売掛債権担保融資とは?ファクタリングとの違いも解説

ファクタリング
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売掛債権担保融資(ABL)は、企業が保有する売掛金を担保にして金融機関から融資を受ける資金調達方法です。
不動産などの担保がない中小企業でも、売掛金と在庫を活用することで資金を確保できる手段として注目されています。
本記事では、売掛債権担保融資の仕組み、必要書類、メリット・デメリット、そしてファクタリングと他の債権譲渡の違いを詳しく解説します。
これを読むことで、自社に最適な資金調達方法を判断できるようになるでしょう。

売掛債権担保融資とは

売掛債権担保融資(ABL:Asset Based Lending)とは、企業が保有する売掛金や在庫などを担保にして、銀行などの金融機関から融資を受ける方法です。
不動産や定期預金といった従来の担保がない企業でも、事業活動に基づく流動資産を担保にすることで資金調達が可能になります。
融資であるため返済義務が生じますが、年利5~15%程度の比較的低い金利で調達できるのが特徴です。
中小企業庁の売掛債権担保融資保証制度(2001年12月17日開始)により、金融機関による与信審査に加えて信用保証協会の二重審査により、企業の返済能力をより厳格に評価することで、貸し手側のリスクを軽減する仕組みが構築されています。

売掛債権担保融資を利用するために必要な書類

売掛債権担保融資の申し込みには、以下の書類が一般的に必要です。
金融機関によって若干の相違がありますが、基本的には決算書・事業計画書のほか、売掛先との取引実績を示す帳簿や請求書などです。
商業登記簿謄本(登記事項証明書)と代表者の身分証明書も必須です。
売掛金明細表では、売掛先ごとの残高、入金日、金額を記載し、銀行が担保評価を行うための基礎情報を提供します。
試算表(月別または四半期別)も重要で、直近の経営状況を示すもので、直近の決算書があっても銀行は最新の試算表を要求することが多いです。
さらに、売掛先に対する出荷伝票や納品書、得意先への請求書なども、売掛債権の実在性を証明するために提出を求められます。

売掛債権担保融資の一般的な流れ

売掛債権担保融資の申し込みから融資実行までの流れは、一般的に以下のとおりです。

  • 第1段階:相談・事前審査 申し込み前に金融機関に相談し、融資の可否や大まかな条件を確認します。この段階では簡易的な書類の提出で構いません。
  • 第2段階:正式申し込み・必要書類の提出 融資を申し込む意思が固まったら、上記の書類一式を提出します。この段階で銀行は会社と売掛先、売掛金の実在性を確認する作業を開始します。
  • 第3段階:銀行による与信審査 会社の決算内容、経営状況、返済能力を審査します。同時に売掛金の担保価値評価も行われます。詳しくは「事業資金の融資を考える際に意識しておきたい審査基準」をご参照ください。
  • 第4段階:信用保証協会による審査(保証制度を利用する場合) 銀行の与信審査と並行して、信用保証協会が独自の基準で再度リスク評価を行います。
  • 第5段階:債権譲渡登記(必要に応じて) 売掛金を担保とするため、法務局での登記手続きが行われます。この登記により、金融機関の担保権が公に示されます。
  • 第6段階:契約・融資実行 審査が完了し承認されたら、金融消費貸借契約書を交わし、指定口座に融資金が振り込まれます。
  • 第7段階:定期的な報告・管理 融資実行後、企業は売掛金の状況を定期的に金融機関に報告し、売掛金の増減や売掛先の変更があれば報告する義務が生じます。

