するのが一般的です。
受注が決まって、短期融資の申込を行っても、書類の準備や審査等に1ヶ月近くかかり場合によっては、資金が必要なタイミングを逸する恐れがあるかもしれません。
そのため、建設業には急な資金調達方法として銀行融資を利用しにくい傾向にあります。
連鎖倒産のリスクが存在する
建設業の構造の特徴として、元請業者の下にいくつもの下請業者があり、下請業者のさらに下にいくつもの孫請業者が存在します。
元請業者が倒産した場合、多くの下請業者や孫請業者にも波及します。
このように、連鎖して会社が破綻することが連鎖倒産です。
建設業者は、連鎖倒産を回避するために、経営セーフティ共済等に加入する等、防衛策を講じておく必要があるかもしれません。
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建設業が資金繰りを見直す方法
建設業の資金繰りは注意しないと資金が底をつくリスクがあります。
資金繰りを見直す方法として以下の4点があるので解説します。
- 受注を売上より儲け重視に見直す
- 着手金や中間金が早めに入金されるように交渉する
- 資金繰り表を作成して入出金管理を行う
- 支払いと入金サイクルを管理する
受注を売上より儲け重視に見直す
売上の金額が大きくても、材料費や外注費、人件費等に売上以上の経費が掛かり過ぎると赤字になる為、金額の大小でなく、赤字にならない工事の受注に努めなければなりません。
見積書から、工事原価がどの程度必要なのか、自社の資金繰りも踏まえ支払いに問題がないのかを確認して受注を行いましょう。
着手金や中間金が入金されるように交渉する
資金繰りの改善には、現金の入金や出金の期日を把握することが大切です。
入金において、受注した工事が完成まで入金がない場合、事業者の資金繰りが厳しくなります。
受注の途中で資金ショートにもなりかねません。
受注にあたっては、できる限り着手金や中間金といった「前払金」を早めに入金させるように交渉することが重要です。
資金繰り表を作成して入出金管理を行う
資金繰り表を作成して入出金の管理を行うことも資金繰りを見直す有効な方法です。
資金繰り表とは、現金の入金、支出をまとめた表なり、一定期間の現金収入および現金支出を勘定科目ごとに集計することで、現金の動きが認識でき資金不足となる予測もできます。
入出金を把握できないと資金繰りが悪化していることに気づかず取引先の信頼を失いかねないので、資金繰り表を作成しておくことを推奨します。
支払いと入金サイクルを管理する
支払いと入金のサイクルを管理することも資金繰りの改善に役立ちます。
外注先や仕入先の支払いの期限を延ばしてもらうよう交渉するのも有効です。
売掛金を利用して、入金におけるコントロールも可能です。
建設業者が考えるべき資金調達方法
建設業者が考えるべき資金調達方法として以下の4点があります。
- 信用保証協会付き融資
- プロパー融資
- 日本政策金融公庫の融資
- ファクタリング
順を追って紹介します。
信用保証協会付き融資
信用保証協会とは、銀行等の金融機関で融資を受ける際に、保証人として事業者をサポートする公的期間です。
信用保証協会は、47都道府県、および川崎市・横浜市・名古屋市・岐阜市の全国に51あります。
信用保証協会付き融資は、事業者が融資の返済に支障をきたした場合、事業者に代わって信用保証協会が金融機関に弁済します。
一方で、事業者は、信用保証協会に保証料を支払わなければなりません。
信用保証協会が事業者を保証するには、3つの基準があります。
- 企業規模(資本金・従業員数)
- 業種
- 区域・業歴
企業規模は建設業の場合、資本金が3億円以下、従業員数が300人以下です。(小規模企業者の場合、20人以下)
建設業は、信用保証協会が定めている基準に該当します。ただし、許認可を得ておくことが必要です。
区域は、事業者の信用保証協会が管轄する都道府県(市)において、事業実態があることが条件となります。
また、保証制度により要件として業歴が定められている場合があります。
プロパー融資
プロパー融資とは、金融機関が独自に審査し事業者に貸し出す融資です。
事業者が倒産等により債務が不履行になった場合、信用保証協会付き融資であれば、金融機関は信用保証協会に対して、代位弁済を請求できます。
そして、事業者に融資した資金を信用保証協会から回収を行いますが、プロパー融資の場合、事業者が債務不履行になると、融資した資金は返ってきません。
金融機関は貸し倒れのリスクがあるため、金融機関は時間をかけて審査を行います。
申込事業者が予定通りに返済できるかを、事業内容や決算内容をベースに審査します。
審査内容によっては、担保や保証を求める場合があり、保証に関しては経営者保証を求めないケースもあります。
信用保証協会融資と異なり、保証料は不要で、融資の上限額に定めがありません。
日本政策金融公庫の融資
日本政策金融公庫とは、民間金融機関が行う金融を補完し、事業に取組む事業者を支援する目的で2008年に発足した政府系金融機関です。
株式会社日本政策金融公庫法に基づき事業運営を行っています。
民間金融機関が行う金融を補完する観点から、融資を受けにくい事業者をサポートする点が特徴です。
具体例として「新創業融資制度」があります。
創業して間がない事業者や、税務申告を2期終えていない事業者に対する融資です。
