事業資金・資金調達の対策情報

診療報酬ファクタリングを利用するメリットとデメリットは?仕組みや利用の流れも解説

ファクタリング
ファクタリング

医療機関の経営において、診療報酬の入金までの期間による資金繰りの悪化は重大な課題です。患者を診察・治療しても、実際に診療報酬が入金されるまでには2~3ヶ月かかるため、その間の給与支払いや設備投資資金に困窮する医療機関は多くあります。

本記事では、医療機関の資金繰り課題を解決する有力な手段である「診療報酬ファクタリング」について、メリット・デメリット、利用時の注意点まで、実践的かつ詳細に解説します。本記事を読むことで、診療報酬ファクタリングが本当に自院に必要な資金調達手段かどうかを、正確に判断できるようになります。

  1. 監修者プロフィール
  2. 診療報酬ファクタリングとは
    1. 診療報酬について
    2. ファクタリングとは
  3. 診療報酬ファクタリングの仕組み
    1. 診療報酬ファクタリングを利用する際の必要書類
  4. 診療報酬ファクタリングを利用する際の流れ
    1. Step1:ファクタリング会社に申し込み・審査
    2. Step2:債権譲渡契約を締結
    3. Step3:債権譲渡通知書を支払機関に送付
    4. Step4:診療報酬を支払機関に請求
    5. Step5:ファクタリング会社から1回目の入金
    6. Step6:支払機関が診療報酬額を確定
    7. Step7:ファクタリング会社から2回目の入金
  5. 診療報酬ファクタリングを利用するメリット
    1. メリット①資金繰りの改善に役立つ
    2. メリット②審査に通過する可能性が高い
    3. メリット③低い手数料で利用できる
    4. メリット④銀行融資の審査に影響がない
    5. メリット⑤初回利用時は2か月分の資金を調達できる
  6. 診療報酬ファクタリングを利用するデメリット
    1. デメリット①手数料がかかる
    2. デメリット②2者間ファクタリングよりも時間がかかる
    3. デメリット③対応しているファクタリング会社が限られている
    4. デメリット④悪質なファクタリング業者も存在する
    5. デメリット⑤継続的に利用してしまうリスクがある
  7. どのようなときに診療報酬ファクタリングを利用すればよいのか
    1. 医療機関を開業したとき
    2. 急な出費が重なったとき
  8. 診療ファクタリングと他の資金調達手段との比較
    1. 銀行融資との比較
    2. 診療報酬担保ローンとの比較
  9. 診療報酬ファクタリング業者の選定方法:実践ガイド
    1. 信頼性の確認基準
  10. 診療ファクタリングに関するよくある質問(FAQ)
    1. Q1:診療報酬ファクタリングは違法ではないか?
    2. Q2:ファクタリングを利用すると患者に知られるか?
    3. Q3:ファクタリング利用中に利用を中止できるか?
    4. Q4:複数のファクタリング会社を同時利用できるか?
  11. まとめ

監修者プロフィール

税理士法人 浅野会計事務所
税理士法人浅野会計事務所は、愛知県清須市にあり、創業40年以上、経営・金融・税務・会計・労務のスペシャリストとして各種サポートを行っています。代表の浅野芳郎をはじめ、税理士4名、行政書士1名、社会保険労務士1名ほかファイナンシャルプランナー、宅建資格の資格保持者などもおり、長く経営するためのサポート体制を整えています。

診療報酬ファクタリングとは

診療報酬ファクタリングを正しく理解するためには、まず診療報酬そのものの特性と、ファクタリングという資金調達手段の仕組みを把握する必要があります。

診療報酬について

診療報酬とは、医療機関(クリニック、病院、診療所など)が患者に提供した医療サービスの対価として、社会保険診療報酬支払基金または国民健康保険団体連合会から受け取る報酬を指します。

患者が医療機関を受診した際、かかった治療費は患者本人が負担する自己負担額(1~3割)と、公的医療保険で賄われる部分(7~9割)に分かれます。患者が窓口で支払うのは自己負担額のみで、保険診療分は医療機関が請求して初めて収入となります。

医療機関は毎月末までに診療内容と金額を計算し、翌月10日までに診療報酬明細書(レセプト)を支払機関に提出します。その後、支払機関による審査を経て報酬額が確定し、診療月の翌々月25日前後に医療機関の指定口座に振り込まれるという仕組みです。つまり、診療から実際の入金まで通常は2~3ヶ月のタイムラグが生じてしまいます。