申し込みから融資実行までの期間は、銀行系で標準的には1ヶ月~2ヶ月程度、ノンバンク系(リース会社や専門ファイナンス会社)では数営業日~2週間程度が目安です。

売掛債権担保融資を活用できる場面

売掛債権担保融資が活躍する場面としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 設備投資のタイミング 機械購入や工場拡張など、数百万円~数千万円の設備投資が必要な場合、売掛金を担保にすることで迅速に資金を調達できます。設備は使用開始により減価償却を開始するため、その間の運転資金需要に応じて融資を活用できます。
  • 季節的な資金需要への対応 アパレルや食品製造など、季節によって仕入や生産量が大きく変動する業種では、売上の季節変動に先んじて仕入資金が必要になります。売掛金を担保に短期融資を受けることで、そうした季節的な資金ギャップを埋めることができます。
  • 取引先からの大型受注への対応 大手企業や公共機関からの大型受注を獲得した場合、納期までの間に多くの仕入や人件費が先行して発生します。そうした運転資金をカバーするのに売掛債権担保融資が有効です。
  • 事業拡大・新規事業立ち上げ 既存事業の拡大や新規市場への進出に際し、一時的に運転資金が増加します。売掛金を活用することで、不動産がなくても資金調達が可能です。
  • つなぎ資金が必要な場合 取引先の支払いサイト(例:2ヶ月後)より前に、自社の仕入代金(例:1ヶ月以内に支払い必須)の支払期限が来る場合、その間のつなぎ資金として機能します。なお、つなぎ資金が急ぎで必要な場合は、売掛金を活用して事業資金を確保できるファクタリングの活用も検討してください。

売掛債権担保融資のメリット

メリット① 不動産を担保にできない場合でも融資を受けられる

売掛債権担保融資の最大のメリットは、不動産などの固定資産を保有していない企業でも資金調達が可能という点です。
製造業、流通業、サービス業など、売掛金を主な資産とする企業であれば、その売掛金を担保に融資を受けることができます。
不動産を所有していない中小企業にとって、これは従来の銀行融資では成し遂げられなかった新たな道を開きます。

メリット② 売掛債権を譲り受ける前に資金調達ができる

ファクタリングと異なり、売掛債権担保融資では売掛金の所有権を失いません。
売掛金が支払期日に回収されるまで、企業は引き続きその売掛金を保有し、期日に売掛先から直接入金を受けます。
つまり、「融資を受ける」という行為と「売掛金を売却する」は別です。
これにより、売掛金に対する経営の自由度が保たれます。

メリット③ 売掛債権だけでなく在庫も担保にできる

売掛債権担保融資(ABL)は、売掛金だけでなく、原材料、製品、仕掛品などの在庫も担保にすることができます。
小売業や製造業では、売掛金と在庫の双方が企業の重要な資産であり、これらを組み合わせることでより大きな融資枠を確保することが可能です。

メリット④ ファクタリングよりも手数料が低い

売掛債権担保融資の年利相場は5%~15%程度であるのに対し、ファクタリングの手数料体系は2者間で5%~18%、3社間で1.2%~9%です。
長期的に見れば、売掛債権担保融資の方が利息が大幅に低く、特に1年以上の融資期間を想定する場合は、経営への影響が少なくなります。
例えば、300万円を1年間借り入れる場合、年利10%の売掛債権担保融資なら利息は年間約30万円です。
一方、同じ金額の売掛金をファクタリングで現金化する場合、手数料5%だと15万円が即座に差し引かれます。

メリット⑤ 内部管理体制を整備する機会になる

融資を受けるためには、売掛金の管理体制を整え、金融機関に定期的に報告する必要があります。
このプロセスを通じて、企業は売掛先の信用管理、入金管理、未収金対策などの内部統制が自動的に強化されます。
結果として経営の透明性が向上し、今後の融資枠拡大やメインバンクとの関係構築につながるメリットも生まれます。

