架空債権でのファクタリング利用とは?そのほかの違法行為も

ファクタリング
ファクタリング

ファクタリングは、企業が保有する売掛債権を売却して現金化する資金調達サービスです。
正規の利用方法であれば、資金繰りの改善に役立つ有効な手段ですが、一部の悪質な利用者による違法行為が存在することをご存知でしょうか。

本記事では、架空債権を用いたファクタリングの不正利用について、その危険性と対策方法を解説します。
違法行為に該当する可能性のある行為を把握することで、企業として適切なコンプライアンス体制を構築することが重要です。

監修者プロフィール

税理士法人 浅野会計事務所
税理士法人浅野会計事務所は、愛知県清須市にあり、創業40年以上、経営・金融・税務・会計・労務のスペシャリストとして各種サポートを行っています。代表の浅野芳郎をはじめ、税理士4名、行政書士1名、社会保険労務士1名ほかファイナンシャルプランナー、宅建資格の資格保持者などもおり、長く経営するためのサポート体制を整えています。

架空債権とはどのようなもの?

架空債権とは、実際の取引に基づかない虚偽の債権を指します。
つまり、実在しない商品やサービスの提供に基づいて作成された請求書や債権のことです。
一般的には、企業間の詐欺や不正融資を目的として創出されるもので、金融機関や企業に対する重大な損害をもたらします。

架空債権は、商法や刑法で禁止される詐欺行為に該当し、発覚した場合には民事上の損害賠償請求のほか、刑事責任を問われます。
正規のビジネス活動では決して発生しない、明らかに違法な債権であるため、その存在自体が法的リスクを高めるものとなります。

ファクタリングにおける架空債権とは

ファクタリングの仕組みを悪用する不正行為があります。
ファクタリング会社に対して、実在しない債権を売却する行為は、明確な詐欺に該当します。
以下の行為パターンが想定されます。

架空債権を売却してファクタリング会社をだます行為

実際には存在しない売掛債権を、存在すると偽ってファクタリング会社に提示する行為です。
このような行為は刑法235条の詐欺罪に問われます。
ファクタリング会社は売掛金の回収を見込んで資金を提供するため、架空の債権では回収ができず、会社に直接的な経済的損失をもたらします。

請求書に不正確な情報を記載する

発行日、金額、取引相手など、請求書に記載される重要な情報を改ざんする行為です。
これは文書偽造罪(刑法159条)に該当する可能性があります。
不正確な情報は、ファクタリング会社による適切な審査を妨害し、その結果として不正な資金調達につながります。

請求書に実際の取引金額よりも多い金額を記載する

実在する取引であっても、請求金額を実際の取引額よりも多く記載する行為は、詐欺的な債権譲渡に該当します。
この場合、架空の債権部分について詐欺罪が成立する可能性があります。
ファクタリング会社の適切な与信判断を阻害する違法行為です。

架空債権でファクタリングを行うとどうなるのか

架空債権によるファクタリングが発覚した場合、企業は深刻な法的・財務的後果に直面することになります。
刑事責任の発生においては、詐欺罪(刑法246条)として最高10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

また、文書偽造罪など複数の罪状が成立する可能性もあります。
民事上の損害賠償として、ファクタリング会社から詐欺による損害賠償請求を受け、多額の返金を求められることになります。
企業の信用失墜は避けられません。
金融機関との取引が断絶され、今後の融資が受けられなくなる可能性が高いです。
また、取引先企業からの信頼も喪失し、ビジネスの継続が困難になります。

架空債権でファクタリングがバレる理由

ファクタリング会社は、提出された債権の真正性を厳格に審査します。
以下の理由から、架空債権による不正はほぼ確実に発覚します。

  • 取引先への確認調査が実施されます。
    ファクタリング会社は、売掛金の債務者(実際の顧客)に対して、当該債権の存在と金額を確認する調査を行うことが一般的です。
    架空の取引先であれば、この確認の段階で発覚します。
  • 銀行口座の取引履歴から矛盾が生じます。
    通常、実在する取引であれば対応する入出金記録が存在します。
    架空の債権の場合、これらの根拠となる取引記録がないため、詳細な確認過程で発覚する可能性が高いです。
  • 複数回の利用を試みた場合、パターンや不自然な点が識別され、やがて発覚する傾向があります。

もしファクタリングで架空債権を売却してしまったらどうすべき?