診療報酬制度については、厚生労働省の診療報酬に関するページでも詳しく説明されています。

関連記事:資金繰りとは?悪化する原因と改善方法を詳しく解説

ファクタリングとは

ファクタリングは、企業や医療機関が保有する売掛債権(請求権)をファクタリング会社に売却し、支払期日よりも前に現金化する資金調達手段です。

一般的には企業間取引の売掛金を対象としていますが、医療機関の場合は診療報酬債権(支払機関に対する診療報酬請求権)をファクタリングの対象としています。ファクタリング会社は買い取った債権から所定の手数料を差し引き、現金を医療機関に提供します。

ファクタリングは借入ではなく、あくまで債権の売却取引であるため、貸借対照表上の負債として計上されません。また担保や保証人が不要であり、医療機関の信用情報に記録されないという特徴があります。

関連記事:ファクタリングとは?仕組みやメリットを解説!

診療報酬ファクタリングの仕組み

診療報酬ファクタリングは「3者間ファクタリング」という契約形態で実行されます。これは医療機関、ファクタリング会社、そして支払機関(社会保険診療報酬支払基金または国民健康保険団体連合会)の3者が関与する取引です。

3者間ファクタリングが採用される理由は、支払機関が国の公的機関であるため、信用度が極めて高いからです。売掛先の信用度が高いほどファクタリング会社のリスクは低くなり、その結果として手数料を安く設定できます。

診療報酬ファクタリングを利用する際の必要書類

診療報酬ファクタリングを申し込む際には、ファクタリング会社から複数の書類提出を求められます。以下が一般的に必要とされる書類です。

必要な書類:

  • 医療機関の登記簿謄本
  • 印鑑証明書(原本)
  • 法人代表者の身分証明書(運転免許証またはパスポート)
  • 保険医療機関指定通知書(診療報酬を請求する医療機関として正式に認定されていることを証明)
  • 直近3期分の決算書類
  • 当月または翌月の診療報酬請求予定額がわかるレセプト関連資料
  • 診療報酬の入金履歴がわかる通帳コピー

ファクタリング会社によって求める書類は若干異なりますが、基本的には医療機関の正当性と診療報酬債権の実在性を確認できる書類が中心となります。提出前にファクタリング会社に確認することで、スムーズな申し込み手続きが可能になります。

診療報酬ファクタリングを利用する際の流れ

診療報酬ファクタリングの利用開始から入金までの流れは、以下の段階を踏みます。

Step1:ファクタリング会社に申し込み・審査

医療機関がファクタリング会社に申し込み、審査を受けます。診療報酬ファクタリングの場合、売掛先が国の機関であることから審査は比較的簡単で、提出書類に大きな問題がなければ短期間で審査結果が出ます。

Step2:債権譲渡契約を締結

審査に通ったら、医療機関とファクタリング会社の間で債権譲渡契約を締結します。この契約では、具体的な診療報酬債権の額、手数料、入金のタイミング、その他の条件などが明記されます。

Step3:債権譲渡通知書を支払機関に送付

医療機関とファクタリング会社の連名で「債権譲渡通知書」を支払機関に送付します。これにより支払機関は、その診療報酬債権がファクタリング会社に譲渡されたことを認識します。

Step4:診療報酬を支払機関に請求

医療機関は通常通り、レセプトを支払機関に提出して診療報酬を請求します。

Step5:ファクタリング会社から1回目の入金

ファクタリング会社は1回目として診療報酬請求額の約80%を医療機関に入金します。(ファクタリング会社により変動あり)

これは、支払機関の審査が完了していない段階での支払いであるため、返戻(請求額が減額される)などのリスクに対応するための措置です。

Step6:支払機関が診療報酬額を確定

支払機関による診療報酬額の確定が行われます。

Step7:ファクタリング会社から2回目の入金

ファクタリング会社は2回目の入金を実行します。このとき支払われる金額から、ファクタリングの手数料が差し引かれた残額となります。同時に、支払機関からファクタリング会社に診療報酬が直接振り込まれます。

関連記事:請求書売却(ファクタリング)とは?仕組み・種類・メリット

診療報酬ファクタリングを利用するメリット

診療報酬ファクタリングが多くの医療機関に選ばれている背景には、複数のメリットが存在します。

メリット①資金繰りの改善に役立つ

診療報酬ファクタリングの最大のメリットは、キャッシュフローの大幅な改善です。通常は2~3ヶ月かかる診療報酬の入金が、ファクタリング利用により数営業日~2週間程度に短縮されます。