売掛債権担保融資のデメリット

デメリット① 手続きが煩雑で、資金調達までに時間がかかる

売掛債権担保融資は銀行融資の一種であるため、審査や法的な手続きに相応の時間を要します。
銀行系であれば申し込みから融資実行まで1ヶ月~2ヶ月程度、ノンバンク系でも数営業日~2週間程度の期間が必要です。
一方、ファクタリングで資金調達できる仕組みなら最短即日~数日で現金化できるため、「今すぐ資金が必要」という緊急事態には対応できません。
さらに、債権譲渡登記(必要な場合)のための法務局での手続きや、司法書士への報酬(通常は3万~5万円程度)といった追加コストも発生することがあります。

デメリット② 連鎖倒産に至るリスクがある

ファクタリングのようなノンリコース型と異なり、売掛債権担保融資では未回収時のリスクが企業に残ります。
売掛先が倒産して売掛金が回収できなくなった場合、金融機関から融資の返済を求められる可能性があります。
特に売掛先が大口取引先の場合、その企業の倒産は売上の大幅減を招き、同時に融資返済義務も残るため、自社の連鎖倒産につながるおそれもあります。
したがって、売掛先の信用調査と定期的なモニタリングが重要です。

デメリット③ 自社の信用力によっては審査に通らない

ファクタリングが売掛先の信用力を重視するのに対し、売掛債権担保融資は自社の返済能力を審査対象とします。
赤字決算や自己資本比率の低下、税金滞納などがあると、審査が厳しくなり否決される可能性があります。
金融機関は自己資本比率、流動比率、債務償還年数などの財務指標を厳格に評価するため、決算内容が良好でない企業は融資を受けられません。
詳しくは「赤字決算の企業が資金調達を考える場合の方策とは?」をご参照ください。

デメリット④ 売掛先との関係性が悪化する可能性がある

債権譲渡登記により、売掛先に売掛金が担保に入っていることが知られます。
金融機関によっては、返済状況次第で売掛先に対して「債権譲渡通知」を送付する場合もあり、その場合、売掛先は「取引先が資金繰りに困っている」と認識してしまいます。
これにより、取引先との信頼関係が損なわれたり、今後の取引条件が悪化したりするおそれがあります。

売掛債権担保融資を利用する際の注意点

注意点① 適正な担保を提供するよう心がける

売掛債権担保融資では、金融機関が担保として認める売掛金の評価額(担保掛目)には上限があります。
一般的に売掛金の60~80%程度、支払い期日が長い売掛金は掛目が低くなり、回収期日が短く信用性の高い売掛先の売掛金は高い掛目が設定されます。
金融機関から「担保掛目が低い」と指摘された場合は、貸出条件を受け入れるか、信用度の高い売掛先の売掛金を追加で提供するなど、柔軟に対応する必要があります。

注意点② 金融機関に定期的な報告が必要となる

融資実行後、企業は売掛先の変動や売掛金残高の変化を月次または四半期ごとに報告する義務が生じます。
金融機関は担保となる売掛金をモニタリングしており、大幅な変動や問題が発生した場合、融資契約の变更や一括返済を求められる可能性もあります。
この報告業務は継続的な手間であり、管理体制の整備が不十分だと金融機関からの信頼を損なうことになります。

注意点③ 債権譲渡禁止特約に気をつける

一部の売掛先との契約に「債権譲渡禁止特約」が含まれている場合があります。
法改正(債権法改正)により、特約があっても原則として担保設定は可能となりましたが、売掛先から異議を唱えられた場合、契約解釈上の紛争が生じるリスクがあります。
申し込み前に売掛先との基本契約書を確認し、特約の有無や条件を金融機関に報告することが重要です。

売掛債権担保融資に向いている事業者

売掛先が多い企業

売掛金が企業の主要な資産であり、複数の売掛先を持つ企業に向いています。
売掛先が多いほど、一部の売掛先に依存するリスクが低くなり、金融機関の評価も高まります。
特に卸売業、製造業、建設業などで有効です。

中小企業・個人事業主

不動産担保が不足している中小企業や個人事業主にとって、売掛債権担保融資は貴重な資金調達手段です。
売掛金さえあれば利用でき、金融機関の融資審査に通りやすくなる可能性もあります。