万が一、誤解や経営判断の誤りにより架空債権をファクタリングに提出してしまった場合、以下の対応が重要です。

ファクタリング会社への連絡

架空債権の売却が判明した場合、または売却前に気づいた場合は、ファクタリング会社に対して速やかに事実を報告することが極めて重要です。
隠蔽や放置は状況をさらに悪化させるだけであり、発見されるまでの時間経過は、より重大な犯罪行為と判断される可能性を高めます。

ファクタリング会社への連絡時には、正直かつ詳細に事実経緯を説明する必要があります。
いつ、どのような経緯で架空債権を提出したのか、現在どのような状況にあるのかを明確に伝えることで、会社側の対応方法も検討しやすくなります。

弁護士などの専門家に相談する。

刑事責任の可能性がある案件であるため、法律専門家の指導を仰ぎながら対応することが不可欠です。
弁護士を通じることで、その後の示談交渉や法的手続きを適切に進めることができます。

現状の把握と資料整理を急いで行い、弁護士に正確な情報を提供することが重要です。
事実を隠蔽しようとする行動は、その後の法的問題をより深刻にする可能性があります。

架空債権以外にもある?ファクタリングでの違法行為は?

ファクタリングに関連する違法行為は、架空債権だけに限りません。
以下のような不正なパターンも存在します。

二重譲渡

同一の売掛債権を複数のファクタリング会社に譲渡する行為です。
これは詐欺罪に該当し、複数の会社に対して重複した資金提供を受けることになります。
債権は一度譲渡されたら、再度他者に譲渡することはできないというのが法律の原則です。
この行為は重大な詐欺行為として扱われます。
詳しくは「他社利用中に適したファクタリング会社7選!乗り換え・併用先の選び方」でも解説しています。

不良債権の譲渡

回収可能性が著しく低い、または既に債務者が支払い不能の状態にある債権を、その事実を隠して譲渡する行為です。
ファクタリング会社に対する重要な情報隠匿として、詐欺罪の成立要件を満たす可能性があります。

粉飾決算

売上高や債権金額を実際より多く計上することで、経営状況を良く見せる行為です。
ファクタリングの審査に際して粉飾決算に基づく書類を提出すれば、詐欺に該当します。
また、粉飾決算自体が会社法や金融商品取引法で禁止される違法行為です。

東京商工リサーチの調査によると、「堀正工業(株)~約50行を欺いた粉飾、明細書も細かく調整する」など、融資を受けるために粉飾決算に手を染めるケースが報告されています。
また、「【破綻の構図】民事再生の(株)ひびき、架空売上で築いた金融」の事例では、架空売上による手の込んだ粉飾決算が明らかになっています。

ファクタリング会社側による詐欺行為を回避するために見るべきポイント

一方、ファクタリング利用企業を狙った詐欺的行為を行う悪質なファクタリング会社も存在します。
正規の企業が詐欺被害に遭わないために、以下の確認ポイントが重要です。

ポイント①手数料は相場とかけ離れていないか

ファクタリングの手数料相場は一般的に2~20%程度ですが、著しく高い手数料を提示する業者には注意が必要です。
例えば30%を超えるような手数料は、業界の相場から大きく逸脱しており、悪質業者の可能性があります。

一方で、低すぎる手数料も問題です。
採算が成立しない低い手数料を提示する業者は、後々トラブルを引き起こす可能性が高いため、相場と同程度の手数料設定であるかの確認が重要です。
詳しくは「失敗しないファクタリング優良企業の選び方とおすすめ比較」でも、法外な手数料の要求について詳しく解説しています。