事業実績の乏しい建設事業者にとって、融資の審査はハードルが高いのが一般的です。
「新創業融資制度」では、必要書類が多く、審査に時間がかかる点がありますが、担保や保証人が不要で融資を受けられます。
ファクタリング
ファクタリングとは、事業者の保有する売掛債権をファクタリング会社に債権譲渡することで期日前に現金化が可能な資金調達方法です。
特に受注から入金までのサイトの長い建設業にとっては、ファクタリングを利用することで早期の現金化が可能であると同時に、入金までの期間が大幅に短縮できるので資金繰りに余裕が生れます。
また、万が一売掛先が売掛金を支払えない場合でも、利用事業者は、売掛先に代わってファクタリング会社に受取した代金をも戻す必要はありません。
ファクタリング会社が、倒産などの未回収リスクも背負います。
ファクタリングは資金調達の一つでもありますが、未回収リスクをヘッジする役割も果たしています。
ファクタリングの何よりの特徴は融資でない点です。
融資であれば負債を増やして資金調達を行うため、会社の安全性の指標となる「自己資本比率」が低下します。
一方、融資でないファクタリングは、資産を現金化して資金調達を行っているので負債に変化がなく、決算上の安全性は低下しません。
ファクタリングには2者間ファクタリング、3者間ファクタリングの2種類あります。
2者間ファクタリンとは、利用者とファクタリング会社との間で債権譲渡を行い、現金化を行う手法です。
売掛先に知られずに、資金調達が可能な反面、手数料が高くなっており、10%前後が相場となっています。
3者間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社、売掛先との間で債権譲渡契約を行い現金化します。売掛先がファクタリング会社に直接入金する点が特徴です。
手数料は1.2%~が相場となっており、2者間ファクタリングより手数料は低いですが、売掛先にファクタリングの利用が知られてしまう点もあります。
調達額がその場でわかる
建設業の資金調達ならファクタリングがおすすめ
紹介した資金調達方法の中で、建設業はファクタリングに適しているといわれています。
理由としてあげられるのは以下の5点です。
- 高額の資金調達が可能
- 融資でないので担保や保証人が不要
- 銀行融資より審査が厳しくない
- 審査に時間がかからない
- 個人信用情報に影響を及ぼさない
高額の資金調達が可能
建設業の場合、工事単価も高額の為、資金調達を計画する際は高額の金額が必要となる事が多いのではないでしょうか?
ファクタリング会社にもよりますが、高額取引を専門としているファクタリング会社であれば1000万円以上もしくは1億円以上の資金調達などが可能です。
融資でないので担保や保証人が不要
融資の場合、審査内容によっては、金融機関は担保や保証人を求める場合があります。
融資した資金が安全に回収できるようにするためです。
一方、ファクタリングは融資ではなく、債権譲渡なので、担保や保証人が不要です。
売掛先が万が一倒産した場合、ファクタリングなら受取した代金をファクタリング会社に戻す必要もありません。
融資を受けたくても、担保や保証人が準備できない事業者にとっては、ファクタリングを利用することで資金調達が可能であり、安心して事業に取り組めるでしょう。
銀行融資より審査が厳しくない
銀行融資より審査が厳しくない点も、ファクタリングが建設業に向いている理由として考えられます。
通常、銀行融資は申込事業者を審査します。
申込事業者の決算内容が赤字や債務超過であったり、税金を滞納していたりすると、審査が厳しくなるのが一般的です。
ファクタリングの場合、審査の対象が売掛先であるのが一般的です。
売掛先の信用状況に問題がなければ審査に通りやすくなります。
申込事業者が赤字決算や債務超過であったり、税金滞納があったりしても資金調達ができます。
審査に時間がかからない
銀行融資の場合、申込から審査の結果が出るまで通常、3週間から1ヶ月程かかるとされています。
場合によっては、資金が必要なタイミングで審査の結果が出ていない恐れがあります。
ファクタリングは審査に時間がかかりません。1日~2日以内に審査を終えるのが一般的です。
中には、即日現金化が可能なファクタリング会社もあります。
急な出費があっても対応可能なので、安心して利用できるのではないでしょうか。
個人信用情報に影響を及ぼさない
個人信用情報には、借入状況や返済状況、申込履歴等が登録されています。
金融機関に融資の申込を行うときは、個人信用情報を参考として審査するのが一般的です。
また、融資の申込を行った履歴も登録されます。
ファクタリングは融資ではないので、申込を行っても審査に個人信用情報を参考にしたり、登録されたりしません。
そのため、ファクタリングを利用しても個人信用情報には影響を及ぼさない利点があります。
まとめ
建設業の特徴として、工期が長く、売上金の入金サイトが長い点があります。
先行出費が伴い、工事原価管理が難しいため、資金繰りが厳しくなるケースもあるかもしれません。
資金繰りの改善方法として、利益重視の受注、着手金や中間金の入金交渉などがあります。
資金調達方法として、融資や信用保証協会保証付き融資などもありますが審査が厳しく、審査に通らないリスクもあります。
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