医療機関の経営では、職員の給与支払い、医薬品や医療材料の仕入れ、施設の維持管理費など、毎月安定した現金支出が発生します。特に新規開業直後や急速に患者数を増やした時期は、患者数に比例して支出が増加するため、診療報酬入金までのつなぎ資金が不足しがちです。

診療報酬ファクタリングを利用することで、この資金不足を解消でき、医療機関の経営をより安定させることができます。

関連記事:資金繰り改善にファクタリングは有効?仕組み・メリットを解説

メリット②審査に通過する可能性が高い

診療報酬ファクタリングは、一般的なビジネスローンや銀行融資と比べて審査に通過しやすいという大きなメリットがあります。その理由は、ファクタリング会社の審査において最も重視される要素が「売掛先の信用力」だからです。

診療報酬ファクタリングの売掛先は、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会といった国の公的機関です。これらの機関は倒産することはなく、診療報酬の支払い義務は法律で定められているため、未払いのリスクはほぼゼロに近い状態です。

このため、ファクタリング会社の審査では申し込む医療機関の財務状況や経営成績はそれほど重視されません。たとえ決算書が赤字であったり、既存の融資があったりしても、診療報酬という安全な債権さえあれば審査を通過することができます。

関連記事:ファクタリングの審査の基準は?審査に通りやすくなるポイント

メリット③低い手数料で利用できる

診療報酬ファクタリングは、他の資金調達手段と比べて手数料が非常に安いという特徴があります。一般的な売掛債権のファクタリングでは、2者間ファクタリングで8~18%、3者間ファクタリングでも1~9%の手数料が発生します。

これに対して、診療報酬ファクタリングの手数料は0.5~1.5%程度に設定されることが一般的です。この大幅な差は、売掛先である公的機関の信用度の高さと、ファクタリング会社にとっての貸し倒れリスクの極めて低さが反映されています。

具体例:月間診療報酬1,000万円の場合

  • 手数料0.5%:5万円の負担で995万円を受け取り
  • 手数料1.0%:10万円の負担で990万円を受け取り
  • 手数料1.5%:15万円の負担で985万円を受け取り

手数料が低いということは、医療機関が受け取る現金の額が大きくなることを意味します。資金調達コストを最小限に抑えながら、キャッシュフローを改善できるため、経営効率の観点からも優れた手段といえます。

メリット④銀行融資の審査に影響がない

診療報酬ファクタリングは、法律上「債権の売却」という取引であり、企業における「借入」ではありません。したがって、貸借対照表上では資産の「売掛金」が現金に換わるだけで、新たな負債が増加することはありません。

この特性により、医療機関が将来銀行から融資を受ける際に、診療報酬ファクタリングの利用歴が悪影響を与えることはありません。むしろ、ファクタリングで調達した資金を用いて既存の借入金を返済すれば、貸借対照表上の負債を減少させることができます。これを「オフバランス化」と呼び、金融機関から見た医療機関の経営評価が向上する可能性もあります。

さらに、ファクタリングの利用は個人信用情報機関に記録されません。銀行のカードローンや医療機関向けローンのように信用情報が汚れる心配もなく、安心して利用できます。

メリット⑤初回利用時は2か月分の資金を調達できる

診療報酬ファクタリングの利用を開始する初月には、特別なメリットがあります。通常は毎月1ヶ月分の診療報酬債権を売却するところ、初回月に限り2ヶ月分の診療報酬を同時に受け取ることが可能です。

その仕組みは以下の通りです。医療機関が1月から診療報酬ファクタリングを利用する場合、レセプトを支払機関に提出する時期と支払機関からの入金予定日の関係により、2月に入金予定の1月分診療報酬と、3月に入金予定の2月分診療報酬の両方を1月に受け取ることができます。(利用者の希望金額により変動あり)

この初回時の2ヶ月分受取は、開業直後の医療機関や急な資金需要がある医療機関にとって、非常に大きなメリットとなります。開業時に必要な医療機器の購入費用、職員採用時の研修費用、または急な設備修繕費など、まとまった資金が必要なシーンで活用できます。

