コラム
2019年05月20日

連帯保証人を立てずに事業資金を調達する手段

銀行などの金融機関から、事業資金の借入を行う場合、「連帯保証人」を求められることがあります。一般的に、連帯保証人は保証人よりも重い責任を負うとされており、なかなか承諾してくれる人を見つけられないものです。保証人や連帯保証人になってくれる人がいないために、事業資金の借入ができずに困っている経営者も少なくありません。今回は、連帯保証人について保証人との違いを解説しつつ、その特徴について見ていきましょう。また、資金調達を行う際に、保証人や連帯保証人が必要のない方法についても紹介します。

 

 

保証人と連帯保証人の違い

 

融資を受ける際に必要とされる保証人には「保証人」と「連帯保証人」の2種類があります。保証人とは、債務者が借入金の返済が不可能になった場合、代わりに返済をする義務を負う人です。連帯保証人も保証人と同様に、債務者が返済不可能になると、代わりに返済を求められることになります。ただし、連帯保証人には保証人にはある3つの権利がありません。3つの権利とは「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」であり、連帯保証人にはこれらがないため、実質的には保証人以上の責任があるとみなされます。これらの3つの権利について正しく把握しておくことが大切です。

 

 

連帯保証人は債務者と同等の返済義務を負う

 

連帯保証人には、保証人の持つ「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」がありません。催告の権利とは、債権者から返済を求められた際に、先に債務者へ返済を請求するように抗弁する権利です。保証人の場合、催告の抗弁権を行使することで「まず債務者に返済を求めるように」と言って、返済請求を拒むことが可能です。検索の抗弁権は、債権者からの返済要求に対して、債務者に返済能力があることを主張する権利を指します。検索の抗弁権があれば、「債務者には返済にあてる資産があるので、先に債務者から返済してもらうように」と主張できるわけです。分別の利益は、保証人が複数いる場合に行使できる権利です。保証している債務について、保証人が返済しなければならなくなった際、1人の保証人が負担する額は残った債務額を保証人の人数で割った額に留めることができます。

 

連帯保証人にはこれらの権利がありません。催告の権利がないため、債務者よりも先に延滞保証人へ返済の請求が行われても、返済する義務が発生します。また、検索の抗弁権がないため、債務者に処分できる資産があっても債権者から返済を求められれば応じなければなりません。さらに、分別の利益もないため、債権者から要求されれば連帯保証人の数にかかわらず全額返済をする必要があります。つまり、連帯保証人は実際に借金をした本人と同等の返済義務を負うものだと言えるでしょう。むしろ、もともとの借入金さえ受け取っていないにもかかわらず、債務者と同等の返済義務を負うという意味では連帯保証人のほうが負担は大きいところがあるのです。連帯保証人を立てる必要がある契約を結ぶ場合には、後からトラブルが発生してしまうことを防ぐために、どのような義務を負うのかを理解しておきましょう。

 

 

 

保証人を探すのは難しい面もある

 

事業者向けの融資やローンを利用しようとすると、金融機関から保証人や連帯保証人を求められることが少なくありません。融資する金融機関からすると、融資先が返済不可能になるリスクを考慮して、代わりに返済を行ってくれる人を見つけてくることを求めるわけです。しかし、連帯保証人はもちろん、保証人でさえも大きな責任を背負うものでもあります。特に、事業者向けの融資となれば、個人の借入とは比較にならない高額な債務になる可能性が高いでしょう。そんな高額な債務の返済を肩代わりしなければならない保証人や連帯保証人になってくれる人を探すのは簡単ではありません。また、保証をお願いする側である経営者にとっても、相手に迷惑をかける可能性があるため心理的に頼みにくいという面もあります。「保証人は見つけられないが資金調達はしなければならない」という場面では、保証人不要の資金調達方法を探すことが重要なのです。

 

 

保証人不要のビジネスローンを活用

 