ポイント②会社情報は明確に記載されているか

ホームページなどに法人登記番号、所在地、代表者名、電話番号など、基本的な企業情報が明記されているかを確認しましょう。
不明確な企業情報は悪質業者の典型的な特徴です。
悪徳業者は、身元の特定を避けるために企業情報を隠蔽する傾向があります。
帝国データバンクや商工リサーチなどの企業情報データベースで確認することも有効です。

ポイント③契約書に不審な項目がないか

契約書に以下のような項目がないかを確認してください:手数料以外の不明確な手数料や費用の記載、返金不可等の不公正な条項、過度な遅延損害金の設定、個人保証を求める条項など。
これらは悪質業者の特徴です。
契約内容に疑問がある場合は、必ず専門家に相談してから署名すべきです。
ファクタリングは本当にやばい?ファクタリングが安全に利用できる方法とは」では、契約書が提示されないリスクについても説明しています。

ポイント④行政処分歴がないか

金融庁や財務局のウェブサイトで、当該業者が過去に行政処分を受けていないかを確認することができます。
行政処分歴のある業者は、法令違反の前科がある企業であり、利用は避けるべきです。

ファクタリング会社による詐欺にあわないための対策

利用企業が悪質なファクタリング業者による詐欺被害を防ぐための対策を紹介します。

信頼できるファクタリング会社を利用する

実績が豊富で、業界での評判が良く、明確な企業情報を公開しているファクタリング会社を選定することが最重要です。
複数の候補から比較検討し、不安な点があれば事前に質問して回答を得ておくべきです。
ファクタリング会社大手20選|選び方から注意点までを徹底比較」では、大手を名乗っていても実態は小規模で対応力に欠ける業者や、強引な契約条件を提示する業者も存在することが指摘されています。

不備なく必要書類を揃える

請求書、契約書、納品証明書、決算書など、必要な書類を不備なく準備することで、審査プロセスを透明かつ迅速に進めることができます。
また、書類の不備がないことは、自社の信用性を示す重要な要素でもあります。
失敗しない請求書買取!法人が知っておくべきリスクと安全な活用法」では、二重譲渡などのトラブルを防ぐための書類確認の重要性が強調されています。

契約書の内容を専門家に確認してもらう

弁護士や税理士など、ファクタリングに関する知識を持つ専門家に契約書の内容を事前に確認してもらうことで、不公正な条項や隠れた費用がないかを把握できます。
わずかな手数料を節約するために専門家への相談をしないことは、後々大きな損失につながる可能性があります。

まとめ

ファクタリングは適切に利用すれば、企業の資金繰り改善に有効な金融サービスです。
しかし、架空債権の売却や二重譲渡など、違法な利用方法が存在することも事実です。
ファクタリングで逮捕される可能性はある?悪徳業者や詐欺の危険性を徹底解説」でも解説されているように、このような不正行為に該当する可能性のある行為は、詐欺罪や文書偽造罪として刑事責任を問われるとともに、企業の信用失墜、取引先との関係悪化など、取り返しのつかない後果をもたらします。
企業として重要なのは、ファクタリングに関するコンプライアンス意識を高め、正規の利用方法を厳守することです。

同時に、悪質なファクタリング会社による詐欺被害から身を守るため、手数料相場の確認、会社情報の検証、契約書の専門家確認など、事前の慎重な確認が不可欠です。
ファクタリングに「即日・審査なし」は存在しない!悪質業者の見極め方」では、「審査なし」で集客している業者の多くが、ファクタリングを装った違法な高金利での融資(ヤミ金)である「偽装ファクタリング」であることが指摘されています。
ファクタリングは金融サービスであり、企業の法的責任が問われる取引です。

不明な点や不安がある場合は、遠回りに見えても専門家に相談することで、企業と従業員の将来を守ることができるのです。

ファクタリング活用事例

JTCでファクタリングを利用した企業様の実際の事例をご紹介します。
お手持ちの売掛金をJTCが現金化することにより事業資金の調達に成功した企業の事例をご覧になれます。

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