診療報酬ファクタリングを利用するデメリット

メリットが多い診療報酬ファクタリングですが、利用前に理解しておくべき重要なデメリットも複数存在します。

デメリット①手数料がかかる

診療報酬ファクタリングの利用には必ず手数料が発生します。他の資金調達手段と比べて手数料は低く設定されていますが、かかることに変わりはありません。

ファクタリングで受け取る現金は、請求額から手数料が差し引かれた額となります。

つまり、本来診療報酬として医療機関に入金されるはずだった金額の一部が、ファクタリング会社の利益として失われるということです。

長期利用シミュレーション:月間診療報酬1,000万円、手数料1%の場合

  • 1ヶ月利用:10万円の損失
  • 6ヶ月利用:60万円の損失
  • 1年利用:120万円の損失

手数料が低いこと自体は大きなメリットですが、長期的には着実に経営収益を圧迫する要因となるため、利用の必要性をしっかり判断する必要があります。

デメリット②2者間ファクタリングよりも時間がかかる

診療報酬ファクタリングは3者間ファクタリングの形式で契約されるため、処理に時間がかかります。3者間ファクタリングでは、医療機関とファクタリング会社だけでなく、支払機関(国民健康保険団体連合会または社会保険診療報酬支払基金)の合意が必要です。

具体的には、医療機関とファクタリング会社で契約した後、債権譲渡通知書を支払機関に郵送し、支払機関からの承諾を待つプロセスが入ります。この承諾手続きに通常は1週間程度かかり、その結果として実際の現金入金まで1~2週間を要します。

これに対し2者間ファクタリングであれば、医療機関とファクタリング会社間で完結するため、場合によっては即日入金も可能です。急な資金需要が発生した場合、診療報酬ファクタリングではそれほど迅速な対応ができない点が制限要因となります。

ただし、診療報酬ファクタリングは元々計画的な資金繰り管理のためのツールであり、緊急時の資金調達には向かないという特性として理解する必要があります。

デメリット③対応しているファクタリング会社が限られている

診療報酬ファクタリングは、診療報酬に関する専門的な知識と医療業界への理解が必要であるため、サービスを提供できるファクタリング会社の数が限定されています。

一般的なファクタリングであれば、大手金融機関やノンバンク、オンラインファクタリング業者など、数百社以上の提供企業が存在します。しかし診療報酬ファクタリングは、医療機関の診療報酬制度を理解し、支払機関との連携体制を構築している企業に限定されてしまいます。

この結果として、医療機関は限られたファクタリング会社の中から選択する必要があり、複数社の条件比較が難しくなります。より良い条件の業者があっても、診療報酬ファクタリングに対応していなければ利用できません。

デメリット④悪質なファクタリング業者も存在する

ファクタリングという資金調達手段が広く認識されるにつれて、悪質な業者による被害事例も増加しています。特に診療報酬ファクタリングは、医療機関という特定の業界を対象としているため、悪質業者の格好のターゲットになりやすい現状があります。

悪質業者の典型的な特徴:

  • 手数料が業界相場の2倍以上に設定されている(手数料3%以上)
  • 契約書類がきちんと提出されない、または内容が不明確
  • 見積書が提示されない、または後から追加料金を請求される
  • 契約後に追加手数料や違約金を請求する

さらに悪質な業者の中には、ファクタリングを装いながら実は違法な貸金業を行っている業者もあります。金融庁からの登録を得ずに高金利で資金を貸し付ける「ヤミ金」と変わらない行為です。万が一こうした業者に引っかかれば、高い利息負担だけでなく、取り立てによる脅迫被害などの深刻な事態に発展する可能性があります。

ファクタリング会社を選定する際の確認事項:

  • 既存顧客の実績数、医療機関クライアント数
  • 契約書類の完全性と透明性
  • 手数料の明確な提示と追加料金の有無
  • 対応スタッフの医療業界知識

 

デメリット⑤継続的に利用してしまうリスクがある

診療報酬ファクタリングは利便性が高く、一度利用を開始するとその後の継続利用が容易になり、気付かないうちに常習的に利用してしまう傾向があります。これを「ファクタリング依存」と呼ぶこともあります。

初月には2ヶ月分の診療報酬を受け取ることができ、その後毎月1ヶ月分を先行受け取りするという仕組みのため、ファクタリング利用を中止すると突然その月の診療報酬が入金されなくなります。給与支払いや医薬品仕入れの資金が不足する事態を避けるため、多くの医療機関は継続的に利用し続けることになります。

長期間の継続利用は、毎月の手数料支払いにより本来得られるべき診療報酬総額が段階的に減少することを意味します。例えば月間診療報酬1,000万円を1年間ファクタリングで現金化し続けた場合、手数料で年間120万円(1%の場合)の収入が失われます。この損失が蓄積すれば、中長期的には医療機関の経営基盤を弱体化させる要因になります。