売掛債権担保融資以外の資金調達方法

銀行融資

売掛債権担保融資と並ぶ主要な調達方法です。
法人が融資を受ける方法とは?銀行融資を受ける方法も紹介で解説しているように、無担保融資または不動産を担保にした融資が該当します。
金利は2~8%程度で比較的低いですが、審査が厳格で時間がかかります。

ファクタリング

売掛金を売却して即座に現金化する方法です。
売掛債権を現金化するファクタリングは、ABLが対応できない緊急事態での資金調達に最適です。
詳しくは「ファクタリングとは?仕組みやメリットを解説!」をご参照ください。

補助金・助成金

国や自治体が提供する返済不要の資金です。
ただし申請手続きが複雑で、採択に時間がかかるため、緊急の資金調達には向きません。
経営革新や設備導入、人件費、人材育成などの特定の目的に限定されることが多いです。

出資

投資家から出資を受ける方法です。
返済義務がないメリットがある一方、企業の経営権や利益配分に影響が生じます。
スタートアップ企業やベンチャー企業向けの手段として活用されます。

売掛債権担保融資の代わりにファクタリングの利用もおすすめ

売掛債権担保融資との違い

売掛債権担保融資とファクタリングと他の債権譲渡の違いの基本的な違いは、「融資」か「債権売却」かという点にあります。
前者は返済義務のある借入であり、後者は売掛金を売却する取引です。
売掛債権担保融資は融資であるため、バランスシート上は「負債」として計上されます。
一方、ファクタリング(買戻しのない契約)は「資産の現金化」であり、売掛金がなくなる代わりに現金が増え、負債が増えないというメリットがあります。
また、ファクタリングは売掛先の信用力を重視するため、自社の決算が赤字でも利用できる可能性があります。
一方、売掛債権担保融資は自社の返済能力を審査対象とするため、赤字企業は否決されやすくなります。

売掛債権担保融資ではなくファクタリングを利用するメリット

ファクタリングは、以下のような状況で売掛債権担保融資より有効です。

売掛債権担保融資とファクタリング、どちらを利用するか迷った場合は?

売掛債権担保融資とファクタリングのどちらを選ぶべきかは、「資金が必要になるまでの時間的猶予」と「許容できるコスト」の2つの要素で判断します。
1ヶ月以上の余裕がある場合、かつコストを最小限に抑えたい場合は、売掛債権担保融資(ABL)を優先的に検討しましょう。
年利5~15%の低金利で、まとまった資金を調達できます。
数日以内に現金が必要な場合、または自社の信用力に不安がある場合は、ファクタリングで資金調達できる仕組みを活用してください。
手数料は高めですが、圧倒的なスピードと柔軟な審査が最大の武器です。
JTCのような専門家の意見を参考にしながら、自社の状況に最適な手段を選択することをお勧めします。

まとめ

売掛債権担保融資(ABL)は、売掛金や在庫を担保にして金融機関から低金利で融資を受ける資金調達方法です。
不動産を持たない中小企業でも活用でき、長期的な視点で安定した資金確保が可能です。
一方、ファクタリングとは?仕組みやメリットを解説!で説明しているように、ファクタリングは最短即日での現金化が可能で、自社の信用力に関わらず利用できる柔軟性があります。
しかし手数料が高く、継続的な利用は利益を圧迫するため、「緊急避難」的な位置づけが適切です。
時間的猶予がある場合は売掛債権担保融資、今すぐ現金が必要な場合はファクタリングを基本に、自社の経営状況や資金ニーズを勘案して最適な手段を選択してください。
中小企業におすすめの資金調達手段!ファクタリングの全貌を解説!で詳しく解説しているように、JTCのファクタリングサービスなら、最短で即日の入金が可能です。
売掛金の活用方法について悩まれている場合は、ぜひJTCにご相談ください。

ファクタリング活用事例

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