ビジネスローンのなかには、保証人や連帯保証人を必要としないものもあります。保証人だけではなく、担保も不要で融資を行ってくれるビジネスローンもあるため、保証人が見つからない場合でも借入できるというメリットがあるのです。こうしたビジネスローンの多くは、一般的な融資よりも審査が早いため、急な資金不足などで借入が必要な場面でも役立ちます。ただし、ビジネスローンなどが「保証人不要」としているケースには、2つのパターンがあるため注意しなければなりません。それは「一切の保証人が不要」というものと、「第三者保証人は不要」というものです。この2つには明確な違いがあるため、しっかりと理解しておく必要があるでしょう。

 

 

保証人不要だから安心とは限らない

 

ビジネスローンの多くでは保証人が不要となっているものの、「第三者の保証人不要」といった表記の場合には注意が必要です。これは、「代表者の個人保証が必要である」という意味だからです。一般的に、事業資金を目的として借入を行う場合、借入の主体は法人になります。しかし、債務者が法人になると、倒産した場合に融資した資金を回収できなくなることが多いでしょう。そのため、法人の代表者が連帯保証人になることを求めるのです。法人の代表者が連帯保証人になることで、仮に会社が倒産したとしても、代表者へ返済を請求できるようにすれば資金の回収が可能だからです。そのため、「保証人不要」のビジネスローンであっても、代表者には連帯保証人になってもらうという条件が付帯するケースも少なくありません。

 

ただ、ビジネスローンのなかには代表者の個人保証も含めて、保証人を必要としないものもあります。そうした融資は審査が厳しくなる傾向はありますが、経営者が返済義務を負わなくてもよいというメリットもあるため検討してみると良いでしょう。ただし、保証人不要のビジネスローンには、保証人が必要となる融資と比較すると金利が高く設定されている傾向があります。これは貸倒れのリスクに備えて、貸し手側としても金利を高くしておく必要があるということです。保証人が必要ないというメリットと、金利が高いというデメリットを比較して、どちらを重視するかを考えてから利用を決めたほうが良いでしょう。

 

 

ファクタリングなら保証人は必要ない

 

借入によって事業資金を調達しようとすると、保証人・連帯保証人を探す必要性に迫られる場合があります。しかし、重い責任が伴う保証人や連帯保証人になってくれる人を見つけるのは難しいですし、相手にお願いするのは心苦しいと感じてしまうでしょう。ただ、事業資金の調達方法は借入ばかりではありません。ほかの選択肢として、「ファクタリング」を活用するというものがあります。ファクタリングとは、会社が保有する売掛債権を譲渡することで資金を調達するものです。本来、売掛債権は「定められた期日に売掛金を支払ってもらう権利」であり、期日より前には現金化できません。もし売掛金を期日より前に回収したいと考えても、取引先に前倒しで支払うための資金があるとは限らないからです。また、そうした要求は取引先との関係を悪化させる要因になってしまう場合もあります。

 

ファクタリングでは、第三者であるファクタリング会社が売掛債権の買取を行うものです。そのため、売掛先の資金繰りとは関係なく、売掛金を現金化することができます。ファクタリング会社に売掛債権を売却した後、もし売掛先の会社が倒産するなどして資金の回収が不可能になっても、買戻しの請求が発生しない契約であれば、その責任を負う必要はないため売掛債権売却の契約が成立した時点で、返済などを考える必要はないわけです。また、そうした契約内容のため、ファクタリングの審査では売掛先の信用力や取引内容がもっとも重視されます。経営状況や資金繰りが悪化している会社でも、ファクタリングは利用できる可能性があるのです。保証人も不要であり、経営者自身が負担を抱えることもないファクタリングをうまく活用してみましょう。

 

 

資金調達の際には契約内容を確認することが重要

 

事業資金に不足が生じた場合、借入に頼らなければならないこともあるでしょう。そういう状況になると、どうしても金利や返済期間などの数字にばかり注目してしまいがちです。しかし、借入の契約の内容には、そうした数字以外にも重要な点があると言えるでしょう。「保証人や連帯保証人が必要か」「経営者の個人保証をつけなければいけないのか」といったところも契約を結ぶ前にチェックしておくことが大切です。もちろん、仮に保証人が必要な契約をしたとしても、きちんと返済さえすれば問題は起こりません。ただ、さまざまな資金調達先を確保しておくほうが結果的に経営の安定化につながるでしょう。日ごろから、いざというときの資金調達方法について検討しておくことが重要です。