また、ファクタリングへの依存が深まると、医療機関本来の経営改革や経営効率化への努力が後退する傾向も報告されています。手数料の損失を埋めるための根本的な経営改善ではなく、ファクタリングの継続利用で資金を補うという「その場しのぎ」の経営になりがちです。

ファクタリング依存を回避するための対策:

  • 利用期間の明確な期限設定(3ヶ月~6ヶ月に限定するなど)
  • 利用中も並行して経営改善計画を実行
  • 月次で手数料支払い額を記録し、損失を可視化
  • 支払機関からの入金がない月の資金不足分を事前に試算

関連記事:資金繰りが苦しいときの改善方法とやってはいけないこと

どのようなときに診療報酬ファクタリングを利用すればよいのか

診療報酬ファクタリングは、すべての医療機関に常時必要なサービスではありません。

むしろ、特定の経営段階や緊急時の資金需要に対して、有効に活用する局面限定型の資金調達手段と言えます。

診療報酬ファクタリングが活躍する場面の共通点は、医療機関が何らかの理由により一時的または短期的な資金不足に直面しているという状況です。

医療機関を開業したとき

医療機関の新規開業時は、診療報酬ファクタリングが最も有効に機能する局面の一つです。開業直後の医療機関には複数の経営課題が同時に発生します。

まず、開業に必要な医療機器や医療材料の初期投資により、運転資金が相当額消費されています。加えて、患者数が安定していない開業初期段階では、診療報酬額の変動が大きく、月によっては大幅に減少する月もあります。同時に、職員の給与支払いや施設管理費など、固定費の支出は一定額が継続します。

さらに、開業直後の医療機関は銀行からの融資を受けづらい傾向があります。

金融機関は実績のない新規事業への融資に慎重であり、決算書や営業実績が整っていない段階では融資審査に通りません。

このような状況で、診療報酬という実績のある債権を活用できる診療報酬ファクタリングは、新規開業医療機関の強い味方になります。特に初月に2ヶ月分の診療報酬を受け取られるメリットは、開業資金の不足補充に直結します。

急な出費が重なったとき

既に開業している医療機関でも、予期しない急な出費により資金不足が生じる場合があります。医療施設という特性上、こうした緊急時の資金需要は珍しくありません。

例えば、医療機器の突然の故障により修理費が発生した、医療施設の老朽化に伴う改修工事が急遽必要になったなど、経営計画には含まれていなかった支出が発生することがあります。また、優秀な医師や医療技術者を採用する機会が生じた場合、採用を実現するために人件費枠を急きょ確保する必要が生じることもあります。

このような急な支出に直面した場合、その場しのぎの銀行融資の申請では審査に時間がかかり、資金が必要になるタイミングに間に合わない可能性があります。診療報酬ファクタリングであれば、申し込みから入金まで1~2週間程度で完了し、急な資金需要に対応可能です。

ただし、こうした緊急時の利用であっても、利用後はできるだけ早く利用を中止し、依存体質に陥らないことが重要です。診療報酬ファクタリングは「つなぎ資金」としての位置づけを常に念頭に置き、根本的な経営改善に向けた取り組みと並行して活用すべきサービスです。

関連記事:資金繰りが悪化する原因とおすすめの改善策

診療ファクタリングと他の資金調達手段との比較

医療機関の経営において資金調達は避けられない課題です。診療報酬ファクタリング以外にも複数の資金調達手段が存在します。それぞれの特性を理解し、経営状況に応じて最適な手段を選択することが経営の効率化につながります。

銀行融資との比較

銀行融資は、比較的低い金利で大型の資金を調達できる点が大きなメリットです。ただし、審査に3週間~1ヶ月の期間を要し、決算書などの厳格な審査基準をクリアする必要があります。経営状況が良好でない医療機関や開業直後の医療機関では利用が難しい傾向にあります。

診療報酬ファクタリング vs 銀行融資の比較表:

項目 診療報酬ファクタリング 銀行融資
入金速度 1~2週間 3~4週間
審査の厳しさ 低い 高い
手数料/金利 0.5~3.5% 1~3%(金利年率)
担保・保証人 不要 必要な場合が多い
負債計上 なし あり
信用情報への影響 なし あり

診療報酬担保ローンとの比較

診療報酬担保ローンは、診療報酬を担保に融資を受ける手段です。診療報酬ファクタリングとの最大の違いは、これが「融資(借入)」であることです。負債として計上され、返済義務が発生します。一方、担保ローンは一定額の融資枠を確保できるため、複数回の利用が容易です。

診療報酬ファクタリング vs 診療報酬担保ローン:

  • ファクタリング: 「診療報酬債権を売却」→ 負債なし、返済不要
  • 担保ローン: 「診療報酬を担保に融資」→ 負債あり、返済義務あり

診療報酬ファクタリング業者の選定方法:実践ガイド

診療報酬ファクタリングを利用する際、最も重要なのは「信頼できる業者の選定」です。以下の基準に基づいて業者を選定することをお勧めします。

信頼性の確認基準

  1. 企業背景の確認
  • 上場企業またはその子会社であるか
  • 運営企業の設立年数と経営安定性
  1. 実績の確認
  • 診療報酬ファクタリングの取扱実績数
  • 医療機関クライアント数
  • 業界内での評判と口コミ
  1. 手数料体系の透明性
  • 手数料が明確に提示されているか
  • 追加料金や隠れた費用がないか
  • 初月2ヶ月分受取時の手数料計算方法
  1. 契約書類の完全性
  • 契約書、見積書、償却予定表が完全に提供されるか
  • 契約内容が明確であるか
  • トラブル時の対応方法が記載されているか
  1. 対応スタッフの質
  • 医療業界・診療報酬制度の知識があるか
  • 医療機関のニーズを理解できるか
  • 問い合わせ対応が迅速かつ丁寧であるか

関連記事:おすすめできる優良ファクタリング会社の選び方とは?

診療ファクタリングに関するよくある質問(FAQ)

Q1:診療報酬ファクタリングは違法ではないか?

診療報酬ファクタリング自体は違法ではありません。金銭債権の売却は民法で認められた合法的な取引です。

Q2:ファクタリングを利用すると患者に知られるか?

いいえ。診療報酬ファクタリングは医療機関とファクタリング会社、支払機関との間の取引です。患者に知られることはありません。診療内容や患者情報が外部に漏えいすることもありません。

Q3:ファクタリング利用中に利用を中止できるか?

契約内容により異なりますが、多くのファクタリング会社では3~6ヶ月の最低利用期間を設定しています。その期間を過ぎれば、中止手続きにより利用を終了できます。ただし、中止月の診療報酬は入金されないため、事前に資金不足への対策が必要です。

Q4:複数のファクタリング会社を同時利用できるか?

理論的には可能ですが、実務的にはお勧めしません。複数社に診療報酬債権を譲渡すると、債権の二重譲渡問題が生じ、支払機関からの承認が得られない可能性があります。

まとめ

診療報酬ファクタリングは、医療機関の資金繰り課題を解決する有力な手段です。診療報酬という安全性の高い債権を活用し、手数料が低く、審査が容易に行える点は、他の資金調達手段では得られない大きなメリットです。特に開業直後の医療機関や急な資金需要に直面する医療機関にとって、非常に有効なサービスといえます。

一方、手数料の継続発生、時間のかかるプロセス、利用継続による依存リスク、悪質業者の存在など、複数のデメリットも存在することを忘れてはいけません。これらのデメリットを十分に理解したうえで、本当に必要な時期に限定的に利用することが、賢い資金調達判断です。

診療報酬ファクタリングはあくまで「つなぎ資金の調達手段」であり、「経営改善の代替手段」ではありません。利用を検討する際には、単に目先の資金不足を解決するのではなく、その後の経営改革や経営効率化の計画と並行して活用することが重要です。信頼できるファクタリング会社を慎重に選定し、計画的に利用すれば、医療機関の経営基盤をより強化することができるはずです。

ファクタリングに関するご相談はJTCまで、お問い合わせください。

ファクタリング活用事例

JTCでファクタリングを利用した企業様の実際の事例をご紹介します。
お手持ちの売掛金をJTCが現金化することにより事業資金の調達に成功した企業の事例をご覧になれます。

調達額がその場でわかる
スピード診断

「*」は必須項目となりますので、ご入力をお願いいたします。

ご希望の金額*
翌月の売掛金*
翌々月の売掛金*
種別*
お取引先の承諾*

※承諾がもらえない場合でもご契約は可能です(法人限定)。

会社名*
お名前*
都道府県*
メールアドレス*
電話番号*
タイトルとURLをコピーしました